《世界にたった一人だけの職業》蓮斗・秀治 VS ザティック盜賊団 ー4
「……蓮斗。気配を消すことって出來るか?」
秀治は蓮斗にそう尋ねる。
「ああ。できるよ」
「……じゃあ、共有コネクトしてくれないか? 生憎だが気配を消すスキルを持ち合わせてなくてな……」
秀治は蓮斗に対して申し訳なさそうな顔でそう言った。
「わかった」
蓮斗はそう言うと、魔法を唱える。
「"気配遮斷インディケイションカット"、"共有コネクト"」
これで気配を消すことができた。後は、盜賊や捕まった人々がいる場所に行くだけだ。
「行こう」
蓮斗は秀治にそう言う。秀治もそれに頷き、蓮斗の後に続く。
暫く何もない道を進むと、何やら複數人の話し聲が聞こえた。蓮斗と秀治は細心の注意を払いながら進んでいく。"気配隠蔽インディケイションカット"は一度でも見つかればその相手に対して効果がなくなるのだ。油斷は出來ない。
「……あれか」
蓮斗はそう呟きながら談笑している盜賊達、その傍にいる腕、足ともにしっかりと拘束された人達を見やる。捕らわれているのは人間族、エルフ族、ドワーフ族等様々だった。ただ共通して言えることは皆年端もいかない子供たちだということだ。
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(……子供たちだけか……。多分他のはもう一方の道を行った先にいるんだろうな……)
蓮斗はそんなことを思いながら、ここは早く切り抜けようと思った。これは一刻を爭う事態だ。早めに切り抜けられればそれがベストである。
蓮斗と秀治は隙を伺いながら盜賊達の話に聞き耳を傾ける。
「なあ、暇じゃねえか? あいつ・・・も全然來ねえし」
「まあ、一応警戒しとけって言われただけだしね……。まあ、そうすぐには來ないよ」
穏やかそうな雰囲気の盜賊がそう言いながら苦笑する。この様子だと蓮斗達には気づいていないようだ。
「は~あ……。お頭からの伝言だとか言うから、また・・おこぼれがもらえるかもしれないと思ったのによ~」
そう言った盜賊の男はボリボリと頭を掻きながら、ため息をつく。
「まあ、仕方ねえけろ。おこぼれだってしょっちゅう貰えるものじゃあねえけろよ」
変な口調の盜賊がそう言いながら落膽する盜賊の男をめる。この男がどうやらこのグループのリーダーのような存在らしい。
「……じゃあ、こいつらを犯すのはどうだ?」
盜賊の男はそう言いながら、腕や足枷をつけられている子供、特に達になめ回すような視線を送る。それに反応した達はを震わせ、顔を青ざめさせていた。
「……それは駄目だってお頭に言われたろ?」
穏やかそうな雰囲気の盜賊がその男を咎めるような口調で諭す。ここで子供達を滅茶苦茶にしてしまえば、商品としての価値が下がってしまう。それだけはどうしても避けたい。しかも、過去に盜賊の男には前科がある。それがお頭にばれてこっぴどく怒られるかと思ったが……。思いの外寛容であり、許しを得ることが出來た。だが、さすがに二度目となればそうはいかない。その事態だけは何が何でも避けたい所だった。
「……ばれなきゃいんだよ、ばれなきゃ」
だが男は穏やかそうな雰囲気の盜賊の言うことなどまるで意に介さず、エルフ族ののにれようとしたーーーその時。
「ぐああああぁぁぁ……!?」
突如として腹を抑え、悲鳴をあげだした盜賊の男。その腹にはいつの間にかが滲み出ていた。それを見た他の仲間達も事態を察したのか。
「賊だぁ!! 賊が侵しているぞ!!」
仲間のの一人がそう聲を張り上げる。今やこの場はパニック狀態だ。
「うがああああぁぁぁ!!」
そうこうしてるうちに盜賊達が一人、また一人と飛沫をあげながら倒れていく。
「……何が起こってるんでけろか……!?」
「わからないね……。ただひとつ言えることとすれば……相手は高度な気配隠蔽系の魔法を使っているということだね……」
穏やかそうな雰囲気の男は苦蟲を噛み潰したような顔をしながらそう答える。先程から賊とやらの姿は一切見えない。となれば、自分達と同じ系統の魔法を使っているのはほぼ間違いないだろう。
「……汝、我の目に萬を見通す力を授けたまえ……"気配探知インディケイションサーチ"」
穏やかそうな雰囲気の盜賊がそう唱えると、早速"気配探知インディケイションサーチ"に二人の姿が引っ掛かった。
「ボーテス! お前の後ろに二人いるぞ!!」
穏やかそうな男がそうぶがーーー。
「……!? あがああぁぁぁぁぁ!!」
変な口調の盜賊ーーボーテスは悲痛なび聲をあげ、その場に倒れ伏す。やはり、その腹には刺された跡があり、そこからが流れ出ていた。
「ぐっ……! 貴様ら! 姿を現せ! そこにいるのはわかってるんだ!」
穏やかそうな男が荒々しい口調でぶ。すると、突如何もない空間から現れる二人の年。その姿を見た穏やかそうな雰囲気の盜賊ーーカエルムは怒りにを震わせた。たった二人に、我ら盜賊の殆どがやられたのか、と。
「……っ! お前らごときに負けてたまるかああああぁぁぁ!!」
先程までの雰囲気とは打って代わり雑な口調で怒りをにするカエルム。
「"必中の炎小刀ファシュタントフレイムナイフ"ッッッッッ!」
カエルムは蓮斗と秀治に向かって炎に包まれたナイフを投げた。
「"意思なき者は立ち去れゴーアウェイヒア"」
蓮斗がそう唱えると、蓮斗と秀治の周りに強固な結界が展開される。それにより、カエルムのナイフは弾かれたーーが。
ガキィィィィン!!
なんとカエルムのナイフは再度蓮斗の結界を攻撃してきたのだ。
「あははははは!! どうだ、この魔法は? 僕の魔力が続く限り、そいつは攻撃し続けるぜ?」
カエルムは不気味な笑い聲をあげながらそう言う。よほどこの魔法に自信があるのだろう。ーーだが、相手が悪かった。
「"魔法分解マジックツェアファレン"」
蓮斗がそう唱えると、ナイフにまとわりついていた炎が消滅し、ナイフは勢いを失ってそのまま地面に落下した。
「……な、何で……!?」
カエルムは自の魔法がいとも簡単に破られたことに驚愕し、戦慄した。
「……これで終わりだ」
蓮斗はそう言うと同時に凄い速さでカエルムの懐に潛り込み、鳩尾を短剣の柄の部分で打ち付ける。
「ぐあああぁぁぁぁ……!?」
カエルムはき聲をあげながらその場に倒れ伏した。
「……っ……。ぐっ……」
カエルムは息も絶え絶えであり、意識が朦朧としていた。
ザティック盜賊団にとって、ここまでは計畫通り・・・・・・・・・なのだ。カエルムもまた、今までの盜賊達と同様、捨て駒にしか過ぎなかった。
(……お頭、後はお願いします……)
カエルムは心の中でそう呟くと今度こそ意識を闇の中へと落としていった。
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