《外れスキルのおで最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜》第35話 そうだ、○○に行こう
 宴會の翌朝、賑やかな男どもの聲を目覚ましに、起床した聡。
「う、う〜ん…。」
 先日からマリウスに借りている、來客用の部屋のベッドで、大きくびをする。
 寢巻きには、この世界に來た時にたまたま著ていたジャージを流用している。勿論、トイフェルの持っていた魔道で、汚れや傷みなどが蓄積されないように、特殊に加工してある。でなければ、300年間ももたないだろう。
 「…今、何時だ?」
 ほぼ無意識下で『不老不死』の効果を弱めることが出來るようになった聡は、普通に眠れるのだが、元々朝に弱いため、上手く働かない頭を振りながら、アイテムボックスから取り出した時計で時刻を確認する。
「…は?」
 見ると時計は、1時を指していた。
「えっと…。そ、外は明るいな。で、時計は1時になってる。そしてこの時計は絶対に狂わない。つ、つまり、13時!?」
 昨日、イルマと別れたあと、寢ったのが23時ごろであるから、人の家に居候しているで、実に14時間も眠っていた事になる。
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「アノマリーとのやり取りでの神的疲労と、飲み會での疲れでこうなったのか…。」
 『はぁ〜』と溜息をつきながら聡は著替え始める。
 そして、著替え終わった聡は、靜かにリビングへと向かう。
「あ、エマさん。寢坊してしまってすみません。」
 起きる時間指定などは無かったが、常識的に考えてこの時間は有り得ないため、申し訳なさそうに謝る聡。
「あら、サトシさん。おは…早くはないわね。」
 笑顔で『おはよう』と言おうとしたエマだが、現在時刻を考え、言葉を切ってしまう。
「そ、そうですね。々と気が抜けてしまったようです。朝食を無駄にしてしまってすみません。」
「サトシさん。そんなに謝られても困るわ。それに、朝食なら気にしないで良いわ。うちには食いしん坊が2人も居るから、喜んで食べ切ってしまってるから。」
「あ〜、なるほど。育會系のあの2人なら、確かに完食しそうですね。」
 マリウスとイルマが綺麗に完食している様子が簡単に浮かんだ聡は、苦笑いを浮かべる。
 マリウスは言わずもがな、イルマはその格に似合わず、かなりの量を食べることが出來るようだ。
「ところでサトシさん。」
「はい何でしょう?」
 し遅いが、エマに晝食を出してもらい、食べている最中、エマから質問がとんだ。
「このあと、どうするつもりなの?」
「この後とは…?」
 その意図が分からず、首を傾げる聡。
 そんな聡に、エマはし真剣な顔付きで言う。
「ちょっと言葉が足らなかったわね。この後サトシさんは、この村に殘るつもりなのかしら?それとも、最初の自己紹介の時に言っていた通り旅人なら、どこかに旅に出るのかしら?」
「あ、そういう意味でしたか。そうですねぇ…。」
 聡はし考えるふりをする。何故なら答えは、既に出ているからだ。
 その理由は、勿論『不老不死』にある。この不老不死の効果は、気合いをれれば1ヶ月ほどは抑えられるが、それ以上はどう頑張っても無理で、効果が復活すると同時に、元通りに21歳の健康へとなってしまう。
 そのため、長期間の滯在により、自の特異がバレてしまい、々と面倒なことに巻き込まれるのが目に見えている。
 だから、同じ場所には長く居られないのだ。
「…やはり、旅に出ようかと思います。」
「そう…。寂しくなるわね。」
 1週間も居なかったのに、寂しいと言われ、どういう顔をすれば良いのか、ちょっと分からなくなる聡。
「あ〜、えっと、そうだ!」
「え?急にどうしたのかしら?」
 何か話題の変更をしたい聡は、取り敢えず思いついたことを口にする。
「どこか、お勧めの行先とかってありますか?この國について、全然知らないので、教えていただけると助かります。」
「う〜ん。ちょっと悩むわねぇ。何しろこの大陸、勇者様と魔王の戦いの余波で、地形ごとを破壊されてるから、見栄えのいい景とか無いのよねぇ。」
「あ〜、確かにそうですね。山ごとドカン!ですもんね。」
 エマの言葉に、聡はこの付近の昔の地図と、現在の地形の差異を、思い浮かべながら頷く。
 ーまぁ、吹き飛ばしたのは魔王じゃなくて、勇者だけどな。しっかし勇者『様』と魔王ねぇ。山ごと結界ぶち壊そうとして、山だけ消し飛ばした勇者に、様付けとは。どうせ都合よく伝えられてるんだろうな。ー
 魔王トイフェルが、絶対悪ではなく、寧ろ世界をする者であった事を、誰よりも深く知る聡は、自の想像に思わず顔を顰めてしまう。だが、それも一瞬の事で、直ぐに表を切り替えて、聡は聞いてみる。
「そういえば、この國の王都ってどこにあるんですか?」
 取り敢えず王道としては、リスカント王國の王都にでも行くのがポピュラーであろう。
 また、人が多い分、紛れることが出來ると考えたのだ。
「ここはリスカント大陸の最南端だから、大陸の中央にある王都へは、この村からびている道を、真っ直ぐ北に向かえば著くわよ。」
「なるほど。分かりました。日數としては、どのくらいかかりますかね?」
「徒歩で1ヶ月くらいかしら?馬車なら2週間もあれば著くわ。」
「け、結構遠いですね…。」
ー人間の歩く速度が時速4キロだから、1日あたり30、40キロ進むとして、1ヶ月となると、だいたい1000キロ近くか…。まぁ、歩く速度は荷によって変わるし、大でしかないけど、気楽に向かうとするか。ー
 こうして聡は、王都に向かうことを、決意したのであった。
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