《世界にたった一人だけの職業》救出。そして、その後。 ー2

「えーっと……。どういうことでしょうか」

した顔でそう聞いてくる人間族の男

「それは、今から説明します」

蓮斗もこの質問がくるのはわかりきっていた。いきなり街を作ろうと言われてもこいつ本気か? と疑うのが普通だ。街を作ろうと言われてすんなりとれられたらそれはそれで凄いと思う。

「街というのは寄りのない人たちが暮らすための街です。勿論、きょくりょく他人の目には曬させないようにします。作る場所はここ、グライシアス鉱山付近の空き地です」

「は、はぁ…………」

未だ困する人間族の男。ここはもう一押し。

しでも皆さんが安心して暮らせるような街を提供していきたいのです。怯えることなく、毎日過ごせる快適な街を」

「し、しかし……」

は言い淀みながらエルフ族の人々をチラッと見やる。多分、異種族同士で街を作るのは思うところがあるのだろう。実際、人間族は亜人族のほとんどから嫌われているのだ。主にガルンがシランドゥに攻め込んだ事が原因で。

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「まあまあ、良いじゃないですか」

蓮斗が聲の聞こえた方に向くと、そこにはエルフ族の男が。その男が蓮斗の方に歩みを進め、適當な所で止まる。

「今は異種族同士だからと言っている場合ではありませんよ。それに、私達だって路頭に迷う訳には行かない。そうでしょう?」

エルフ族の男の問い掛けに人間族の男は戸いながらもあ、ああ……と頷く。他の人達もその意見に賛なのかうんうんと頷いている。

「……次の説明に移りたいのですが……よろしいでしょうか」

蓮斗は頃合いを見計りそう提案する。すると、皆靜かになり、蓮斗の話に聞き耳を傾ける。

「まず、皆さんの住居について説明します」

これは気にしてる人も結構多い筈だし、先に話しておいた方が良いだろう。そう蓮斗は判斷し、話し始めた。

「住居については俺の魔法で作りたいと思います」

蓮斗は基本的にどんな魔法でも扱うことが出來る。問題は素材が必要かどうかなのだが……そこは追々検証していけば良いだろう。ここら辺には素材になりそうなものが富にあるしな。

蓮斗が魔法で住居を作ると言った瞬間、周囲がどよめいた。

「おいおい……それって錬金師の上級職『合師』でもないと不可能なんじゃ……」

「でも、あの子は他の魔法を使っていたわ」

「ってことはあいつは魔師なのか…………?」

いえ、どれも違います。生師です、俺は。まあ、それは置いといて。

「皆さん、落ち著いてください。まだ説明は終わっていません」

蓮斗がそう呼び掛けると再び靜かになった。蓮斗はでは、続きの方を説明します、と言って説明を再開する。

「次に二つ目、食料の事ですが……基本的には自給自足でいきたいと思います」

食料を他から買うばかりでは、食費が膨大なことになってしまい、街を作ったとしても直ぐに壊滅してしまうだろう。そうならないためにも自給自足は必須だ。

これには皆も納得なのかうんうんと頷いている。と、そこに。

「あのー、ちょっといいですか」

一人、三十代くらいの人間族のが遠慮がちに手を上げた。

「はい、何でしょうか?」

「自給自足の事についてなんですけど……私のように農業の経験の無い者にはどうしたら良いのか分からないと思うのですが……」

う~ん……。痛いところをつかれたな……。俺も農業やったことないから知らんし……。

「……この中に農業の経験がある人はいませんか?」

すると數人だが、ちらほらと手が上がる。

……後で栽培経験のある作も聞いてみよう。全部栽培できるとは限らない訳だし。

「農業経験の無い人達は農業経験のある人達に教えてもらいながら進めてもらうと言う形でどうでしょう?」

蓮斗がそう提案すると、人間族のは納得したように頷いた。

(次は分擔だな……)

蓮斗は人間族やエルフ族の面々を見て、街を作るにあたってどう役割を分擔するか考えるのだった。

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