《異世界冒険EX》はじめてのいらい③
◆◇◆
「フロリア様、申し訳ありません。私の手には負えません」
メアリーは急に帰ってくるなり、頭を下げながらそう言った。
家に連れ帰った三人との渉も終わり、ほっと一息ついたところだったのだけれど、話を聞かないわけにはいかない。
「どうしたの?」
「それが……その……急に消えたかと思ったらいきなり戻ってきて、その……癖をんできまして……奴は変態です。私にはもう……」
……ふむ。どうやらこの様子だとそれだけでもないみたいだけれど……。
その程度で私の頼みを放り出すような子じゃないもの。
急に消えて、現れた。と、なると神の仕業ね。
(アッサム)
(何だ? フロリア)
(悠斗に何をしたのかしら?)
(何をって……私はむしろ被害者だぞ!)
(……? よくわからないのだけれど)
(ぬう……あまり、説明したい話ではないんだけどな。その、簡単に言うとだな……修行をつけてやろうと呼んだら、全に剝かれしまってな、こんな変態は手に負えないと戻しただけだ)
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……おかしいわね。まったく意味がわからないわ。
加えて、何でかわからないけれど薬草の詰まった袋のイメージが頭に浮かんできたし。
え? あの筋ダルマを全に? え? あの男を? え? 悠斗はそう言う趣味なの?
だからメアリーは帰ってきたの?
……まさかそんな男で筋フェチなんてそんな……流石にあり得ないわ。
男だけならまぁわかるけれど、更に筋フェチだなんて……。
どれだけの業を背負って生まれれば、そんなに歪んでしまうのかしら。まだ九歳よね?
前世でどれだけやらかしたのかしら。ちょっと気になるわね。
あ、でもそう考えると街やギルドで目を輝かせてたのもわかるわね。
この世界は基本的に鍛えてる人ばかりだもの。悠斗にとってこの世界は楽園に思えてるに違いないわ。
特にギルドではジロジロと舐めるように、見回していたわね。
「…………」
なるほど……どうやら點と點が繋がってしまったようね。これは認めないといけないかしら。
あの子は……悠斗は、男で筋フェチ。
「本當……一どんな業を背負っているのかしら」
そりゃスレンダーで的な私には興味がわかないわけだわ。
でも、それなら。
「……メアリー。負けちゃ駄目よ。悠斗がどれだけ歪んだ癖を持っていようと、私達がまともな道に戻してあげましょう」
私達がその業から救ってあげなくちゃね。
メアリーなら仮に悠斗と男の関係になっても許すわ。私に負けないぐらいで、私も好きだもの。
もちろん悠斗との絡みは見せてもらうけれど。
「……しかし……!」
「あの子をマトモに戻せるのは私達だけなのよ」
メアリーの肩を摑み、そう告げる。
あんな業の深い存在を救えるのは、この二人以外に存在しないだろう。
「……わかりました。……頑張ってみます」
メアリーはしっかりと私の目を見て、答える。これならきっと言葉通り、頑張ってくれるだろう。
……まずは軽いボディータッチから始めてみようかしら。
いえ、それよりもまずは……。
「メアリー、悠斗もここに住ませましょう。二人で悠斗をマトモな道に戻すのよ」
「フロリア様! それはいくらなんでも……!」
「もちろん部屋は分けるわよ? でも、仲間になるんだから泊まる場所が同じなのは普通でしょう?」
外に泊まらせては危ないわ。何たって悠斗にとってはここは楽園だもの。
もしかするとこうしてる間にも、これ幸いとギルドの冒険者に聲をかけているかも知れないわ。
そうよ。悠斗には
「監視が必要……でしょ?」
「なるほど……! わかりました。そういうことであればそのように伝えます」
「頼んだわよ。外では特にしっかり注意しておくのよ」
「はい! 任せてください!」
そう言うとメアリーは姿を消す。
これで大丈夫ね。メアリーが任せて、とまで言ったのだからしっかり悠斗を抑えてくれるだろう。
そうなれば外での高まった悠斗が、家で私達のどちらか相手に暴走するのは當然の結果。確率計算を使うまでもないわ。
…………でも、筋年となら意外といいかも知れないわね。悠斗も鍛えてるだろうから、いいした年達がくんずほぐれつの大闘。
……悪くないわね。でも、それは私とのルートを捨てることになるわ。
となると、やっぱりそれは認められないわ。
結婚後のプレイの一環としてなら素晴らしいのだけれど。
いつか提案してみましょう。
◆◇◆
「さてと、とりあえず薬草を指にれてギルドまでやって來たけど……何か一人だとやっぱり張するな」
「ユウトさん」
ギルドの扉を開けようとした所、後ろから聲をかけられる。
振り返るとそこにはメアリーが立っていた。やる気に満ち溢れた瞳をして。
「あ、メアリー。誤解は解けたみたいだな」
そう言って近付こうとした俺の右太ももから、パアンと鋭い音が響く。
「え?」
メアリーの蹴りだ。地味に痛い、無駄に綺麗な蹴りだった。
思わず右太ももをさすり、しゃがみ込む。
「な、何するんだよ?」
「今後、何か行を起こす時は事前に聲に出してから行して下さい」
「え?」
そう言って立ち上がろうとした俺の右太ももがまたもやいい音を鳴らす。
ぐっ。同じ箇所を……。
「立ち上がるなら事前に立ち上がると言ってください」
「……立ち上がる」
「どうぞ」
そう言うとメアリーはし下がり、俺から距離を取る。
……どれだけ警戒してるんだ。
「あの、そりゃ俺が悪かったけどこれは……」
「大丈夫です。私とフロリア様があなたを真人間に戻してあげます」
……やる気満々の笑顔で拳を握るメアリー。どうやら聞く耳持たないようだ。
「はぁ……わかったよ」
そう言って俺は振り返り、ギルドの扉を開く。
「わかっていないようですね」
「ぐっ!」
次の瞬間には右太ももが悲鳴をあげていた。
今度は右足で蹴られた。利き足のようで、更に地味に痛い。
「……ギルドの扉を開け、中にる」
「はい。あ、それから宿はフロリア様が家に泊めて下さるそうです。良かったですね」
「え?」
……つまりまさかそれって、家でもこれやられるって事か?
既に三発貰って太ももが軽い痙攣起こしてるというのに……。
死んでしまう。右太ももが。
「あはは……それは嬉しいな……」
……茜、異世界の風は冷たいよ。
じょっぱれアオモリの星 ~「何喋ってらんだがわがんねぇんだよ!」どギルドをぼんだされだ青森出身の魔導士、通訳兼相棒の新米回復術士と一緒ずてツートな無詠唱魔術で最強ば目指す~【角川S文庫より書籍化】
【2022年6月1日 本作が角川スニーカー文庫様より冬頃発売決定です!!】 「オーリン・ジョナゴールド君。悪いんだけど、今日づけでギルドを辭めてほしいの」 「わ――わのどごばまねんだすか!?」 巨大冒険者ギルド『イーストウィンド』の新米お茶汲み冒険者レジーナ・マイルズは、先輩であった中堅魔導士オーリン・ジョナゴールドがクビを言い渡される現場に遭遇する。 原因はオーリンの酷い訛り――何年経っても取れない訛り言葉では他の冒険者と意思疎通が取れず、パーティを危険に曬しかねないとのギルドマスター判斷だった。追放されることとなったオーリンは絶望し、意気消沈してイーストウィンドを出ていく。だがこの突然の追放劇の裏には、美貌のギルドマスター・マティルダの、なにか深い目論見があるようだった。 その後、ギルマス直々にオーリンへの隨行を命じられたレジーナは、クズスキルと言われていた【通訳】のスキルで、王都で唯一オーリンと意思疎通のできる人間となる。追放されたことを恨みに思い、腐って捨て鉢になるオーリンを必死になだめて勵ましているうちに、レジーナたちは同じイーストウィンドに所屬する評判の悪いS級冒険者・ヴァロンに絡まれてしまう。 小競り合いから激昂したヴァロンがレジーナを毆りつけようとした、その瞬間。 「【拒絶(マネ)】――」 オーリンの魔法が発動し、S級冒険者であるヴァロンを圧倒し始める。それは凄まじい研鑽を積んだ大魔導士でなければ扱うことの出來ない絶技・無詠唱魔法だった。何が起こっているの? この人は一體――!? 驚いているレジーナの前で、オーリンの非常識的かつ超人的な魔法が次々と炸裂し始めて――。 「アオモリの星コさなる」と心に決めて仮想世界アオモリから都會に出てきた、ズーズー弁丸出しで何言ってるかわからない田舎者青年魔導士と、クズスキル【通訳】で彼のパートナー兼通訳を務める都會系新米回復術士の、ギルドを追い出されてから始まるノレソレ痛快なみちのく冒険ファンタジー。
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