《外れスキルのおで最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜》第79話 吸鬼
「それで、君は一何者ですか?あ、私は聡といいます。」
 離れてもらって、漸く落ち著いたところで、聡は話を切り出す。
「わ、私は、フラウといいいます…。」
 フラウと名乗ったは、言いづらそうに、言葉につまる。それもそのはず、300年前の魔王軍に、吸鬼が屬していた事から、人族とは非常に仲が悪く、何なら直ぐに殺し合いに発展する程である。
 それより以前は、人に近しい存在という事で、比較的平和的か関係を築いていたそうなのだが。
「吸鬼で、斷癥狀が出てたって所までは理解してるので、その辺は誤魔化さなくて良いですよ。」
 だから、聡はフラウの懸念を無くしてやる為に、吸鬼であっても、自は気にしないと伝える。
「…吸鬼なのに、貴方は怖がらないのですか?」
「そうですね。話しさえ通じれば、例え魔王であっても、仲良く出來る自信がありますから。」
 冗談めかす聡。実際に、トイフェルとは大親友になったのだから、冗談では無いのだが。
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 だが、そんな聡の軽口は、フラウの張をしは解す事が出來たようで、それなりに開けられていた距離が、し詰められる。
「それに、私には偏見がありませんからね。吸鬼だって、全員が全員、人族を襲うなんて事は無いでしょうし。人族にも善人と悪人が居るように。」
「け、けど、私は先程、貴方に襲い掛かりました。その事について、不快に思ったりしないのですか?」
 襲い掛かった時の記憶が、朧気ながらあるフラウは、ビクビクしながら聞く。
「まぁただビックリしただけですから、気にしないで下さい。それに、正気じゃ無かったんですよね?」
 現代日本でも、正気じゃ無ければ、無罪放免である。本人が、人間を襲う事を知っていながら、そうんでその狀態に陥ったので無い限り、責任は問うのはお門違いである。別にフラウが可かったから、絆されたという訳では無い。
「で、どうしてこんな所で斷癥狀を抱えたまま居たんですか?確か吸鬼は、300年前の魔王の封印以來、散り散りになったと聞いてますが。」
 トイフェルが結界に閉じ込められてから間もなく、トップを失った魔王軍は事実上の壊滅狀態となり、十名以上居た將軍も、ほぼ勇者パーティに討たれたそうだ。
 その後は、大量発生する魔を片付けて、比較的平和な世界になったそうだ。
 因みにこれらの報は、全てルドルフから聞き出した事である。
「そ、それは…し話したく無いのですが…。」
 顔を俯かせて、フラウは口篭る。どう見ても、訳ありである。
「そうですか。なら仕方が無いですね。」
 無理に言わせるのも気が引けるので、聡がそう言うと、フラウはビクリとを震わせ、し涙を浮かべながら聞いてくる。
「や、やはり私を…殺すおつもりですか?」
 聡の言葉を、悪いように捉えたのか、何とも騒な事を言い出した。これには聡も慌てる。
「まさか!フラウさんを殺したところで、俺には何の得もありませんよ。」
「ですが、人族の方は、私達を見付け次第、必ず殺すと聞いています。」
「別に全ての人族が、そうだって訳じゃないですよ。特に私は、人族の中でもかなり特殊な部類です。まず普通の人とは、がまるっきり違うと考えて下さい。」
 何故ならば、喜ばしい事に、現代日本の漫畫やアニメ等の中では、様々な吸鬼が描かれている。勿論悪役も居るが、反対に可らしいの子として、ヒロインにもなるレベルの屬である。
 そんな事は言えないが、聡は何とか危害を加える意思が無いと、伝えようとする。
「そ、そうなのですか?」
「はい、そうです。というか、殺す気なら、首に噛み付いてる時に、既にやってますよ。斷癥狀で辛そうだったので、飲ませてあげましたが。」
「た、確かにそうですね…。衰弱死一歩手前だった私の力と魔力が、完全に回復してるいます。それなのに、余裕のある貴方が、私を殺せない筈がありませんよね。」
 嫌な納得の仕方だが、どうやら聡が危害を加える気が無い事が伝わったようだ。
「ところで、どうしますか?」
「はい?どうしますか、とは一…?」
 聡の問い掛けに、フラウは首を傾げる。そりゃそうだろう。主語を完全にすっ飛ばしたのだ。
「えっと、今後はどうするのかって事です。このまま森に居ますか?それとも街に出ますか?どちらにせよ、力を貸しますが。」
 聡は、真面目な顔で提案する。過去にトイフェルの仲間であった種族なので、聡としては、良くしてあげたいと思ったのだ。勿論下心は全く無い。
「いえ、それには及びません。…1人で何とかしますので。」
「え、大丈夫ですか?また斷癥狀になりませんか?俺ならどれだけを提供しても、全く問題ありませんが?」
「…それを言われてしまうと、斷りづらいです。しかし、人族の街に私を連れて行くと、大変な事になりませんか?」
「その辺は考えがあるので、大丈夫ですよ。それに、フラウさんが何か犯罪行為を犯さない限り、全力でフォローしますよ。誰からも敵対されても、最悪街から追い出される程度には守ります。」
「初対面の、しかも吸鬼に対して、どうしてそこまでしていただけるのですか?貴方は、もしや人族では無いのですか?」
「いや、一応これでも人族のつもりですよ。」
 ステータス上の種族は、『ひとにあらず』とか表示されていたが、まだ人族を辭めてないつもりだ。こうして聡は、思わぬ出會いを果たすのであった。
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