《外れスキルのおで最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜》第108話 鏖殺(7)

 拷問という言葉を聞いた『鏖殺』は、バッと勢い良く顔を上げ、顔を痛みに歪めながら、口を開く。

 「【ディスアピアー】!」

「…。」

 今度は聡の頭が消え失せる。そして、そのまま前に倒れる寸前で、グッと踏みとどまり、次の瞬間には、頭が元通りに再生する。

「ひっどい事するなぁ。いきなり人の頭を消し飛ばすとか、一どんな教育けてきたんだ?」

「な、な、何で死なないんだ!?今度は正確に頭を消したはず!手応えからして、幻覚じゃないはずだ!」

 自分の魔法に絶対の自信を持っていた『鏖殺』は、混の最中、頭を抱えながら、悲鳴のようなびをあげる。

「へぇ。手応えがあるのか。なら聞くけど、人を殺した時、どんな手応えなんだ?」

「く、來るな!俺に近寄るな!」

「…【魔法創造マジッククリエイト、ディスアピアー】。」

「あぎゃあ!?あ、足がぁ!?」

 このままでは埒が明かないので、試しに【ディスアピアー】を作って、実際に使ってみる。消したのは、『鏖殺』の左足である。

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「う〜ん。何か呆気ないな?これじゃあ、戦ったじがしなくて、超つまらん。こんな技もくそもないような魔法に頼ってるから、こうしてボコボコにされてるんだぞ?」

 ステータスは兎も角、戦闘技はそれなりに磨いてきた聡には、この魔法はに合わないようだ。

「あ、が…。な、何故、俺の、魔法を…。」

 目の前で、自分以外誰も使えず、最も信頼し、親しんできた魔法を、いとも簡単に再現され、愕然としながら言葉をらす。

「ふ〜ん。斷面は、鋭利な刃で切斷したじか。それなら…【ディスアピアー】!」

「ぐぅ!?」

 今度は右手の親指が切斷・・され、地面にポトリと転がり落ちる。

「おぉ!消す範囲を、0.01ミリの幅にしたら、何の苦労も無く切斷が出來たぞ!を加工する時、めっちゃ役に立つんじゃないか?」

 あろう事か、こんな騒な魔法を、DIY気分で使うつもりなのか、聡は歓喜の聲をあげる。

「うがぁぁぁぁぁ!」

「おっと!」

 渾の気力を振り絞り、『鏖殺』はびながら、聡に殺意をぶつける。すると、魔力がから迸り始める。その瞬間、何か嫌な気配をじた聡は、慌てて『鏖殺』の視界の外に逃げた。

 すると、先程まで聡が居た空間が歪み、まり、消えていくのが分かった。

 「コイツはヤバい!俺の分析は完全に外れてたな!視界に映った対象を消すんじゃなくて、空間そのものを消してるのか!」

 聡にとっては、どうって事は無いが、予想と違う事に驚く。

 予想では、例えば家を見た場合、家を丸々消すだと考えていたのだが、通常の家にない地下室とかがあれば、その空間も指定しなければ、消失させられない事となる。

「どんなも、度や部構造に関係無く、空間ごと消すのか。まるで、ザ・○ンドみたいだな。となると、お次は消したや空間が、何処に行くのかってのが疑問だけど、答えてくれないよな。」

 某漫畫では、空間を削り取る能力の使い手は、『削り取った部分が何処に行くのか分からねぇ』と言ってるが、目の前でそういう現象を見せられてしまうと、本気で調べたくなってきてしまう聡。

 殘念ながら、先程頭を消された際は、何も見えなかった為、何も分からないのだ。

「質量保存の法則はどうしたんだ?どっか遠くの宇宙にでも排出されたか?それともバラバラに分解されて、この世界にばらまかれたか?」

 呟きながら、再び『鏖殺』の頭を踏み付ける。

「うぐ…。」

「う〜ん、お前はもう用済みかな。何も答えないし、別に痛め付けるのは俺の趣味じゃないし。」

「…。」

「…殺す?」

「…。」

「いや、生き恥を曬してもらうか。」

 良い事を思い付いたとばかりに、聡は満面の笑みを浮かべる。

「…な、にを、する気だ?」

 息も絶え絶えの狀態の『鏖殺』は、その異様な明るい口調を不審に思い、掠れた聲で問う。

「君を無能にしようかと。」

「な、に?」

「何の力も無く、まともに生活も出來ない、社會のお荷にするんだよ。【魔法創造マジッククリエイト、封印シール】。う〜ん、魔法は全封印決定で、後は、言語機能の一部封印。それから、暴力行為の封印だな。そして最後の大目玉で、両手足の使用の一部封印!これでどうだ!」

 『鏖殺』に手を翳しながら、ブツブツと騒な事を呟く聡。

「あぐぁぁぁぁ!?」

 すると、『鏖殺』が苦しみ始める。

「う〜ん。魔力が結構消費されるな。ステータスへの干渉は、よっぽど魔力を多く保有してないと、一瞬で干からびて死んじまうな。それに、ステータスに干渉されると、何かしらの負擔がかかるのか?死にそうなら止めるが…。」

 苦しみ始めた『鏖殺』を、冷靜に観察しながら、今回作した【封印シール】についても考察する。

 1分ほど観察してると、段々と楽になってきたのか、『鏖殺』は大人しくなっていく。

「さ〜て、マリウスさんに報告してから、さっさとベルクフリートに帰るか!」

 びをしながら、青空も見上げる。大した収穫は無かったが、『鏖殺』でステータスへの干渉を試せたのは、今後に大いに役立つだろう。果たして本當に、ステータスの封印が功してるのかは、まだ分からないが、それは引き渡した後にでもゆっくり確認すれば良い。

 こうして『鏖殺』は、為すもなく聡に拘束されるのだった。

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