《外れスキルのおで最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜》第46話 夢の冒険者ギルドです(3)
 エーリカのストレートを鳩尾にけて、青白い顔で転がり回っていたルドルフがよろよろと立ち上がったのは、それから約5分後であった。
「…さ、さて、エーリカ…様。サトシに、ギルドについて、説明してやってくれ…ませんか?」
 いつも通り、呼び捨てにしようとすると、エーリカが睨み付けてくる。それを見て慌てて取ってつけたように、様付けと敬語で話すルドルフ。
 その様子を、戦々恐々としながら靜観していた聡は、無言のままエーリカに視線を向ける。
「…コホン。お見苦しい所をお見せしました。」
 無表のエーリカに、聡はぎこちない笑みを浮かべる。
「い、いえ。エーリカさんが、怒って當然の事を、ルドルフさんはしましたから。」
 聡の言葉を聞いたエーリカは、無表のままだが、し頬を赤くしながら言う。
「…そうですか。それと、私は人が出來ないんじゃありません。要らないのです。」
「は、はぁ…。」
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 聡は気の抜けた返事を返すが、エーリカはヒートアップしてしまい、余計な事まで口走ってしまう。
「寄ってくる男は、ごまんと居るのに、皆ルドルフみたいなアホばっかり…。しかも、ルドルフは、その中でも結構マシな部類だし…。」
「…。」
ーこれが素の口調と格だな?ー
 仕事を放棄し、聡とルドルフの存在を忘れたかの様に、獨り言を言っているエーリカに、ジト〜っと視線をやる。
「あ、失禮しました。」
 その視線に漸く気が付いたエーリカは、さっきよりも頬を赤く染めながら、丁寧な態度で謝ってくる。
「いえ、大丈夫です。それと、口調も無理に戻さなくても良いですよ?」
 何となく、エーリカの口調は、素の方が良いとじた聡はそう告げてみる。
「そ、そうですか?…なら、お言葉に甘えて、素の喋り方をさせてもらうわ。」
 すると、エーリカは驚いた顔をしたが、やはり素の口調の方が楽なのか、素直に変える。
「はい。」
「じゃあ、ギルドについて説明するわ。…?何ですか?」
 口調を変えたエーリカは、説明をしようと口を開くが、聡の隣に居るルドルフの顔を見て、妙な表をしている理由を問う。
「い、いや。エーリカが、サトシに心を開いてるから、単純に驚いてただけだ。普段のお前なら、初対面の奴に、素の口調で話して良いとか言われても、絶対に事務的な口調を崩さないだろ?いや、それどころか、それなりに長い付き合いの奴らにも、口調を崩した事は無い。」
「へ?そうなんですか?」
 ルドルフの言葉にびっくりして、聡は思わず聲をあげる。
 口調云々にでは無く、『心を開いてる』という點についてだ。
 ルドルフの言葉が、エーリカに刺さったのだろう。彼は、一瞬、きが止まるも、直ぐに戸った様子になる。
「…そ、そうですか?」
「さてはお前…。」
 神妙な顔つきで、口篭るルドルフ。
 
ーあ、この流れは…。ー
 このやり取りを、何処かで見た事あると思った聡は、そっとルドルフから距離をとる。
「な、何ですか?」
「サトシに惚れたな?」
 ドヤ顔とは、まさにこの顔の事だろう。『決まった!』とばかりに、良い表でビシッととんでもない事を言うルドルフ。
 そんなルドルフに、思わずため息をこぼしてしまう。
「はぁ〜…。」
「ん?何だよサトシ。そこは喜ぶところじゃないのか?」
「いや、もう一度言いますけど、俺はエーリカさんに惚れてません。それに、エーリカさんが俺如きに、この短時間で惚れてたとしたら、數十年は前に、エーリカさんは誰かに惚れて、結婚してますよ。」
 やれやれと首を振り、呆れたように言う聡。
 エーリカが歳幾つなのかは知らないが、そんなに惚れやすいなら、男の影も形もないなんて、有り得ないだろう。仮に、同が好きとかそういう場合であっても、とっくにその事は明るみに出ているはずだ。
「それに第一、俺、フードを被ったままで、顔を見せてない筈なんですが。まぁ、見せたところで、印象はマイナスになるんですが。」
 聡は自を指差しながら言う。
 そう。聡は、未だにフードを深々と被ったままなのである。
 別に、素顔を見せたからといって、人から好かれるような顔をしてるとは思って無いが、あと100萬年・・・・・も生きれば、誰かしら好みの顔だと思ってくれるが居るかもと、淡い期待を抱いてはいた。
 だが、長生きして、んな男を見てきたエーリカは、話が別である。長く生きてれば、それだけ良い男に出會う確率は、めちゃくちゃに高いはずだからだ。
「おいおい。そんなに卑下するな。サトシは中々良い男だぜ?」
「はっ。そりゃあ男同士なら、俺とルドルフさんは、まぁ既に友人みたいなものだから、そうじるでしょうよ。けど、エーリカさんみたいな人から見たら、こんな奴、命と天秤にかけられても、絶対に付き合いたくは無いでしょう。」
 聡は鼻で笑って言う。聡の脳裏に浮かぶのは、地球で、高校生だった時。何かの授業で、仮の話の中で、カップル役に子となった際、『無理です』と、まだ何も言ってないのに拒否られたという、地獄みたいな経験。あの時ほど、『何してんだク○先公!』と、教師に対して殺意を覚えた事は無いだろう。
「おいおい。何でそんなに自信が無いんだ?まさかお前…。」
 どんよりとしたオーラを纏い、死んだ目で悲しい事を言い切る聡に、はっと何かに気が付いたかのように、ルドルフは口に手を當てる。
「何です?」
「○だな?」
「永眠しろ!」
「ぐふぇ!?」
 事実を言われ、頭にきた聡は反的に鳩尾に、ストレートをぶち込む。
 その拳は、運良く力加減が出來ており、プロボクサー並の強さまでに落ちていたが、ルドルフの意識を刈り取るのには、十分過ぎる威力であったとさ。ちゃんちゃん。
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