《世界にたった一人だけの職業》蓮斗・秀治 VS ザティック盜賊団 ー2

「我の手元に集いし風の粒子よ……。鋭い刃となりて、敵を切り刻め……! "風刃ウィンドカッター"」

秀治の放った魔法は、三人の盜賊に的確に、速い速度で向かっていく。だが、三人とも難なく"風刃ウィンドカッター"を避ける。秀治はその事に驚きを隠せない。しかし、ここであたふたしては格好の獲になってしまう。秀治は軽く舌打ちすると、次の魔法を唱え始める。

「水と風よ……今わりし二つの力、一つの牙となりて敵を討て……! "氷棘回転大舞アイスピラーロンド"」

秀治は、鋭い氷の塊を複數形し、三人の盜賊に向かって放つ。

「……だから甘あめえんだよ!」

三人ののがさつそうな男がそう吐き捨てるように言い、さも余裕そうに避けようとするがーー。

「"転送ムーブコネクト"」

秀治が無詠唱・・・でそう唱えた瞬間、空中に複數の魔法陣が出現し、放たれた鋭い氷の塊が吸い込まれたように消えて行く。その様子に三人の盜賊達は、一何がしたいんだ? と嘲笑するかのように秀治を見やる。

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「……お前もついに気が狂っちまったか? 自分で放った魔法を自分で消すなんてな」

がさつそうな男はそう言いながら、馬鹿にしたように鼻で笑う。

「じゃあ、次はこっちからーーー」

がさつそうな男が秀治にそう言葉を告げようとした瞬間。

「があああああぁぁぁ!?」

突如として悲鳴をあげる後ろの二人の盜賊達。がさつそうな男は驚いて後ろを振り替えると、そこには秀治がさっき放った鋭い氷の塊の破片と、鋭い氷の塊がいくつもを貫通し、を流しながら倒れている二人の盜賊の姿だった。

「……運だけはいいようだな……」

秀治は一人呆然と立ち盡くすがさつそうな男を見て、軽く舌打ちしながらそう吐き捨てるように言う。

先程秀治が発した魔法"転送ムーブコネクト"は、対象を別の場所へ移す魔法だ。移せる大きさや重さには制限がついてくる。秀治はその制限ギリギリの大きさと重さに鋭い氷の塊を調整し、"転送ムーブコネクト"で盜賊達の背後に鋭い氷の塊を移させ、放ったのだ。

先程までとは打って代わって窮地に立たされたがさつそうな男は秀治のその言葉にぐっ……と悔しそうに唸った。

「……だが、ここで負けるわけにはいかねえんだよ!」

全ては頭のために。是が非でもここは通さない。

「うおおおおおぉぉぉぉ!!」

がさつそうな男はび聲をあげながら秀治に突っ込んでいく。その手には勿論短剣。常人から見ればこの男のく速さは、速かったかもしれないが……。

「炎の霊よ……焼き盡くせ! "炎弾フレイムバレット"」

秀治は短詠唱・・・・で魔法を発させる。多威力は落ちるが……。仕方ないだろう。なにせ敵がこちらに向かってきているのにちんたら詠唱など出來る筈がない。

「がああああぁぁぁ……!!」

がさつそうな男は秀治の放った"炎弾フレイムバレット"を避けきれず、直接喰らってしまい、斷末魔の悲鳴をあげながらその場に力盡きたように倒れた。

「……ふぅ……。これで終わりか……」

秀治はそんなことを呟きながらホッと一息つく。

「終わったみたいだな」

聲のした方を振り向くと、そこにはやはり蓮斗が立っていた。後ろの方には四人の盜賊達が気絶していた。

「ああ……。すまない、蓮斗。手間をかけすぎた」

秀治は申し訳なさそうにそう言った。

「……秀治。気にしなくていいよ。俺はたまたま剣し習ってただけだから」

蓮斗はそう言いながら苦笑する。

「……そういえば蓮斗は剣をならってたんだったな……」

「……まあ、とは言え俺一人で盜賊7人を相手取るのはさすがに厳しいかな……。やっぱり秀治がいてくれて良かったよ」

自分で言っておいてあれだけど、ものすごく恥ずかしい臺詞を口にしてしまった……。

「ま、まあ、あれだ。早く行こうぜ。捕らわれている人たちを助けに」

蓮斗は強引に話題を切り替え、秀治にグライシアス鉱山のり口にろうと促す。秀治はそんな蓮斗の姿に苦笑する。

「……そうだな。一人でも多く救いだそう」

秀治がそう言うと、蓮斗も頷き、グライシアス鉱山のり口にっていく。秀治もその後に続いて、り口にっていった。

こうして、蓮斗・秀治 VS ザティック盜賊団の本格的な戦いが幕を開けた。

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