《世界にたった一人だけの職業》3章 街作りに向けて

「次は街を作るにあたって分擔を決めていきたいと思います」

……俺の読んだラノベ通りならエルフ族は魔法が得意な筈。人間族は確か他の種族に比べて様々な技で秀でているって保安ギルドのマスターも言ってたな……。だけど……ここに何かしらの技を持った人はほとんどいない。どうしたものか……。取り敢えず気になることから聞いてみよう。

「所で、エルフ族の方々は魔法は得意ですか?」

「ええ、得意よ。なんたってエルフ族は魔法で発展してきた種族なんだから」

若いエルフ族のを張りながら言った。

それにしても……。エルフ族にはが多いな。それに……スタイルだって……。

は皆スラッとした型で、は皆ほとんどがボン、キュッ、ボンなのだ。蓮斗だって高校二年生、そういうお年頃なのだ。

……っといかんいかん。それより分擔決めだったな。エルフ族は魔法が得意だから……。

「エルフ族の皆さんには、森の開拓の方をしてもらいたいと思います。今の広さでは街を作るにしても限度があると思いますので」

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今の広さでは、一戸建ての住宅が二、三件建つくらいが限界だろう。街を作るのなら最低でもこの広さの數十倍はしいところだ。

蓮斗の提案にエルフ族の人達は、快く頷いてくれた。

よし。後は人間族の方か……。う~ん……。正直困るな……。これと言って特筆すべきことが無いのが人間族。何かしらに秀でていれば、考えようもあるんだけどなあ……。

蓮斗は暫く考え込んだ。そして、妙案を思い付く。

……そうだ……! 街の設計でも考えて貰えば……!

蓮斗達はまだ街の構想を大まかにしか決めておらず、細かいところはまだ手をつけていない。そこに、他の人の意見を取りれれば更に良くなるかもしれない。

「……人間族の皆さんには俺と一緒に街の構想を考えて貰いたいと思います」

蓮斗がそう言うと、再びざわめき始めた。しかし蓮斗はそれに構わず話を続ける。

「皆さんの意見を取りれることで、より快適に過ごせる街を目指せると思います。その為にも皆さんの知恵を俺に貸してください」

すると、先程のざわめきが収まり、皆真剣な顔つきに。

「…………どこまで出來るか分かりませんが、出來る限りの事はやってみたいと思います」

先程の人間族の男がそう言った。

「では、皆さん。作業にかかって下さい」

蓮斗がそう言うと、人間族、エルフ族から元気の良い聲が聞こえた。

(そろそろ秀治も帰ってくる頃か……? 帰ってきたら街作りについて會議しないとな……)

蓮斗はそう思いながら、この辺り一帯に"#空間分離の結界__ディバイド__#"を張った。

◇◆◇◆◇

「ふぅ……。やっと全員送りきれたな……」

秀治は一息つきながら呟く。

エルフ族は、ソリューカの森の外れの方に住んでいたので、グライシアス鉱山と近かった。

エルフ族は獨自の國家をもっておらず、小規模の集落で生活している。魔法で発展してきた故に、経済の事や國の運営については全くの無知であったからだ。エルフ族の間では、お金も全く流通していない。食料もそこら辺の魔を狩って調達すれば済むし、住居もある程度の規模なら魔法を使って建てられる。要するに國を建てなくとも、生活はり立ってしまうということだ。

それにエルフ族の里、"スーフェル"は人間族の街とは違い、自然が溢れる綺麗な街だった。秀治もその景を見て、思わず息をらした程だ。また機會があれば是非訪れてみたいものだ。

人間族の方は、一人一人住んでいる場所が違った為、エルフ族を送り屆ける時とは反対に苦労した。ただ、幸い皆王都出だったので、秀治が思っていたよりも時間はかからなかった。

「そろそろ戻らなきゃな……。蓮斗達は今頃どうしているのか……」

もう、街作りに著手しているのか。それともまだ街について説明會してるのか。どちらにせよ、一刻も早く戻り街作りに協力しなければならない。

それにまだ街の構想だって大まかにしか決めていないのだ。それも話し合う必要があるだろう。

(よし……。し急ぐか)

秀治はグライシアス鉱山の方へ走って行った。

投稿が遅れてしまい申し訳ありません。宿題が多く、なかなか小説の方まで手が回りませんでした。今後もこういうことがあると思いますが、どうかお付き合い頂ければ幸いです。

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