《世界にたった一人だけの職業》宿に帰る。そして、川崎への想い。ー1

蓮斗、秀治は保安ギルドからクラスの皆が止まっている宿へ行き、あてがわれた部屋へと向かった。宿は木造建築で、中も質素な造りになっていた。

蓮斗は部屋の窓を開ける。すると、薄暗い景が視界にった。

(はあ……。やっと終わったな……)

蓮斗は今までの出來事を頭に思い浮かべ、溜め息をつきながら苦笑いを浮かべる。洗脳されたクラスメイトに追われ、川崎や秀治と作戦を考えたり、魔法で洗脳された王を助けたり、ラーニャ石を破壊したりと実に様々な事があった。神的にも力的にも限界だったし、出來れば二度とあんな事が起こらないでしいと蓮斗は思っている。

(……だけど、他國と敵対してる限りそう簡単にいかないよな……。國王陛下だって何処逃げたかわからずじまいだ。この先、何が起きるか不安で仕方ない……)

蓮斗は今の現狀を思いだし、盛大に溜め息をついた。七年前に國王陛下が獣人族の國"シランドゥ"を制圧しようとして失敗した。シランドゥに攻め込んだせいで、今まで保たれていた均衡が崩壊し、ガルンは他國から敵視されるようになってしまったのだ。……これじゃ、ガルンから他の國に行くことが出來ないしその逆もまた然りだろう。はぁ……。いきたい國とかあったんだけどなぁ……。行くためにはまず現狀を解決しなければならないだろう。でも、俺一人でいても現狀なんぞ何一つ変わりはしない。俺にないのかなぁ、現狀を打破できるスキル。

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俺はそんなことを思いながらふと、ステータス確認する。

柏沢蓮斗 Lv.20 職業:生

生命力 53070

魔力 55690

魔法展開速度 56570

魔法耐 60040

想像力 60040

スピード 52030

攻撃力 56060

力 52700

スキル

魔法生(+魔法式省略)(+威力維持)、無詠唱、全屬(+反)、気配遮斷、気配察知、変幻自在(+能力値底上げ1.2倍)、強化、炎眼、長促進

おっ。長促進が加わってるな。まあ、殘念な事にすごい能力はなかった。それでも、この長促進とかいうスキルはすごいと思う。Lv.20になったからかな? ……考えても答えは出ないよな。うん、深く考えないことにしよう。今は素直にこのスキルが手にった事を喜ぼう。それにしても……。炎眼、役立たなすぎだろ。使う場面なんかほとんど無かったぞ。

(……そんなことないのじゃ……)

「うぉ!?」

俺は頭の中に響いた聲にびびったと同時にとても聞き覚えのある聲だと思った。

「……その聲はもしかしなくてもウェスタか?」

(そうじゃ。妾こそ#あのスキル__・__#を與えたウェスタじゃ)

「う……。わ、悪かったよ。役立たずとか言って」

(い、いや……。役立たずだったのは事実だったしの……。こちらもむきになってすまなかったのじゃ……。あと、お主。聲を出さずとも良いのじゃぞ。お主には妾特製の念話石を渡したはずじゃ。それに……。聲を出して喋ってると、はたから見て獨り言を呟いているようにしか見えんじゃろ? )

ウェスタが蓮斗の世間(?)を心配してそう言うが、當の本人は、

(…………念話石って何だ?)

こんな調子だった。

(うう……。妾は確かに渡した筈じゃ!! お主の首にネックレスみたいなのがかかっておるじゃろ!?)

ウェスタはし涙聲になりながら、蓮斗にそう言った。蓮斗は自分の首もと回りを確かめるように手をかす。すると、確かにい石のようながあった。多分これがウェスタの言う念話石なのだろう。

(……確かにあったぞ……。の石が。視界にらない位の所にあったから多分忘れてたんだと思う。ごめん、ウェスタ)

蓮斗は申し訳なさそうにウェスタにそう言う。

(わ、わかれば良いのじゃ。して、お主よ。妾はそろそろ寢るのじゃ。この先も何が起こるかわからんからな。油斷は大敵じゃぞ)

(おうっ。てか、神もちゃんと寢るんだな……)

蓮斗の頭の中では、神様は不眠不休で働くものかと思っていたので、寢る、という言葉を聞いた瞬間し驚いた。

(む……? どうかしたのか?)

(あ、いや。神も寢るんだなって思ってさ)

(いくら神と言えど寢ないやつなどおらんのじゃ!! そんなやつはある意味化けじゃ!!)

神なのに化けとか言っちゃったよ。俺だって三徹ぐらい余裕だったんだぞ? 本當だからな? 決して哀れな奴ではないからな?

(まあ、ウェスタ。その……お休み)

(お休みなのじゃ)

ウェスタがそう言い念話が終了する。俺も寢ようかなとベッドに倒れこもうとしたがふと、大事な用件があることを思い出した。

(川崎への返事か……。返事はもう既に決まっている……。後は勇気を振り絞るだけだな……)

蓮斗はそう思いながら、川崎のいる部屋へと向かうのだった。

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