《外れスキルのおで最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜》第109話 帰還です

「さ、サトシ?お前は何を引き摺ってるんだ?」

 のんびりとマリウスの待つ屋敷に戻った聡に、マリウスが戸いながら問う。

「ん?あ、これ・・ですか?コイツは、『鏖殺』のれの果てです。殺してないだけ、まだ慈悲深いでしょう。」

 ボロ雑巾のようになってしまっている『鏖殺』に視線を向けながら、聡は冷たく言い放つ。まだ戦闘モードからの切り替えが、上手くいってないのだろうか。

「大丈夫なのか?…二重の意味で。」

 『鏖殺』の容態と、暴れて魔法を使ったりしないかという事を心配するマリウス。

「はい、問題ありません。止とかはしましたし、最低限、命は繋いでます。あ、魔法に関しては、二度と使えないようにしたので、安心下さい。今なら、その辺の子供が相手しても、數秒でケリが著くレベルまで、弱化してます。」

「そ、そうか。それなら良いんだが。にしても、あの『鏖殺』がこうも簡単に仕留められてくるとは…。」

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 改めて『鏖殺』に目を向けるマリウス。実際に戦った者は皆殺しにされ、目撃者は皆無だった『鏖殺』を、化けのようにじていたが、こうして目の前にすると、特に危険なじをけないのだ。

「ただ相が良かっただけですよ。もっと特殊な固有魔法とかだったら、こうは上手く行きません。」

 幸いな事に、マリウスの目に怯えはじられないが、どこか呆れのようなものをじる。

 今回は『鏖殺』の魔法が面白かったのと、実験が楽しかったので、し遊び過ぎてしまったのだが、ちょいとやり過ぎたかなと思い直す。

「とまぁそういう訳で、安心してお過ごしください。危機は去りました。」

「サトシ。ありがとう。おで助かった。」

「…當然の事をしたまでです。次は、ゆっくりとお伺いしますので、その際はよろしくお願いします。」

 お禮を急に言われて、聡は一瞬だけきを止める。

「おう、勿論だ。そういえば、イルマとエマにが會いたがってたから、顔を出してやってくれないか?2人とも一緒に、リビングに居るはずだ。」

「はい、分かりました。コイツをし、預かっていただけますか?」

「任せてくれ。…流石にこの景は見せられんからな。」

 マリウスは『鏖殺』に目をやりながら言う。こんな狀態の人間を、聡も見せるつもりは無いので、正直に頷く。

 こうして、イルマとエマの2人に歓迎された聡は、2時間ほど滯在してから、ベルクフリートに帰還するのであった。

 その間、ずっと床に転がされていた、可哀想な人が居たとか…。

「う〜ん!漸く帰って來た〜!」

 聡は、『鏖殺』を引き摺りながら、意気揚々とベルクフリートの門を目指して歩いて行く。遠目からは、運の良い事に、ヴィリーが立っているのが見えた。これなら狀況説明はしやすいし、何より犯罪者扱いされなくて済むだろう。

「ヴィリーさん、お疲れ様です。」

 にこやかに挨拶する。すると、ヴィリーは何故か頬を引き攣らせながら、『鏖殺』を指差して聞いてくる。

「は、はぁ。あの…。そちらのボロボロな方は一?」

「ヴィリーさんならご存知かと思いますが、自分が今日、依頼をけてひっ捕らえて來た、お尋ね者です。出來れば素早くルドガーさんに報告を上げたいのですが、通していただけますか?」

「で、では、そちらがあの…。」

 途端にヴィリーの『鏖殺』を見る目が厳しくなる。この10年間好き勝手暴れてきた、災害にも等しい存在なのだから、それも仕方が無いだろう。若しかしたら、知り合いも被害にあってるのかもしれない。

 しかし、そんな事を聡は知る由もないので、何とも言えない。

「…あ、えっと、何人か兵をつけますが、大丈夫ですか?」

 何とも言えない表で、ヴィリーを見ていた聡に気付き、慌てて何かを誤魔化すかのように、口早に言ってくる。

「はい、お願いします。このまま引き摺ってくのも、注目を浴びそうなので。」

 聡は頬を掻きながら言う。またあの地下牢にぶち込まれるのはゴメンである。

「サトシ様に著いて行ってもらえるか?」

「「「了解しました。」」」

 その場に居た3人の兵に聲をかけるヴィリー。どうやら彼らを付けてくれるらしい。これなら安心である。

「あ、ではコレをお願いします。」

 すっかり雑に扱われている『鏖殺』は、意識が無いまま引き渡される。3人で抱えてるので、聡が引き摺るよりもマシだろう。

 『鏖殺』を引き渡した聡は、ギルドに向かって行く。その後ろをヴィリーの部下達が『鏖殺』を抱えてるので、結構周りから視線を向けられてる様な気がするが、表を変えずに歩く。

 人に注目されたりする事が苦手な聡にとって、これは苦行であるが、ギルドに到著すれば、後はもう終わりなので、最後のひと踏ん張りで耐える。

 こうして聡は、『鏖殺』を捕らえた事を報告する為、ギルドに向かうのであった。

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