《世界にたった一人だけの職業》蓮斗・秀治 VS ザティック盜賊団 ー5

「ふぅ……。ここもこれで全部か……」

蓮斗は一息ついてそう呟いた。

(う~ん……。どうやってこの子達を運べばいいか……)

小さな子供達をここに放置して先に進むのはまずいだろう。かといって、こんな大人數で移していれば何かと目立つ。何か良い案はないのだろうか。

「蓮斗、どうしたんだ? そんな顔をして」

「ん~とな……。この子達をどうやったら目立たず連れていけるのかと思ってな……」

「……それなら、"萬能収納インベントリ"なんてどうだ? 蓮斗なら使える気がするが」

そうか! その手があったか。今までどうやって「隠す」かしか考えてなかったからな……。「しまう」という発想は無かった。さすが秀治。やっぱり頭がらかいな。

「そうだな、試してみるか」

蓮斗はそう言うと魔法を発するために頭の中で"萬能収納インベントリ"を想像する。

(……う~ん……。個別にれられるように分離の魔法陣と……要領は……その時にサイズが変えられるような魔法陣にして……)

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「……よし、"萬能収納インベントリ"」

蓮斗がそう唱えると、突如空間にブラックホールのようなものが出現した。

「おい、お前達。一旦これにってくれないか?」

秀治はおよそ子供に話し掛けるような口調とはかけ離れた言葉でそう言う。蓮斗はそんな秀治を見て、もうちょっと優しく話しかけろよ……とは思ったが口には出さなかった。秀治が変なところで不用なのは蓮斗も承知の上だ。それにこんな狀況であーだこーだ言っても仕方がないだろう。取り敢えず優先すべき事はこの子達をここから出させることだ。

案の定、秀治に話しかけられた人間族の年は顔を青ざめさせ、震いしていた。俺達を盜賊の仲間と勘違いでもしたのだろうか。

「あ、あの……あなた達は一……!?」

先程、盜賊の男にられそうになったエルフのがそう尋ねてくる。

「俺達は君達を助けに來たんだ」

蓮斗が秀治に代わってそう答える。

「……そうですか。あなた達もそうやって噓を吐いて私たちを……!!」

エルフのはそう言いながら俺達を睨み付ける。というか最初から本當のことしか言っていないのに何故ここまで睨みつけられるんだ……? 何か會話がいまいち噛み合ってないし……。……そう言えば、腕と足枷外すの忘れてたな……。

蓮斗は一旦萬能収納インベントリを解除する。そして、そのまま子供達の方へ歩みを進める。

「……? 蓮斗、どうしたんだ?」

「い、いやぁ! 來ないで!!」

ここまで拒絶されるとはね……。ちょっと傷付くな。

蓮斗はそんなことを思いながらため息をつく。暫く歩き、子供達の前まで來ると蓮斗は跪ひざまずいた。相変わらず子供達は震えていた。

「くっ……! 覚えてなさいよ! あんたなんかギッタンギッタンにしてやるんだから!!」

やはり會話が噛み合わないエルフの。蓮斗は再度溜め息をつく。

「"通眼アセスメント"」

蓮斗がそう唱えると、蓮斗の前に何やら畫面らしきものが浮かび上がった。

魔力封じの腕

魔力を封じることの出來る腕。抗魔の式が埋め込まれている。一度対象につければ解除するまで外れない固定の式も組み込まれている。

筋力低下の足枷

筋力が低下する足枷。対象の筋量を三割程度減させる、弱化の式が埋め込まれている。一度対象につければ解除するまで外れない固定の式が組み込まれている。

「……秀治。魔力はあとどれくらい殘ってる?」

「……ちょっと待ってくれ。確認してみる」

そう言って秀治は何やら指をかし始めた。多分、ステータスを確認しているのだろう。

「……あと半分くらいだ」

「そうか……。因みに式の分解ってお願いできる? 腕と足枷に魔法がかけられてて……」

蓮斗は秀治に"通眼アセスメント"で得た報を秀治に伝える。秀治も時々相槌を打ちながら蓮斗の話を聞いた。

「……ということは固定の式が外れれば腕と足枷は解除されるということか……」

秀治は蓮斗から聞いた報を総合して、抗魔法の式と弱化の式は解除する必要がないと判斷した。

「オーケーだ。俺が式分解をしよう」

「ありがとう、秀治。俺、こういうの苦手でさ……」

蓮斗は苦笑しながらそう言った。

「まあ、蓮斗が緻な作業が苦手っていうのは今に始まった事じゃないから気にするな」

秀治は冗談めかしたように蓮斗にそう言った。

「……汝に降りかかりし呪いよ……今我の手にて霧散したまえ……"式無効化ディスマントル"」

秀治がそう唱えると、腕と足枷がそれに反応したように淡いを放ち始める。暫くすると、エルフのにつけられていた腕や足枷がガチャリと音をたてながら外れ、地面に落ちる。エルフのはその景に目を見開いた。

「……よし、この調子なら全員解除出來そうだ」

秀治はそう言いながら、他の子供達の腕と足枷の解除にかかった。

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