《外れスキルのおで最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜》第65話 気合いりすぎ?
「お、戻ったのか。」
 晝前に宿に戻ると、ルドルフが食堂のテーブルで、座って出迎えてくれた。
 「はい、遅れる訳にはいきませんから。」
「そりゃそうだ。との約束に遅れたら、殺されても文句言えねぇからな…。」
 し青い顔で、しみじみと言うルドルフ。
「デートとかで、何かイヤな思い出でもあるんですか?」
「昔、ちょっとな…。」
「…聞かないでおきます。」
「助かる…。」
 青い顔のまま、俯いているルドルフを見て、聡は顔を引き攣らせる。
 こんな強面のマッチョが、ここまで怯えるなど、一どんな目に遭ったのだろうか?
 非常に気になるが、どうせ聞いたところで自分はデートする訳では無い。それに、ロクな話では無いだろう。
「おや、サトシさん。お晝ご飯にするかい?」
 丁度そこで、アデリナが廚房から顔を出して言う。
「はい、軽くで良いんで、何か用意していただけますか?」
「もちろん。じゃあちょっと待ってて下さいね。」
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 聡の要を聞くと、すぐに奧に引っ込んでくアデリナ。
「ここ、良いですか?」
 「おぉ、良いぞ。」
 聡はルドルフの対面に腰掛ける。
 すると、ローブの端から、チラッと銃が見えたようで、ルドルフが聞いてくる。
「ん?何だそれ?腰に差してるやつ。」
「あぁ、これは銃っていう武ですよ。」
「銃?…あぁ、あの使えなくて、すぐに誰も使わなくなったっていう、あれか。何でまたそんなものを。」
 どうやらルドルフは、銃の存在を知る者であったようだ。奇異の視線を向けてくる。
「む…。コイツの能を舐めてますね?これ、一撃でゴブリンキングを仕留められますよ?しかも、裝填數は12発で、それなりに連も出來ます。」
「ゴブリンキングを一撃の攻撃が連…。やっぱサトシは、とんでもない奴だな。」
「いやいや、自分の力じゃなくて、銃の能ですから。」
「その言い訳をする為に、裝備してるって気がするな。」
「え、あはははは…。」
 あっという間にルドルフに魂膽を見抜かれてしまい、苦笑いでそっぽ向く聡。
 そこに、アデリナがサンドイッチが乗った皿を手に、こちらへやって來た。
「サトシさん、お待たせ。」
「ありがとうございます。いただきます。」
 お禮を言って、聡は口に運ぶ。分が悪くなって來たので、何とか逃げられないかと、口いっぱいに頬張る。
「…もぐもぐ。お、こりゃ味しいですよ。ルドルフさんも頼んでみてはどうでしょう?」
「ま、今更お前の評価は変わらんから良いがな…。アデリナ!俺にもこれをくれ!」
「はいよ〜。」
 不穏な事を言いながら、ルドルフは料理を頼む。目の前で見て、食べたくなってしまったのだろう。
 だが、格が大きいルドルフは満足出來ず、結局別の料理を頼む事になるのであった。
「そろそろか?」
 見ているこっちが焼けしそうになるほど、大量の晝食を摂ったルドルフが、ふと宿屋の口付近に目を向けながら言う。
「何がですか?」
「いや、エーリカが來るんじゃないかなと思ってな。」
 機の下でこっそりスマホを確認すると、11時59分であった。
「いや、午後からとは言いましたが、本當にピッタリに來る訳『サトシ、待った?』…マジか。」
 扉に背を向ける形で椅子に座っていた聡は、愕然としながら振り向く。スマホの表示が、ちょうど12時になった時に、『ガチャッ』と扉を開く音が聞こえたのだ。
「い、いや、待ってないよ。ちょうど、軽い晝食を摂り終わったところ。」
 慌ててスマホをポケットに押し込み、引き攣りそうになる顔に笑顔をり付け、そう返す。
「なら良かったわ。じゃあもう出れる?」
「大丈夫。もう出れる…よ?」
 エーリカがって來た時には、驚いてしまい、あまり見る余裕は無かったが、今、改めて彼の格好を見た聡は、固まってしまう。
 今まで見たエーリカは結構地味な、ザ・付嬢みたいな格好だったが、今はゆったりとした黒のブラウスの様な服に、白の膝丈のフレアスカートで、その足には黒のヒールをに付けている。
 聡は、一言で言えば、見れてしまったのだ。
「ど、どうかしら?」
 聡の視線に気が付いたエーリカは、し恥ずかしげにはにかみながら、服の想を聞く。
「え、あ、似合ってるよ。うん、とても綺麗だ。」
 何も考えられずに、そのまま素直に賞賛の言葉を贈る聡。
「あ、ありがとう。(…昨夜から考えてたけど、シンプルにして良かった。)」
「ん?なんか言った?」
「何も言ってないけど?気の所為じゃない?それよりも、早く行かない?」
「分かった。じゃあ行ってきます。」
 エーリカの言葉がしっかりと聞こえていた聡は、あまり深くは突っ込まない事にして、ルドルフに聲をかけてから、宿を出ようとする。
「おう、頑張って來いよ。」
 ルドルフは、ニヤニヤしながら、エーリカの方に視線をやりながら、謎の言葉を発する。
「何を頑張るんです?」
「いや、こっちの話だ。」
「そうですか?何かめぼしいものあったら、お土産として買ってきますよ。」
「おう。期待して待ってるぞ!」
 元気な聲を背に、聡とエーリカは宿から出る。ルドルフから意味深な視線を向けられたエーリカの顔は、し上気していたが、聡がそれに気付く事は無かった。
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