《外れスキルのおで最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜》第31話 平和的解決?(2)

 昨日、案を思いついた時、予め整えておいた手筈通りに、なるべく屈強な格の男達、そして、敵に対しては恰好の餌となるであろう、イルマと共に、聡は門の前で待機する。

「さてさてさ〜て。此方としては、なるべく穏便に済ませたいからな〜。調きょ…じゃなくて、教えた通りに、奴さんたちがいてくれれば良いんだが…。」

 ニヤリと笑みを浮かべる聡。

「落ち著いてる様に見えるけどよ、実はお前は、ドSなんじゃないのか?」

 聡の笑顔を間近で見たマリウスは、呆れた表だ。

「む、失敬な。超紳士な私に向かって、酷くありません?」

「そうだよ、お父さん!サトシさんが人を痛めつけて、喜ぶ様な人な訳ないじゃん!」

 聡は巫山戯て言うが、そうとは気付かないイルマは、穢れひとつない目で、言い切る。

「そんな純粋な目で言われると、心が痛いよ…。」

 聡は目を逸らしながら呟く。この300年間、『興味深い!』『面白い!』といったようなでしか、いてなかったため、、ないし、異に対してのは完全に枯れているかと思われたが、イルマに対してし思うところがあるようで、後ろめたいのだ。

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「あ〜、お!見えた!」

 何にも言えなくなってしまった聡だが、丁度良いタイミングで、アノマリー一行の姿が、彼方に見えたため、そちらに全員の注意を逸らす。

『!』

 誰かの息を呑む音が聞こえてくる。

「サトシ、頼んだぞ。」

 正直マリウスは、村人を引き連れてさっさと逃げたい気分であったが、それでは何の解決にもならない事はよく分かっているので、一抹の希を全て、聡へと託す。

「えぇ、任せて下さい。」

 そう言うと聡は前進し、まるで代表者のような立ち位置になる。何故かイルマも著いてきているのは、ごである。

「貴様ら、門の前で何をしている?」

  一行のうち、代表格っぽい男は、近付いて來て早々、門の前で待機する男達を見て、そんな質問をする。

 まぁ當然と言えば當然であろう。何しろ、アノマリーがこの村に向かっている事は、村人には知らせていない筈であるからだ。

「それは、私のスキル【直】により、高貴なお方が村までいらっしゃると分かったので、出迎えをと思いまして。」

 マリウスがに手を當て、禮をしながら答える。

「貴様は?」

 男は何処までも不遜な態度をとるが、反対にマリウスは落ち著き払っている。流石は村長と言うべきか。

「私は、この村の長を務めさせて頂いております、マリウスと申す者です。このような辺境の地まで足労頂き、恐悅至極であります、アノマリー・ティストア様と、その一行様。」

「む!我々の素が良く分かったな。私は、副隊長のミュル・ゴッチャルである!我々素が分かっているのなら、さっさと通せ。ついでに、そっちの娘は獻上しろ。」

 丁寧な対応をするマリウスに対して、いきなりトンデモ発言をするミュル。

 そんな発言を聞いたイルマは、聡にピッタリとくっつき、し震えている。

「いや〜、ちょっと良いですか?」

 ここまで完全に想定通りに事が進んでいたため、聡は特に慌てることなくミュルに話しかける。

「あ?何だ?貴様は。」

「ここの門番をやっている、聡という者です。と、そんな事はどうでも良いんです。この子を獻上しろってのは、どういう意味でしょうか?」

 聡はニコニコとしてるが、目は全く笑っていない。そんな聡の様子に気付く事もなく、ミュルは無神経な応対を見せる。

「勿論、我々の主人に奉仕してもらうためだ。その後、我々にも奉仕して貰う予定だ。その気力が殘っていればの話だがな。クククク…。」

「ひっ!」

 ニヤリと、下衆な笑みを浮かべ、イルマのを舐め回すような視線を向ける。

「うわぁ…。ここまでのクズ発言出來る奴、初めて見たわ。です!握手をお願い出來ますか?」

 ミュルは、嗜心に駆られて言ったのであろうが、聡は更にトンデモない発言をする。

『はい?』

 多くの者から同じ言葉がれ、場の空気が固まる。

 『コイツは何を言ってるんだ?』と、全員の気持ちが一致した瞬間であった。

「あ、やっぱり良いです。この子が怖がるんで、近付かないで下さい。」

「は、恥ずかしいです…。」

 聡は、ヨシヨシとイルマの頭をでながら言う。

「くっ!貴様!俺を馬鹿にしているのか!?」

 そんな様子を見せつけられて、ミュルは勿論激昴する。一人稱が『私』から、『俺』に変わってしまっている。

「え?その通りですけど?あ、それと、この子は絶対に渡しません。」

 ここに來て明確な拒絶の態度をとる。

「貴様〜!!後悔させてやる!!おい!テメェら!この舐めた野郎を、の前で慘めにいたぶってやれ!ただし殺すな!アノマリー様にあのが壊される所を見せてから殺すのだ!」

『了解!!』

 無駄に統率が取れているらしく、全線の者が綺麗に武を構え、今にも突撃を仕掛けてきそうになっている。

「ありゃま。よし、イルマ、し離れといて。直ぐに、終わらせてくるよ。」

「う、うん。気を付けてね。」

 イルマは不安そうに頷くも、聡の言う通りに離れてくれる。

 それを見屆けた聡は、獰猛な笑みを浮かべて言う。

「さぁて、お前ら!死にてぇ奴からかかって來い!!」

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