《世界にたった一人だけの職業》圧倒的不利。そして、形逆転へー。ー2

「おい、蓮斗。魅了と支配の魔法がかけられているって一どういうことだ?」

秀治がそう問うてくる。

「俺の魔法「サーチ」で得た報なんだが……。威力最小限で魅了と支配の魔法は王宮全に効果が及んでいるらしい。……「ラーニャ石」っていう魔石に魅了と支配の魔法が付與されているらしくて、その魔石を探していたんだ」

俺達は、現在王宮のり口付近にいる。王宮外は約100人くらいの兵士が待機しており、數百メートル先には王宮の敷地から出るための門がある。俺達はそこを目指したいのだが、この數の兵士に囲まれていては突破も難しい。今は城壁のに隠れているが、俺達が門に向かって突っ走るとすぐさま通り道を塞ぎにかかるだろう。後ろからの追手は今のところは大丈夫だろうが……。時間の問題だろう。ここは早急に対応せねばならない。

「蓮斗君……。一ついいかな」

「なんだ?」

「その……ラーニャ石?ていうのは何?」

「……ああ。ラーニャ石っていうのは、結構希な魔石でちょっと濃い紫をしたやつなんだけど……。何でも、ラーニャ石に付與された魔法には耐があるらしくちょっとやそっとじゃ式が破壊されないようになっているらしい」

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俺の説明に川崎と秀治は得心がいったように頷く。

「とりあえず王宮を出しないことにはゆっくり話し合えそうにないな……」

「……そうだな」

「……うん、そうだね」

二人とも神妙な面持ちで頷く。

実際問題、この狀況を打破するのは困難を極める。レベル不足や経験不足といったことも要因だろう。だが、それを抜きにしても圧倒的なまでの數の不利が一番の要因なのかもしれない。

(……とりあえず、広範囲に狀態異常系の魔法で兵士達をできる限り眠らせるか……)

「二人とも。俺が今から広範囲に狀態異常系の魔法でできる限り兵士達の足止めをする。……その間に數百メートル先にある門に向かおう。もし萬一狀態異常系の魔法にかからない兵士達がいて、俺達を追って來たらそいつらは上手く対処しよう。……これでいくけどいいか?」

「ああ。問題ないよ」

「うん、大丈夫」

「よし。作戦開始だ」

俺は二人にそう言って、魔法陣の構築を始める。結構広範囲になるので構築にもいつもよりし長い時間を要する。

……核となる魔法陣の形……。睡眠効果付與……。核となる魔法陣の修正……。補助魔法陣の形……。全の歪み修正……。不要な式の削除……。式修正……。範囲拡大「最大限」……。対象設定……。

「シュラーフ・プロモート」

俺の今でき得る最大の範囲、最大の出力で魔法を発する。すると、王宮を中心に大きな黃の魔法陣が出現した。出現したその黃の魔法陣からは、ほんのりピンクの靄みたいなやつが発生した。

このピンクの靄みたいなやつには睡眠効果が最大限付與されているので、対象とされた兵士達はすぐに眠りにつくはずだ。暫くすると靄が収まり辺りが見えるようになった。俺は周りの兵士達の狀況を確かめるために魔法を発する。

「サーチ」

睡眠狀態の人を対象とし、調べた。

「どうだ?蓮斗」

「……兵士達は一人殘らず眠りについたよ。後、王宮も一応調べたけど、王と國王陛下以外は皆眠りについたようだ」

「……そうか。ならば早々にここから出ないとな」

「うん」

「ああ。そうだな」

俺と川崎は秀治の言葉に頷く。そして、王宮の門へ向かって走り出す秀治に俺と川崎も続いていった。

ー宿屋にてー

「で、いくら探してもその「ラーニャ石」は見當たらなかったと」

「ああ。王宮を一通り全て見たんだけど何もなかったんだよ。魔力は微かにじ取れたんだけど……」

「魔力がじ取れたのか?」

「うん」

俺達は現在宿屋にいる。王宮からは、遠く離れている訳でもないが隠れているような場所なのでそう簡単には居場所は見つからないだろう。

(……魔力がじ取れる……。けど目には見えない。そして、なおかつその存在がじ取れない……)

秀治は黙考する。なぜ魔力がじ取れるのか。それは魔法が使われているからだ。「魅了」と「支配」の魔法の魔力かもしれないし、もしかしたら他のかもしれない。故にここで蓮斗に問う必要がある。

「どんな風に魔力がじられた?」

「うーん……。何か「魅了」と「支配」の魔法の魔力以外にどこか一點に魔力が収束しているのもじ取れた気がする」

「そうか……」

(これで、「魅了」と「支配」の魔法の魔力の線は消えた。そして、これはラーニャ石の可能が高い。でも……なぜここまでじ取れているのに場所が分からない……。魔力が微かにじ取れたと言っていた。本當ならもっと魔力がれてても不思議じゃない……。ということは、隠蔽されているか……もしくは……!)

秀治は考えが纏まったのか、俯き気味だった顔を上げ、蓮斗達を見る。

「……蓮斗。多分だがわかったぞ」

「本當か!?」

「ああ。多分これにはおそらく「偽裝魔法」が使われている」

秀治の口から出た答えは蓮斗や川崎にとっては予想外のものだった。それを聞いた蓮斗達はただただ小首を傾げるだけだった。

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