《外れスキルのおで最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜》第104話 鏖殺(3)
「それじゃあ、サトシの條件を聞こう。何でも言ってくれ。」
 ルドガーは呼び戻されてから、直ぐに本題を切り出す。し時間をとられてしまったが、今こうしている瞬間に、『鏖殺』がこの街で暴れ出さないとも限らないのだ。急ぐに越したことはない。
「はい、では遠慮なく言わせていただきます。まず1つ目に、この件を片付けた暁には、フラウの冒険者カードの発行をお願いします。」
「さ、サトシ様?を張るのはサトシ様なのですから、もっとこう、自分の利益になるような條件にした方が良いのではないですか?」
「いやいや。十分に利益になるって。フラウが冒険者になれば、単獨行とかも頼みやすいだろ?それに、依頼をけて、お金を稼いでもらう事も出來る。」
 実際には聡にとって金は必要は無いものだが、フラウが獨立するにあたって、當面の資金くらいは今のに用意しておきたい。それも出來る限り、自の力のみによって。
 捉えようによっては、ただのヒモ男みたいな発言なので、あちこちから蹴りがりそうだが。
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 だがこの場に、そんな風に勘違いする者は居ないが、その本心までも把握出來る者もまた居ない。
「…そうですね。分かりました。」
「…うん。という事で、どうでしょうか?」
「あぁ、構わないだろう。」
 この條件は、フラウが問題を起こして正が呈すれば、ルドガーの首が理的に飛びかねないが、聡にも命をかけてもらってるので、致し方ないとルドガーはあっさりと認める。
「ありがとうございます。では2つ目に、俺がどのようにして『鏖殺』を倒したのか、詮索しないで頂きたいです。」
「分かった。だがこれは、條件にしなくても、普通に頼まれれば了承したが?」
「いえ、條件で大丈夫です。で、最後なんですけど…。」
 ここで、聡は一旦言葉を切って、エーリカとフラウに視線をやる?
「…嫌な予がするわね?」
「同です。」
 視線をけ、エーリカが聡の腕にしがみついている腕に、更に力を込めながら言うと、フラウも同様に腕に力を込めながら、コクコクと頷く。
「…3つ目は、俺が単で探索し、討伐の際も誰も連れて行かないという條件を、のんで頂きたいです。」
「「サトシ (様)!?」」
 幾ら化けじみたステータスだろうと、まさか1人で対峙するとは、思ってもいなかった2人は、驚愕のあまり聲を荒らげてしまう。
「いやだって、他の人を守りきる自信無いし。それにもし戦闘が長引くと、ちょっと人には見せたくないじになるしね。」
「…見せたくないじ、というのは?」
 妙な言いの聡に、ルドガーが質問する。戦闘が長引くと、一どうなると言うのだろうか?
「えっと、まぁ緒で良いですかね?々恥ずかしいので。」
「…気にはなるが、まぁ良いだろう。その條件をのませてもらう。というか、こんな事だけで良いのか?もうし、こう…。」
「お金を請求した方が良いですかね?」
 あっさりと條件を認められるが、聡が全然得になるような要求をしてこないので、逆にルドガーが心配になって、聞いてくる始末である。
「なら、その辺の事は、ルドガーさんに一任します。どんな額でも、文句は言いませんので、よろしくお願いします。」
「おいおい。責任重大じゃないか。よし分かった!コルネリウス様と相談して、サトシが満足いくような金額を用意しよう!」
「そこまで気合いをれて頂かなくても…。」
 あと數百年は余裕もって生活出來そうな金額を持っている聡は、そこまで貰うつもり無かったので、やる気を漲らせているルドガーに、苦笑いする。
「サトシ。正直あれを見ても、1人で行くというのには抵抗あるけど、誰かが著いて行っても足でまといになるだけよね?」
「まぁ、言っちゃなんだけど、正直そうだね。逆に守る手間が増えるだけかな?」
「サトシ様。という事は、私もこの街に殘るという事でしょうか?」
「そうだね。ルドガーさん、フラウをお願い出來ますか?」
「分かった。サトシが留守の間は、エーリカに付いてもらいたいのだか、頼めるか?」
「はい、分かりました。私が責任をもって、フラウさんの傍に居ます。」
「エーリカなら安心だな。頼んだよ。」
「よろしくお願いします。」
 人族の街に、フラウを1人で放っておく事はできないが、ギルドに、それも知らない仲じゃないエーリカに見てもらえるなら、聡も安心してクエストに専念できるというものだ。
「うん、任せて!」
 こうして聡は、『鏖殺』の討伐を目的に、行を開始するのだった。
〜ベルクフリート近郊の村〜
 聡が依頼をけた頃の事である。
 休憩を挾み、再び農作業をしようと、村の男衆が畑に向かおうとした時、妙な奴が門の前に居るのが目にった。
「おいあんた。うちの村に、何か用か?」
 その妙な奴は若々しい男で、一見するとただの優男なのだが、晝間だと言うのに黒のタキシードを著ていて、その上から灰のフードを被っているという、いかにも怪しい風貌だった。その為、男衆の中でも比較的ガタイの良い者が聲をかける。
 すると、タキシードの優男は、冷酷な聲で、とんでもない事を聞いてくる。
「し聞きたい事があるんだが、この辺りで魔王・・を見なかったか?」
「は?魔王?あんた何を言っているんだ?そんなの、見ていないに決まってるじゃないか。頭がおかしいのか?」
 応対している村人は、訝しげに優男を見る。
 周りにいる者たちも、し警戒しながら見ている。
「はぁ?俺の頭がおかしいのかだと?俺はマトモだぞ?お前こそ、脳ミソはあるのか?」
「あ?喧嘩売ってるのか?」
「疑問を口にしただけなのだが?まぁ、確認・・してみるか。【ディスアピアー】。」
「な!?コイツ、魔法を…。」
 頭がおかしいと言われて、機嫌を悪くしたのか、眉を顰めながらムッとしたように暴言を吐く優男。
 それに噛み付いた男は、目の前の優男が何かしらの魔法を行使したのをじ、慌てて飛び退こうとしたが、そのまま力無く地面に倒れ伏す。
「お、おい、どうした?おい?」
 それを不審に思った他の男達が駆け寄り、倒れた男を揺らすと、何と頭部に大きなが空いており、しかも中にはあるべき筈の脳が無く、空っぽだった。
「う、うわぁ!?し、死んでるぞ!」
「な、何だと!?」
「この野郎!よくもユルゲンを!」
 死んだ男はユルゲンというらしい。優男を取り囲む者たちの視線に、重い殺意が乗せられる。
「あぁ、あぁ、あぁ!うるせぇなぁ!羽蟲共が、騒ぐんじゃねぇぞ!」
 ブワッと優男から魔力が放出される。
『!?』
 魔力に威圧され、きが取れなくなる村人達。
「目障りだし、消したって問題は無いよなぁ?そうだ。そうと決まれば、皆殺しだ!フハハハハハハ!!」
 それは一方的な躙劇であった。いや、躙というのも生溫いだろう。何せ、村人達は何を言う暇も無く、ただ消失させられるだ。それも建ごと。
 目に付くを、片っ端から消し去る。この単純作業・・・・は、10分もかからずに、村の消失という結果を殘して、終了するのだった。
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