《外れスキルのおで最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜》第68話 気を取り直して

「気を失ってるだけ…だよね?」

「勿論!コイツらの為に、態々俺が手を汚す価値も無いって!」

 慌てて首を縦に振る聡。殺しをやったと思われて、兵を呼ばれても困ってしまう。

 だが、エーリカはそんなつもりは頭無い様だ。

「なら良かったわ。まだ買いしたいお店が、沢山あるし。」

「そっちの心配かい。このまま放置ってのも、癪に障るから、ヴィリーにでも引き渡そうか。」

 地面にのびてる3人組を眺め、聡は呟く。それぞれ一撃で沈めた為、お咎めなしでは、罰が足りないと考えたのだ。

「う〜ん、面倒臭いけど、そうした方が良いよね?」

「ま、そういうわけだから、詰所に引き摺ってこうか。」

 聡は、にこやかな笑みを浮かべながら、アイテムボックスから縄を取り出した。

「サトシって、優しそうな顔しておいて、案外容赦無いのね…。」

「そう?余計な時間をくった腹いせだよ。當然の権利だね。」

 『アハハ』と笑う聡。男3人どころか、100人超でも余裕で持ち運べる聡だが、何が悲しくて、おっさん共を丁重に運ばにゃならんのだと。

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 こうして、人々から注目を浴びながらも、聡は無事、引き攣った表のヴィリーに、3人組を引き渡すのであった。

「これは、見事に昏倒してますね…。」

 ロープでぐるぐる巻きにされ、地面に汚く転がってる3人組を見て言う。

 3人組は安らかに寢息をたてていて、汚れてる以外は、外見に何ら異常が無い狀態であった。

「危害は加えられなかったんですけど、今にも飛びかかって來そうだったんで、気を失ってもらいました。」

「そうですか。分かりました。何やかんやで理由を付けて、しばらくの間牢にれておきます。」

「ありがとうございます。後はよろしくお願いします。」

「はい、任せて下さい。」

 ヴィリーと話をつけた聡は、エーリカと共に詰所を出る。

「さて、次はどこに行く?」

「次は、服を見に行こうかしら。」

「分かった。」

「じゃあ行こっか。」

 上機嫌な様子で、エーリカは聡に寄り添うような形で、歩き始める。

「ち、近くない?」

「そう?別に良いじゃない。それとも嫌?」

「別に嫌では無いけど。…まぁ、好きにして良いよ。」

 張するから嫌とか言ったら、心で何て思われるか分かったもんじゃないと、聡はじてないフリを敢行する。しかし、心の中では大焦りである。

-何でこんなに近くに!?俺の事、好きなん!?んなわけねぇだろ!!エーリカにとっては、この距離が普通なんだ!そう、普通なんだから、俺だって別に意識するこたぁない!-

 この世界には存在しないはずの、SAN値がごりごり削られる様を幻視する聡。

-ぼっちの味方の〇企谷さん!俺を導いて下さい!-

「サトシ?どうしたの?何か考え事?」

 『私と居るのに、何を考えてるの?』とでも言いたげなエーリカに、聡は冷や汗をかいてしまう。

「いや、何でもないよ。そ、それよりも、服屋って、あれのこと?看板が出てるけど。」

 聡が指さした方には、服の絵と、『アーベント』と書かれた看板が下がってる建があった。

「…何を誤魔化したのかは分からないけど、の事じゃなさそうね。取り敢えずは良いかな。…うん、あそこだよ。」

 顎に手を當ててブツブツと言うエーリカ。

「そ、そう。」

 前半部分は聞かなかった事にして、聡はエーリカに歩幅を合わせて歩く。と歩く時の、男の嗜みだと聞いてはいたが、ペース配分が思った以上に大変で、そのせいで先程のアホ3人組に、接近を許してしまった。『世の中のモテ男は大変なんだなぁ』と、他人事・・・の様にぼんやりと思う。

 そのまま2人で店にると、中にはの服が、大量に並んでいた。

「おぉ…。中はこうなってるのか。」

 この世界の店が珍しかったので、ぐるりと辺りを見回す。が、一方向に視線を向けた聡は、慌てて目を逸らす。そこには、の下著が大量にかけてあったのだ。

「サトシも男って事ね。うふふふ。」

「…何の事やら。それよりも、俺は適當に待ってるから、選んで來なよ。」

 気まずくなって、聡はそっぽを向いて言う。

 「何を言っているの?サトシにも選んでもらわないと。」

 だが、エーリカは心底不思議そうな顔をして、聡の腕を取って、下著コーナーへと導いて行く。

「ちょ、え、普通の服なら兎も角、それはちょっと…。」

「え、嫌なの?」

「流石に勘弁してくれ!」

 悲鳴にも近い聲をあげる聡。慣れしてない聡にとって、エーリカと共に、その當人の下著を選ばされるなど、苦痛以外の何ものでもない。

「そう…。殘念だけど、しょうがないわね。」

 聡の必死さが伝わったのか、エーリカは引っ張るのを止めてくれる。

「じゃあ代わりに、これから試著するから、似合ってるかどうが見てくれない?」

「それなら良いよ。元からそのつもりだし。」

 聡は了承する。ここにった時から、こうなる事は何となく予してたので、特に何も考えずに、頷くのだった。

「じゃあ、選んでくるわね!」

 しかし、忘れてはいけない。

 萬國共通どころか、異世界でも変わらないのだ。

 『の買いは長い』という事を。

 そんな事は頭からすっぽり抜けてる聡は、嬉しそうに手當り次第に服を手に取るエーリカを、微笑ましく見守っていた。

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