《外れスキルのおで最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜》第22話 雲行きが怪しいですね…

 「さ、さて、そろそろ村の案の続きをお願い出來ますか?」

 自分自でも上手く笑顔を浮かべられてない事に気付きながらも、平穏無事な日々が送れることを願って話を流そうとする聡。

 「あ、そうだったね。話に夢中になってて、つい忘れてたよ。じゃあ次は、あっちね。」

 イルマは聡の狙い通り、もろフラグっぽい話から離れるのだった。

「と、言うわけで、以上がこの村の主要な施設かな。」

 

 とびっきりの良い笑顔で締め括るイルマ。

「はい、ありがとうございました。ちょっとの間、この村でお世話になる予定なので、大変に助かりました。」

 

 そんなイルマに、聡は深々と頭を下げる。案を始めて早2時間が経過した今、もうし打ち解けていても良さそうなものだ。 しかし聡は、日本に居た時から、に接する時は原則、敬語を解かず、バイト先の後輩の子にも敬語、クラスの子にも敬語、唯一でも敬語じゃないのは親族、若しくは敬語を止めるように指摘された時だけという徹底ぶりであった。その理由として、『馴れ馴れしいとか口を言われるのがヤダ』という、最早、被害妄想の域に至っているものからきている考えだった。

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「もう!そんなに畏まってたら、気疲れして、生活が楽しくないよ?」

「う〜ん…。分かり、じゃなくて…分かったよ。」

 強迫気味のイルマの聲に逆らえず、仕方なしに敬語を止める聡。出會ってから數時間で敬語を止めるのは、トイフェルをタコ毆りにするよりも躊躇してしまうことであったが、あまり我を通しても仕方ないと判斷したのだ。

「ほんと?ありがとう!」

「まぁ、まだちょっと敬語出そうだけど、その辺は追々直してくんで、大目に見てくれたら有難いよ。」

 何故か嬉しそうなイルマに対し、遠慮がちな聡。

「そういえば、建の數に比べて、人がないように見えるけど、この村の人口とかって、どうなってるんです…なってるん?」

 ふと、『何か人を見ないな〜』とじた聡は、特に何も考えずに疑問を口にする。

 そんな考え無しの聡の疑問に、イルマは何でもない事のように、衝撃発言をする。

「実は一昨年に流行病で、村の人口の6割が亡くなったの。」

「え…。」

 唐突の重い話に、返す言葉を無くす聡。

「特にの弱いお年寄り、、子供は癥狀が重くて、助からない人が多かったの。」

「…。」

 暗く、重い話に、聡は無言のまま厳しい表をしている。何か言葉を返そうにも、そんな現実を目の當たりにしたのは初めてであり、かつ験もした事が無いため、空虛な言葉しか思い浮かばなかったのだ。

「あ、ごめんね!急に変な話をしちゃって!こういう辺境の村だと、よくある話だから気にしないで!」

 そんな聡の表に気付き、慌てて作り笑いを浮かべて、暗い雰囲気を払拭しようとするイルマ。

「い、いや、大丈夫。気にしてないから。」

 いきなり謝られた聡は、慌てて返答するも、咄嗟に出た言葉の至らなさに、心の中で自を責めた。

-『大丈夫。気にしてないから。』って何やねん!?もうし気の利いた答え方は無いのかよ!?-

 その後、村長であるマリウスが待っているであろう場所、すなわちイルマの家に到著するまで、イルマはぎこちない態度、聡は顰めっ面という、非常に居心地の悪い雰囲気を醸し出していたのだった。

「マリウスさ〜ん!生きてますか〜?」

 村長宅の目の前まで來ると、急に聡は元気になって、能天気に呼び掛ける。

 すると、扉の奧からドタドタと音がしたかと思うと、『バーン!』と勢い良く開かれ、そこからマリウスが飛び出してくる。

「サトシッ!さっきはよくも俺の事を!!」

 見た様子だと、まったくの無傷であるマリウスは、開口一番、自を生贄にしてエスケープした聡を責めてくる。

「え、何のことですか?」

 我ながら非常に良い出來の、渾の『心底不思議そうな顔』が出來たと自負しつつ、聡は首を傾げる。

「ムキィ〜!」

 自負するだけあり、マリウスにクリーンヒットしたようで、湯気が見えそうなレベルで顔を真っ赤にしている。

「…キャラ崩壊凄いな。あ、後ろにエマさんが。」

 だが、マリウスの最大の弱點をしっかりと抑えてある聡には、そよ風にも等しいプレッシャーしか與えられない。

「なにぃっ!?」

「噓です。」

「サトシ!」

 聡とマリウスの掛け合いが行われる中、先程まで心ここに在らずだったイルマは、父親が手玉に取られる様子に、思わず笑ってしまっていた。

「ふふふっ。」

「お、何か久しぶりにイルマの笑顔を見た気がするぜ。」

「え、そうなんですか?」

 そんなイルマを見たマリウスは、怒りの表から一転、実に嬉しそうにする。だが聡は、案の最中に結構見た気がしたため、マリウスの言葉に驚く。

 こうして、エンデ村での滯在の日々は、幕を開けたのだった。

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