《外れスキルのおで最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜》第80話 またまた贈り
 森の外へと歩きながら、聡は先程から何やらいじっていたをフラウに差し出して言う。
「はい、じゃあこれを付けて下さい。」
「え?何故ネックレスを?」
 戸うフラウの視線の先には、アメジストの付いたネックレスがあった。吸鬼だからか、夜目が利いて、薄暗い森の中でもちゃんと見えているようだ。
「これには、街中にでも、フラウさんが吸鬼だとバレないように、々と付與してるので、出來れば裝著をお願いしたいのですが。」
「付與ですか。因みに、どういった効果何ですか?」
「えっと、『日による弱化の無効化』、『魔法、理問わずの攻撃防』、『狀態異常無効化』、『変裝』ってところですね。」
「そ、それは、隨分と破格な能ですね。しかし、そんな高能なを、私に渡してしまって大丈夫なのですか?持ち逃げとかするかもしれませんよ?」
「いや、別に問題無いですよ。だってこれ、今作ったですから。幾らでも同じは作れますよ。」
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「い、々と言いたい事はありますが、有難くけ取らせて頂きます。」
 のほほんとした様子で、とんでもアイテムを渡してくる聡に、フラウはし引きながらけ取る。
「じゃあ、街に行きましょうか?…って、あ。」
「どうかされましたか?」
 急に立ち止まった聡に、フラウは不思議そうに聲を掛ける。
「いや、何でもありません。」
 と、聡は答えたが、実は何でもなくない。
-すっかり実験の事を忘れてたよ!フラウに襲われて、頭から抜け落ちちまったのか…。-
 軽く落ち込む聡。そんな聡とフラウは、ゆっくりと休憩を挾みつつも、2時間半ほどでベルクフリートに到著したのだった。
「そういえば、このネックレスの『変裝』の効果について、お聞きしたいのですが。」
 ベルクフリートの全景が視界に収まる所まで來て、フラウはふと聡に聞く。他の効果に圧倒されて、普通なら聞くべき事を聞き忘れたのだ。
「ああ、説明を忘れてましたね。簡単に説明すると、吸鬼っぽさを全て消せます。見た目はほぼそのままで、牙とか、空腹時に目がるのを隠せます。」
 吸鬼の特徴といえば、その代表的なものは牙であり、フラウにも生えている。一方で、幸いな事に、角が生えてたり、コウモリの羽が生えてたりなどはしないので、理的に型を変化させる必要は無かった。
 また、この世界の吸鬼は、が足りなくなり、暫くその狀態が続くと、目が赤くり出してしまう。
 その狀態を発見されれば、間違いなく正が見する。
「後は、街の権力者の方々に回ししとけば、問題無く生活出來ると思います。こう見えても、権力者の方々とは、仲が良いんですよ?」
 聡の説明を聞くも、やはり人族の街での生活が不安なのか、表が優れないフラウに、聡は穏やかな口調で言う。
 まだフラウの人柄を良く知るわけでは無いが、を吸って回復したそのすぐ後に、後悔の言葉がれていたのを、聡はしっかりと聞いている。なくとも、人族に仇なす存在では無い事ぐらいは分かる。
「あ、ありがとうございます。」
「まぁ、そういう訳なんで、何にも気にせず、気楽に行きましょうか。」
「そ、そんなじで大丈夫なのでしょうか?」
「大丈夫ですよ。」
 有言実行とばかりに、軽快な足取りで門へと向かう聡。
「おや?サトシ様?そちらのは…。」
 運の良い事に、ヴィリーが門番をしていた為、聡は笑顔を浮かべながら、口を開く。
「あ、ヴィリーさん。ちょいと訳あり何ですけど、この街における、このに関する一切の責任を、私が負いますので、れていただきたいのですが、良いですか?」
 口から出まかせでも無く、下手な噓をつくでも無く、聡は正直に話せない事を伝える。下手に噓をついても、どうせこれから話をつけるつもりのルドガーには、即座に見抜かれるのだから。
「…わ、訳ありですか。しかし、ゴブリンキングを素手で屠るサトシ様が、そう仰るのならば、大丈夫でしょう。後ほど、コルネリウス様にお伝えしますので、取り敢えずは街にっても大丈夫です。若しかしたら、説明を求められるかもしれませんが。」
 ヴィリーは、よっぽど聡を信頼してるのか、案外呆気なく街にる事を認めてくれる。
「はい、それで大丈夫です。では、よろしくお願いします。」
 頭を下げてから、聡は門をくぐろうと、歩き出すが、ヴィリーから呼び止められる。
「あ、でも、街にる前に、1つ良いですか?」
 神妙な顔つきのヴィリーは、どこか言いづらそうにしている。
「はい?何でしょうか?」
 何か問題があったかと、ちょいと不安になる聡だったが、今のところは落ち度は無いはずなので、落ち著いて話を促す。
 2、3秒の間をあけて、ヴィリーはその言いづらそうな口調のまま、聡にコソコソと言う。
「…お連れの方の格好を何とかしないと、また連行される事になりますよ?」
 言われて初めて思い至った聡は、ギギギっと首をゆっくりとかして、フラウの格好を改めて見る。
 高そうな服ではあるが、ボロボロな上に、土に汚れており、銀の髪もくすんだ狀態で、ボサボサになっている。顔は汚れてはいるものの、充分に整った顔立ちという事は分かる程だし、付きに至っては、ボロボロの服裝のせいか、目の離せない香をじてしまう。
「やっべ!すっかり気が付かなかった!」
 目を真ん丸にした聡は、思わず素で驚きの聲をあげてしまうのであった。
6/15発売【書籍化】番外編2本完結「わたしと隣の和菓子さま」(舊「和菓子さま 剣士さま」)
「わたしと隣の和菓子さま」は、アルファポリスさま主催、第三回青春小説大賞の読者賞受賞作品「和菓子さま 剣士さま」を改題した作品です。 2022年6月15日(偶然にも6/16の「和菓子の日」の前日)に、KADOKAWA富士見L文庫さまより刊行されました。書籍版は、戀愛風味を足して大幅に加筆修正を行いました。 書籍発行記念で番外編を2本掲載します。 1本目「青い柿、青い心」(3話完結) 2本目「嵐を呼ぶ水無月」(全7話完結) ♢♢♢ 高三でようやく青春することができた慶子さんと和菓子屋の若旦那(?)との未知との遭遇な物語。 物語は三月から始まり、ひと月ごとの読み切りで進んで行きます。 和菓子に魅せられた女の子の目を通して、季節の和菓子(上生菓子)も出てきます。 また、剣道部での様子や、そこでの仲間とのあれこれも展開していきます。 番外編の主人公は、慶子とその周りの人たちです。 ※2021年4月 「前に進む、鈴木學君の三月」(鈴木學) ※2021年5月 「ハザクラ、ハザクラ、桜餅」(柏木伸二郎 慶子父) ※2021年5月 「餡子嫌いの若鮎」(田中那美 學の実母) ※2021年6月 「青い柿 青い心」(呉田充 學と因縁のある剣道部の先輩) ※2021年6月「嵐を呼ぶ水無月」(慶子の大學生編& 學のミニミニ京都レポート)
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