《世界にたった一人だけの職業》圧倒的不利。そして、形勢逆転へー。ー1
俺は、現在地下にて勇者の高峰やその他クラスメイトに囲まれていた。その原因は、王宮のある場所に仕掛けられた魅了と支配の魔法を付與した「ラーニャ石」によって王宮全に魅了と支配の魔法が蔓延したことだ。
(だけど……。盜み聞きした話によると明日か明後日に効果が現れるって言ってたような……。だとすると、話に真実と虛偽を織りぜていたことになる……。確か、國王陛下が俺が話を盜み聞きしているのは想定済みだとか言ってたな……)
俺は々と思考を巡らせる。だけど、今はそんなことよりもクラスメイトや高峰達をどうにかしないと……。そう思った蓮斗は思考を一旦中斷する。
まずは、魅了と支配の魔法をどう解くかだが、ラーニャ石は魅了と支配の魔法に耐を付與してるらしいから、俺の魔法で解けるか分からない。ましてやクラスメイトや高峰達を殺すなどもっての他だ。多の傷はしょうがないが、殺すのはだめだ。ここは、一旦ラーニャ石を探しに行くしかないか……。
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俺は一度大きく溜め息をつく。それを見たレミリーや國王陛下は何を勘違いしたのか。
「諦める気になりましたか?あなたには選択しなどないのです。大人しく殺されて下さい」
「そうじゃ。貴様には死ぬ以外に選択しなどない。諦めるのは賢明な判斷じゃ」
などと口々にそう言ってくる。だが、俺には諦める気など頭ない。
「地」
俺は高速移系の魔法を発する。地とはいわゆる瞬間移のことで、例えば、100メートルの距離だったら100メートルを100分割して、それを圧することにより距離をめることで移が速くなる魔法だ。それを使って俺は、円形に取り囲むクラスメイト達の間をすり抜けた。
「なーーーーー。っ……おい、僕ども!!速くあの男を追いかけて捕まえて殺しなさい!!」
王がそう命令するとすぐさま俺の後を追っかけて來る。それも常人の域を越えたスピードで。高峰達やクラスメイト達のレベルを鑑みても、こんな速度で走れないだろうレベルで。だが、それでも俺の方がし勝っている。俺は真っ直ぐの通路は「地」を使い、カーブのある通路は「地」では制できず衝突してしまうため、強化でスピードをあげるにとどめた。後ろの方からものすごい數の魔法が一斉に放たれたりしたが、防魔法を展開しなんとか防いだ。そうしながら、どんどん手當たり次第に進みながら「ラーニャ石」を探していく。儀式の間、食事の間、謁見の間、王宮の最上階……々逃げながら探し回ったが未だ発見に至らず。遂には再び取り囲まれることに。
(……っ。どこにもラーニャ石が見當たらない……。王宮外か?……いや王宮外に目立った建もないし、魔力も余りじない。隠されているのか?どこに?……っ。わかんねえ……!)
俺は々思考を巡らすも、次に起こった事に驚き思考が停止した。
「「「「「國王陛下ばんざーーーーい!!レミリー王ばんざーーーーい!!」」」」」
いきなり國王陛下とレミリーの名を呼び、奇聲をあげ始めたのだ。俺がぐずぐずしている間にも神の支配が進んでいってしまっている。早くしなければ、あいつらを元に戻せなくなるかもしれない。それだけはどうしても避けたい事態だ。あいつらが國王陛下とレミリーの手駒になるなど糞悪い他ない。
暫くすると奇聲が止んで、辺りが靜かになる。すると、俺を取り囲む人全員が一斉に魔法を打つ準備を始めた。俺は、それに耐えるため、自分の周りに防結界を張る。そして、俺を取り囲む人全員が一斉に魔法を放とうとしたその時ー。
「風の霊よ……。汝が我のために馳せ參じ、吹き荒れる嵐となりたまえ……ゲイル・ブラスト!!」
「かの者に祝福あれ……"結界強化"」
二人の人の魔法発によって、風が嵐のように吹き荒れ俺を取り囲むクラスメイトや高峰達を吹っ飛ばし、俺の防結界が強化される。俺は思わず驚いて魔法の発生源へと目を向ける。そこにはー。
「蓮斗。助けにきたぞ」
「蓮斗君……。無事で良かった……」
隠れオタクの川崎と俺の同類にして親友の秀治が立っていた。
「お前ら……。無事だったのか……」
「ここで話している暇はない。とにかく王宮の外へ出よう。話はそれからだ」
秀治がそう言い、王宮の外を目指して走っていった。俺達もそれに続いて走っていく。暴風に巻き込まれなかった一部の生徒達が俺達を追ってきたが俺が発した魔法「"閉"」によって、俺達が通った後の道を塞いだので追って來るものはいなくなった。やがて、王宮の出口が見える。王宮の出口には衛兵の姿などは見えず、王宮の外にも誰もいなかった。俺は不審に思い、魔法を発する。
「サーチ」
俺は「"サーチ"」によって報を得る。すると……。
「秀治。川崎。待ってくれ」
俺がそう呼び止めると、二人とも走りを止め、俺の方を向く。
「王宮の周りに100人近い兵士が隠れて待機している。……おそらく、魅了と支配の魔法にかかっていると思う」
そう。100人近い兵士が王宮の周りに綺麗に配置され、待機している狀態だったのだ。
(っ……。先読みされていたわけか……)
俺は歯ぎしりをしながら、この狀況をどう抜け出すか。そして、クラスメイトや高峰達をどう元に戻すか。ラーニャ石はどこにあるのかなど頭をフル回転させながら々と考えるのだった。
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