《世界にたった一人だけの職業》1章 目覚める。そして、謀始。
目が覚めると、俺たちは全く知らない居場所にいた。足元にはさっき先生が発した魔法陣と同じような模様をした魔法陣があった。
クラスの皆はあいにく混しているようで、
「どうして、こんなことに……」
「先生……なんでなの?」
などと口々に呟いていた。
だが、ここには先生がいない。何でだろうと俺は疑問に思った。
なぜ俺がこんなに冷靜なのかと言うと、わめいたり、現実逃避をしていてもなにも始まらないからだと思ったからだ。
そんなこんなしていると、俺たちのいる場所の巨大なドアの外から足音が聞こえてきた。足音からして二人分くらいか……?
  俺とその他何人かの落ち著いたクラスメイトがその足音に警戒する。すると、巨大なドアはギギギ……と大きな音を立てて開いた。すると、やはり俺の予想通り二人の人が中にってきた。俺たちは目の前の二人が敵かもしれないと思い警戒を緩めなかった。
目の前の二人のうち、一人はく見えるで、もう一人はひげをはやしたそこそこ歳のいってるおじいさんだった。のほうは金髪で、容姿も整っており白いネグリジェ姿に、白いスカートという清潔な格好で、おじいさんのほうは、黒を基調とした執事服のような格好をしていた。しの間重たい空気が場を支配していたが、やがてが口を開く。
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「…あなた方が、リシール・パラティーナに召喚された方たちですか」
「リシール・パラティーナ?」
高峰が聞き覚えのない名前に反応を示す。
「ああ……あちらでは坂井舞花先生で活しているんでしたっけ?」
「あ、あの人が……!?」
「ええ。パラティーナは、あちらの世界で、こちらの世界に召喚できる人材を探していました……。その人材として選ばれたのがあなた方です」
「そ、そんな……」
呆然としている高峰は置いといて、俺は當初から気になっていることを尋ねた。
「あの……。ところであんたら誰?」
「あ、すいません申し遅れました。私はメラルース王國第一王のリファード・レミリーです。以後お見知りおきを。そしてこちらは、サイラス・リオーネです」
「以後お見知りおきを。因みにここは王宮ですのでご安心を」
おじいさんすなわちサイラスは、王から紹介をけ、軽く一禮した。
しばらくしてクラスメイトたちの混がおさまり、それを見計らった王は、
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「詳しいことは、謁見の間にて國王陛下から直々にお話されるでしょう。……サイラス。この者達を謁見の間まで案してください」
と言って案を促した。
「かしこまりました」
王にそう言われたサイラスは、俺たちを謁見の間まで案した。
謁見の間についた俺たちはその造りに驚かされた。謁見の間は広大な空間で、國王陛下のいるところ以外赤いマットが一面に敷かれており、目の前の一段高い場所に椅子に座った國王陛下がいた。天井には、淡いを放つシャンデリアが設置されていて、場の靜けさや荘厳さが一層強調されている。謁見の間の両サイドには、護衛の騎士たちが綺麗に整列している。
「陛下。ただいま戻りました」
……いやレミリーが跪き、短い報告をする。レミリーが跪いたので、俺たちも慌ててそれを見習い跪く。
「そうか。ご苦労だったな。レミリーよ。して、時にソナタたちが召喚されし者達か?」
「は、はい」
し戸いながらも、きっちり答えを返す高峰。さすがクラスのリーダーだな。
「ソナタたちに問うが、自分の職業は確認したか?」
「職業?」
誰かが疑問の聲をあげる。
それに答えるように王が國王陛下に代わり、職業について説明を始める。
「はい。職業とは、錬金士、勇者、剣士などのことです。それぞれ人によって適正も違って、その人にあった職業がこちらの世界に召喚された時にランダムで選択されているはずです」
「……どうやってみるんですか?」
高峰が皆が思っているであろうことを代表して聞いてみる。
「ステータスオープンと心のなかで唱えてください。そうすれば、ステータスが表示されます。もちろん、人に見られたくなければ、名前以外は非表示にできます。それができたら、ステータスの名前の右側を確認してください。職業がそこで確認できます」
王が一通り説明を終える。そこで國王陛下が口を開く。
「今ここでステータスを確認してほしい。職業が勇者だった場合は私に直接申し出てしい。勇者はソナタたちの中から一人だけ選ばれる。かしこまらんでもいいから、立ってステータスを確認してくれ」
國王陛下にそう言われ俺たちは立ち上がり、ステータスを表示する。
皆自分のステータスを見て、驚いたり、落ち込んだり、喜んだりしている。召喚された時の皆の揺はどこへいったのか。……まあ考えても仕方がないか。
俺はし溜め息をつきながら、心の中でステータスオープンと唱え、ステータスを表示する。
ステータスはざっとこんなじだ。
柏沢 蓮斗Lv.1 職業:生魔師
生命力 2700
魔力 3000
魔法展開速度 3500
魔法耐 4000
想像力 4000
スピード 2200
攻撃力 3200
防力 2600
スキル
魔法生、無詠唱、全屬耐、気配遮斷、気配察知、狀態異常耐
そして職業説明欄には……
想像力次第で、どんな魔法でも打てます。
それだけだった。
…………説明なすぎだろおおおおおぉぉ!!
なんだよこれ!?まあ確かに、確かにすごいんだけども……!もうし詳細に説明してくれええええぇ!!
そんなことを心の中でのたうちまわっていると、
「……ねえ大丈夫?」
不意に聲が聞こえ、し驚いたが聲のした方を向いてみる。
すると、そこには學校一の川崎春香その人がいた。
「どうしたのって何が?」
「だって……頭抱えて唸ってるような仕草してたから……」
出てたんだなー。仕草。あははは……自重しなければ。
「ね、ねえ柏沢くん。ステータスどうだった?」
川崎がし頬を赤らめながらそう聞いてくる。
なぜ頬を赤らめるのかわからなかったが、まあステータスは見せても問題ないだろう。そう思い、ステータスを川崎へ見せる。
すると、
「……柏沢くん。こ、このステータス値ちょっと高すぎじゃない?」
「………………へ?」
府抜けた聲が出てしまった。
「ちょ、ちょっと川崎のも見せてくれないか」
川崎は頷きステータスを見せてくれた。
川崎春香Lv1 職業:治癒師
生命力 900
魔力 1200
魔法展開速度 1100
魔法耐 1300
想像力 1500
スピード 1000
攻撃力 800
防力 1200
スキル オートヒール(一定時間に10ずつ回復)、聖なる(全回復、単回復)、
これが川崎のステータスだ。
「…………は、はは。勇者の高峰よりは低いだろう?おれのステータス」
そう。勇者は高峰なのだ。本人の喜びようからも間違いないし、何より國王陛下に報告していたのが証拠だ。
俺は冷や汗を流しながらも言葉を紡ぐ。だが、川崎はそれを否定した。
「いや……高峰くんが見せてくれた……といっても強引に見せられたんだけど、ステータスは柏沢くんよりも低かったよ?」
…………………………
「まじかーーーーーーーーーーーーー!!」
ついに耐えきれずんでしまった。
皆が一斉にこちらを向いたが、気づかずに一人だけび続けていた。
ー皆が寢靜まった夜の王宮の一室にてー
「レミリーよ。もうしじゃな」
「ええ。もうしで國王陛下のみが葉います」
「あの、駒どもがきちんと布石通りにうごいてくれるか……」
「そこが國王陛下の頑張りどころだと思います」
「そうじゃな」
今話しているのは國王陛下と第一王のレミリーである。二人はあの勇者たちに向けていた笑顔とは異なる不気味な笑みでこれから始めることに高揚を隠し切れなかったのだった。
 
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