《外れスキルのおで最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜》第73話 勝負です
「お、帰ったか。どうだった?」
 晝間と同じように、宿に戻った聡を、食堂の椅子に座るルドルフが出迎えてくれる。
「面白かったですよ。」
「え、それだけか?何かこう…キャッキャウフフな話は無いのか?」
「ルドルフさんの顔で、『キャッキャウフフ』とか言われると、何だか犯罪臭がしますね。」
 妙な言い回しに、聡は思わず笑ってしまう。
「おいおい。酷い事言うなぁ。…で、どうなんだ?」
 口ぶりの割には、全然気にしてないようで、直ぐに探りをれてくる。
「何もありませんよ。食べて、3人組をヴィリーさんに突き出して、服を見て、カフェに行って、帰ってきました。あ、これお土産です。」
 言いながら、聡はアイテムボックスから、ミートパイを取り出して、ルドルフの目の前に置く。
「おぉ、ありがとう。というか、マジで何も無かったんだな。」
「ある訳無いですよ。」
 まだ言ってるルドルフに、聡は呆れてため息をつく。どうしてに結び付けたがるのか。
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「それに、そんなホイホイと、何かあってたまりますか。そうだったら、世の中の男は、皆苦労しませんよ。」
「…そういう事を言いたいんじゃ無いんだがなぁ。ま、あのエーリカが…。」
「エーリカがどうしたんですか?」
「いや、何でもないさ。」
 もったいぶった言い方に、聡は首を傾げる。
「気になりますね。」
「まぁサトシは、そのまま知らない方が良い事だ。なくとも、俺の口からは何も言えないな。」
 ルドルフは、靜かに首を橫に振りながら、真剣な聲音で言う。
「…そう言われては、仕方が無いですね。では、この疑問は、ルドルフさんが酒を奢るって事で、忘れる事にしましょう。」
「なっ!…く、くそっ。口をらせたのは俺だ。自業自得だから、奢るしかないじゃねぇか。」
 疑問を無理矢理、心の奧底に押し込み、笑顔を作った聡は、冗談めかして言う。
 すると、見た目にそぐわず、真面目なルドルフは、聡の言葉を本気とけ取って、奢ってくれるようだった。
「ありがとうございます。あ、実は俺、酒には強いんですよ?」
「ほほう。なら、勝負だ!俺だって昔、一気飲み対決で、百人斬りをした男だ!負けてられねぇぜ!お〜い、アデリナ〜!」
 聡がニヤリと笑いながら言うと、ルドルフも獰猛な笑み(本人は満面の笑みのつもり)を浮かべて、アデリナを呼び付ける。
「は〜い、何だい?」
「ここにある酒を、全て持って來てくれ。サトシと勝負するんだ。」
「あらあら。何故か私には、酒豪の貴方が負ける未來が見えるのだけど。」
 自信満々なルドルフに、アデリナは『ホントに大丈夫?』と、視線を向ける。
「な、何だと!?勝つのは俺だ!」
「はいはい、今持ってくるから、大人しく待ってなさい。」
 ムッとしたらしいルドルフが、大きな聲を出すが、アデリナは軽くあしらう。
「さてさて。俺が勝ったら、何をしてもらいましょうかねぇ。」
「俺も、勝った時に、サトシに何してもらおうか、今から楽しみだ。」
 『フフフ』と笑いながら、しかし、視線はバチバチとぶつかり合わせながら、睨み合う。
 と、そこに、アデリナが酒を、樽にった狀態で持って來た。
「はいよ。お待たせ。コップを持って來たから、酒を樽から汲んで、勝負しな。その方が、やりやすいでしょ。」
 よく気の利く將である。ルドルフは、嬉しそうにコップをけ取る。
「あぁ、助かるぜ。」
「…樽では飲まないんすね。」
 しかし、ここに1人、常識外の化けが居た。元々、酒には強く、どんなに呑んでも限界が見えず、戻しもしないし、二日酔いにもならないし、いつも通りの判斷も下せ、格も変わらないという、とんでも人間だったが、トイフェルを倒してからは、【不老不死】先生にお世話になるまでも無く、更にアルコールに強くなった聡。
 更には、エンデ村では、あの蟒蛇親子を目撃している。この世界の酒豪なら、樽で一気は當たり前なのではと、勘違いをしているのだ。
「「は?」」
 聡のとんでも発言に、ルドルフとアデリナが、揃って目を丸くしている。
「いえ、何でもありません。では、勝負といきましょうか!」
「お、おう!負けねぇぜ!」
 こうして、慌てて誤魔化す聡と、嫌な予がして、冷や汗が止まらないルドルフの、一騎討ちが始まるのだった。
「も、もうまぢむり…。も、もどしそぅ…。」
「おっと。」
 樽の中が、半分くらいになったところで、顔を真っ赤にしたルドルフが、機に突っ伏した。慌てておつまみを退かして、料理に顔を突っ込むのを防いでやるが、どちらにせよ、再起不能っぽかった。
 當然の結果である。ステータスとは、生としての強度を示すものだ。そして、【亜神】などという稱號を持つ聡は、通常の生としての範疇を大きく凌駕していた。その為、ちょっとやそっとのアルコールでは、ほろ酔い程度にもならないのだ。
 こうして、聡とルドルフの一騎討ちは、呆気なく幕を閉じたのであった。
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