《外れスキルのおで最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜》第34話 壽命が10年みました(不死だけど)

「はぁ〜…。マジで疲れた〜。」

 上げから解放されたあと、晝過ぎなのにそのまま屋外での宴會へと移行した村人たちに巻き込まれた聡は、周りに言われるがまま酒をあおり(【不老不死】の効果を抑えつつ)、漸く殆どの者が酔い潰れたところで、1人村の外に出て酔いを冷ましていた。

 現時刻はおおよそ22時ごろであり、実に10時間も宴會が続いたのだ。勿論、軽めのハイボールやサワーなどは無いので、ワインやエールなどでだ。冷えてなくて、あまり味しくはなかったのだが、楽しそうな雰囲気の中に居れば、それなりに飲めた。

「にしても、みんな飲みすぎだろ。特にマリウス。奴は蟒蛇だ。」

 聡は苦々しく、しかしどこか楽しそうな表で呟く。マリウスは宴會を率先して準備した上、漫畫でしか見ないような樽を抱えて、1人で一気飲みするという、人外のような飲みっぷりを見せたのだ。おで聡までやらされる羽目になってしまった。

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「…月が、綺麗だなぁ。」

 空を見上げ、しみじみと呟く聡。300年間も屋に居た聡は、見たじ地球とあまり変わらない月に、郷愁の念をじているのだろうか。

 空を見上げたまま、川を目指して歩く。

「…?」

 暫く歩き、川が近くになったのか水の音が聞こえるようになってきた時、何か背筋に冷たいものが走り、首を傾げる聡。

 特に何をするでもなく、何となく川辺に行きたかっただけなので、その時點で引き返すべきであったのかもしれないが、その後に起きる出來事を知らない聡は、そのまま歩みを止めることなく、河原へと到著する。

「川、か…。昔、深夜に友達と、真っ暗闇の中、山奧の川に遊びに行ったっけ?あの時は夏だったか?」

 まだ日本に居た頃、唐突に川に行きたいと、友達に車で連行された出來事を思い出す。

『パシャッ』

「!?」

 聡が思い出に浸っていると、川から水が跳ねる音が聞こえてきた。その音に驚き、聡はその方向を見て―――

「え…?」

 ―――完全にフリーズしてしまう。

「え。」

 聡の視線の先である、川の中に居る人・・も同様に、聡の存在に気付き、目を見開いて固まってしまう。

「「…。」」

 なんと、聡の視線の先には、月明かりに青白く幻想的に照らされた、イルマ・・・の姿があったのだ。しかも、一糸纏わぬ狀態でだ。聡は一瞬、彼のそんな姿に見れ、我を忘れかけるが、イルマの発した聲により、一気に現実へと引き戻される。

「い…。」

ーあ、やべ。これはばれたら終わりだ!!!!ー

 イルマの表が、段々と恥に染まっていき、『いや〜!!!!』とでもびそうな聲を出した瞬間、狀況の理解が追いつかぬまま、聡は慌ててイルマに駆け寄る。

「す、ストップ!」

 そして慌てて左手で口を塞ぎ、右手に持つ、アイテムボックスから高速で取り出したタオルをイルマのが隠れるようにかける。

「!?」

 口を塞がれたからか、それとも急にタオルのじたからか、はたまた両方が要因であるのかもしれないが、驚いてさらにび聲をあげそうになるイルマ。

「お、俺だ!聡だ!今ここでばれたら、外で潰れてる連中が駆け付けてきて、覗き魔認定をけるから!ビンタでもなんでも制裁を加えて良いから、ぶのだけは止めてください!」

 聡は口早に言葉を紡ぎながら、必死にイルマがぶのを止めさせようとする。実際には事故であるが、傍から見れば聡は覗きの加害者、イルマはその被害者以外の何者でもない。

 それだけは理解している聡。だからこそ、必死にイルマの説得を図るのであった。

「「…。」」

 あの後、イルマにどうにか落ち著かせ、川原に畳んであった服を著てもらった聡。しかし、々と気まずいため、お互いに言葉が無いままその場で固まっている。

「…大変、申し訳ごさいませんでした!!」

 そんな中、意を決した聡は、川原の砂利の上で、土下座をかまして謝罪する。

 事故であり、聡にそこまで非がある訳でも無いが、見てしまったのは事実である。そのため、こうして謝罪したのだ。

「え、さ、サトシさん?こんな所で土下座なんてしたら、怪我をしちゃうよ!気にしてな…くはないけど、良いから早く立って!」

 そんな聡に、イルマは慌てて土下座を止めさせようとする。

「いや、しかし…。」

 だが、これ以外の謝罪方法が分からない聡は、立つことを渋る。

「えっと、あ、じゃあ、何か1つ、私のお願いを聞く事を約束してくれれば、綺麗さっぱり許すから!」

「お願いを1つ…。分かりました。自分に出來ることであれば、多無茶であっても、葉えることを約束します。」

 聡にとっては、普通のの子が願うような事など、容易に葉えられるであろうから、それ一つだけで許されるのは、大変に喜ばしいことではあるのだが、それだけでは寧ろ申し訳なさが勝ってしまい、返事に々時間がかかってしまった。

「そ、そんなに固くならなくても。敬語に戻ってるよ?」

「あ〜、確かに。ごめん。ついね。」

  苦笑いを浮かべながら立ち上がる聡。

「ところで川で一何を?」

「えっと、今日はお晝前に、ちょっと嫌な汗をかいちゃったから、を拭くだけじゃなくて、水浴びをと思って…。」

 この世界では、特に、そこまで水が富とは言えないこの大陸では、主にを拭くだけで、風呂にったりする習慣は無いようだ。現に昨夜、聡もその洗禮をけることとなった。

 トイフェルと閉じ込められていた空間には、普通に風呂があり、毎日れたため、そんな目にあうとは考えておらず、深いため息をついたものだ。

「なるほど。あ、因みに俺は、川に涼みに。」

 イルマの理由に納得しながら、聡も一応自分の事を説明しておく。

 こうして、どうにか社會的な死から逃れることに功した聡は、イルマとぎこちない會話をしつつも、10數分後には無事に村に辿り著くのであった。

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