《外れスキルのおで最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜》第36話 旅立の準備と告白

 エマと話したあとすぐに、マリウスやイルマ、飲み會で仲良くなった村人達にも王都に向かうことを話した聡だが、一様に殘念そうな顔をするので、何となく悪いな〜と思いながら、手早く別れの挨拶を済ませていく。

ー數日しか居なかったのに、何故かもっと長い期間居た気がするな…。飲み會で村の男衆とは、大分仲良くなったからかね?ー

 そんなことを考えながら、聡はこの村で唯一の雑貨屋に向かう。

 本來なら、何も買う必要は無いのだが、一応長旅用の保存食や、消耗品の類を買わないと、村人達に不審に思われかねないと考えたのだ。

「どうも、こんにちは。」

 挨拶をしながら、雑貨屋へとる。

 すると、中に居た中年の男が、返事をする。

「お、サトシさんじゃないか。いらっしゃい。どうしたんだ?」

 宴會で、村人とすっかり仲良くなったため、フレンドリーに迎えられる聡。

「えぇ、まぁ。近日中に、王都に向かおうと思ってるので、そのための準備をしようかと。」

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「え、王都に行っちまうのか!?そりゃあ殘念だなぁ。」

「まぁ、旅人ですから。」

 他の村人にも同じような事を言い、納得してもらっている聡。その対応は、最早慣れたものである。

「ということは、何か保存食が用な訳だな?」

「はい、そうです。何か適當に見繕って頂けますか?」

「おう、任せとけ。食料とかの消耗品だけで良いんだよな?」

「はい、お願いします。」

「出立の予定日は?」

「明日には出ようかと。あんまり長く居ても、出るタイミングが分からなくなっちゃいそうなので。」

「そうか…。まぁ、殘念だが仕方がない。飯は、日持ちが良くて、味いやつを用意しとくぜ。出來たら、マリウスさんの家に屆ければいいか?」

「えぇ、それでお願いします。」

 他にも、2,3質問に答えてから、聡は雑貨屋を出る。こうして、著実に旅立ちの準備を終えた聡は、マリウスの家に戻るのだった。

「なぁサトシ。」

 聡が雑貨屋に行っている間に帰ってきたマリウスが、借りている部屋で本を読んでいる聡に聲を掛ける。

「はい?何ですか?」

 本を閉じて顔を上げる聡。そんな聡に、マリウスは張した面持ちで口を開く。

「その、えっと…この村に殘る気は無いのか?エマもイルマも、サトシを気にっているようだし、俺も、その、なんだ?気にっているから…。」

 非常に言いづらそうにするマリウスに、聡は苦笑しながら言う。

「あ〜、お気持ちは嬉しいんですけど、この世界を旅して、見て回りたいと思ってるので、申し訳ないです。それに…。」

「それに?」

「旅に出るのは、自分がそうしたいからという理由の他に、別の理由もあるんですよ。」

「別の理由?」

「えぇ、別の理由です。口で説明するよりも、見ていただく方が手っ取り早いので、お見せしましょう。あ、勿論、にお願いします。」

「お、おう。分かった。」

 聡の言葉に、張を深めるマリウス。

 そんなマリウスを後目に、聡はアイテムボックスから、一振りの剣を出し、右手で持つ。

「さ、サトシ?一何を?」

 揺を隠せないマリウスに対して、ニヤリと笑いかけた聡は、次の瞬間、自の左腕を、肩から切り落とす。すると左腕は重力に従い、床に転げ落ち、肩から吹き出すは、床に水溜りを作る。

「ふぅ…。やっぱり気持ち悪い覚だな…。」

 左腕を切り落としたというのに、し眉を顰めるだけの聡。

「サトシ!?何をするん…だ?」

 そんな聡とは対照的に思わず大聲でぶマリウスだが、そのセリフの途中で、腕と床に溜まったが逆再生するかのように聡の左肩に戻っていき、次の瞬間には、何事も無かったかのように、綺麗にさっぱり元通りに、左腕がくっ付いた。

「これは回復魔法ではありません。スキルによるものです。」

「魔法ではなくスキルだと…?魔の中には自己再生するスキルを有するヤツが居ると聞くが、これはそんな生ぬるいものじゃないよな?」

「えぇ、そうですね。このスキルのおで、私は斬ろうが焼こうが何しようが、このように元通りになるのです。しかも回數制限はなく無限にです。」

 先程を切り落とした左腕をかして見せながら、聡は説明を続ける。

「これの恩恵は大きいんですけど、その分、面倒な奴らに目を付けられるので、普段は隠して生活してます。」

「…そうだな。サトシほど腕が立つ奴が、こんなスキルを持っていたら、誰だってから手が出るほどしいだろうな。で、なるべくバレるリスクを無くすために、あちこち旅して回るって事か。」

 ここで、マリウスは勘違いをする。聡が持つスキルが、ただ怪我の治りが異常に早いだけのスキルだと。

 もちろんそう考えるように仕向けたのは聡自であるし、目の前で腕を切り落とし、それが一瞬で治るという非現実的な現象を見せられて、頭がうまく働かなかったのだろう。

「はい、そうです。因みに、一番最初のイルマさんの矢をけていたら、大勢の前でさっきのを披することになってましたね。アハハハ。」

 マリウスの言葉から、上手く思考を導出來たと判斷した聡は、呑気に軽口を叩いてみせる。

 噓はついていないにせよ、自のスキルについて、一部分しか言わずに、旅に出る理由としたのだ。好意から村に留まるようにお願いしているマリウスに対して、罪悪じたのだ。そのため、話題を変えようと軽口を叩いた。

「おいおい…。」

 先程からすっかり聡のペースに乗せられているマリウスは、聡の笑顔のにあるに、最後まで気付く事は出來なかった。

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