《異世界冒険EX》世界の崩壊②

「ありえない……ありえちゃ駄目なんだよ! こんな事は!」

駄目だ。俺にはわかる。今、召喚されたのは間違いなく茜だ。

崩れ行く世界の中で、俺は神の指から転移結晶を取りだし、砕く。

青白いに包まれた俺のは消失し、アイギスの空間へと転移する。

「どういうことだよ! アイギス! 俺、言ったよな!? 二度と茜が巻き込まれないようにしてくれって! あの時に! 茜が転移に巻き込まれて! 俺が死んだときに!」

頭が混する。今はアイギスを責めている場合じゃないのに。茜を早く助けなきゃ。傍に行かなきゃいけないのに。

「わからない……。茜ちゃんの存在は確かに私の世界にロックしてたはずなのに……」

アイギスもまた混しているようだ。

茜が召喚された事に加え、ニルギリの世界は崩壊を始めている。

このままでは連鎖していくつもの世界が崩壊してしまう。

「っとにかく! すぐに俺を茜の傍に送ってくれ」

「……今はちょっとどこにがあるかわからないから、空中になるぞ? ……それにたとえそうしても最悪の場合……。世界の崩壊まで、十秒も無いし……」

「構わない!」

現在、ニルギリによってロックがされた為、ニルギリの世界の様子がわからないようだ。

適當に転移させてその場所に何かあった場合、もともと存在したものが優先されてしまう。

つまり後から來たものは弾け飛ぶ。

それに加えて、世界の崩壊に巻き込まれたら流石に俺も生き殘れないだろう。

だが、そんな事を気にしている場合じゃない。

今、気にするべきは茜のことだけだ。

例え、世界が崩壊しようとも俺の隣に茜が居て、茜の隣に俺が居るならなにも問題はない。

「じゃあ、いくよ」

今度は遊び無しのようで、る事も無く視界が消失する。

狙いは茜の存在を目印にして、その上空。

「っ! 回復!」

目を開くと真っ赤な空が見える。

鳥が飛んでいた為にの一部が弾けてしまったが、瞬時に回復魔法を行使する。

「茜は……」

自由落下しながら茜が居るはずの下へと視線を向ける。

そこに見えたのは……。

「え?」

……膝をついている一人の年。

そして、その近くに震えながらしゃがみ込んでいる二人の男。その更に周囲には十人程度の人間や獣人が倒れていた。

そして、その全員が大きな結界で捕らえられている。彼らのいる丘の上のほとんどを覆っている結界。

だが一人だけ、一人だけ結界の外、丘の淵で鼻歌を歌いながらこちらに手を振っているが居た。

……茜だ。

世界の崩壊はいつの間にか止まっていた。

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