ってきた男は安のTシャツとGパンをきた30代くらいの人でした。その格好は商談には不適切と言わざるを得ないものでしたが私には特に気になりませんでした。

Tシャツから出ている腕と首から鍛えられていることが窺い知れ、覇気のない顔つきに反して鋭い目つきをしています。そして何処と無く漂う暴力の雰囲気はマフィアを連想させます。

全てが私の理想のタイプだわ！

男の後から10歳くらいの金髪のらしいと臺車にいくつかのアタッシュケースを乗せたホテルの従業員がってきました。

男がそのままソファの前に來たところで梨が男を歓迎します。

「お久しぶり、、、というほどではないですね。前に會ってから1週間ほどしか経っていませんし」

「あぁ、そうだな。ええと、直継の嫁さんの、、、名前は、、、」

「梨です」

「そうだ。梨だ。で、娘が佳だよな。すまんなぁ、名前を覚えるのは苦手でよ」

「いえ、気にしないでください」

外向きの私を真似た口調で梨が応対しますが男は瀬戸家の次期當主を呼び捨てにしました。それができる立場というのはかなりのだと推測できます。

「えっと、そちらさんを紹介してもらえるか？」

「はい。こちらが私のの頃からの友人で東堂咲、アクセサリーなどを擔當しています。そしてこちらが秋道楓さん、お義母さんの紹介で服類を擔當していただく予定です」

梨の紹介で頭を下げます。

「そうか、俺は逆巻雄吾。こっちは娘のミシェだ。よろしく頼む」

自己紹介を終えたところで早速商談にります。

「で、東堂さんだったか」

「はい」

「あんたにはアクセサリー類を擔當してもらうって話だが普段は何をやってる？」

「もうすぐ私の會社ができますので社長を。化粧品などを取り扱う予定です」

「これから？なら忙しいんじゃないか？」

「いえ、優秀な人材を揃えておりますし、事前準備をしっかりしておりますので私自のやる事はあまり無いのです」

逆巻さんの質問に丁寧に答えていきます。こういう場合、自分を良く見せようとして噓をつく人がいますがそういうのは意外とバレます。腳なしで答えるのが1番です。

「ん、まぁ、いいか。信用できる人って紹介だしな。

それじゃあを捌けるか実際に見てもらおうか」

そう言ってホテルの従業員が運んで來ていたアタッシュケースをいくつかテーブルに上げて中を見せます。

「これは、、」

アタッシュケースにってたのはネックレスやティアラ、イヤリングでした。そのどれもが一目で素晴らしいものだとわかるで、専門家では無いですが明らかにガラスなどのような模造品ではなく本の寶石が使われていることがわかりました。

「これが売ってしい商品だ。どうだ？」

「え、ええ。とても素晴らしいものだと一目でわかります。1つ1つが高額になるだろうということも予想できます」

「あんたはこれを売れそうか？」

正面からジッと眼を見られます。睨まれているわけではありませんが眼を反らせない雰囲気がありました。

「ん、お時間をいただければ。私は海外の富裕層にもツテがありますので売ること自は可能です。ノルマはどれくらいなのでしょうか？それからこれらの最低金額をお教えいただきたいのですが」

「あー、それなんだが。まずノルマはない。売れる時に売ればいい。

で、金額なんだがあんたが好きに決めていい。俺には相場とかがわからないからこうして代わりに売ってくれる人間を探しているんだ」

「金額を私が？ではこれの仕れ値とどこから仕れたのかを教えていただけますか？」

「仕れ値？ん〜、そういうのは気にしなくていい。出來るだけ高く売ってくれ。

これは俺が創ったモノだしな」

「はい？」

私は逆巻さんが何を言ったのかわかりませんでした。

「ん？だから俺が創ったんだって。デザインは別のやつだけど創ったのは俺だ」

「なっ！？そうだったのですか。つまり逆巻さんは創るのが専門なので創ったモノを売る人がしかったという認識で構いませんか？」

「おう」

る程。瀬戸家で囲っている職人さんなのでしょうか？専門家ではない私から見ても素晴らしいものだと理解できるを作れるという事はかなりの腕前なのでしょう。

「それで、だ。あんたらには副職としてこれを売って貰いたい」

「副職ですか？私は會社を作ったばかりなのでそれは有り難いですが、、、よろしいのですか？普段は會社の方を優先することになりますが」

「構わない。というより俺が創るのは俺が創りたいものだけだ。だから気まぐれに創るし、いつどれくらい創るかも決まっていない。製作の依頼もけない。

俺が俺のやりたいように創ったを売ってしい」

完全に趣味の領域ですね。それを金銭に変えたいと、、、腕がいいのでそれでも問題ないでしょう。

「わかりました。お引きけいたします。材料の仕れはこちらでしますか？」

「いや、俺が自分でやる。あんたらは本當に売るだけでいい」

「わかりました」

「ん、じゃあとりあえず30個ほど持って來てあるからとりあえずそれを頼む。振り込む口座とかなんとかはミシェから聞いてくれ」

そういうと逆巻さんの隣にいたミシェちゃんが持っていたパソコンを私に見せます。

「これが口座の番號です。それから私とマスターの電話番號も記録しておいてください」

「マスター？」

「、、、お父さんのことです」

なんだか不思議な2人です。普通父親のことをマスターとは呼びませんし、縁関係があるようにも見えません。ああ、これも含めて詮索はなしということですか。

それにしてもすごい副職ですね。

人件費なし、材料費なし、渡されたを売るだけで高額の報酬を得る。マイナスは稅金だけです。

これほど味しい話だと裏がないかと勘ぐってしまうものですが逆巻さんの雰囲気からして本當にお小遣い稼ぎのような覚でやっていることがわかります。梨のおで素晴らしい縁を持つことができました。謝しなくてはいけませんね。

、、、、、、する人がいるということでしたが人は募集してないでしょうか