《生産職を極めた勇者が帰還してイージーモードで楽しみます》契約後
「マスター、貴金屬類30點、類30點、配送完了しました」
「おう」
「『歌姫』瀬戸佳へもドレスが2著とネックレス、ブレスレットが1つずつ屆けておきました」
「ご苦労さん」
東堂咲、秋道楓と契約した翌日、俺はホテルでミシェの報告を聞いていた。とりあえずそれぞれに30ずつ渡して実際に売れるかどうかを試すことにしたのだ。瀬戸佳にもサンプル、、、というか宣伝用のをいくつか送っておいた。このホテルは結構な高級ホテルのようで従業員に言えば荷の宅配も手配してくれた。
「んん、それで調べられたか?」
「はい。ある程度は」
「じゃあ聞こう」
俺はミシェに契約した2人について調べるように指示していた。ミシェはその學習能力の高さを憾なく発揮してちょっとしたハッキングも出來るようになっていた。後半年もあれば國のセキュリティーも抜けるかもしれん。
「はい。
東堂咲、31歳。宮城県仙臺市生まれ。現在は東京都のアパート暮らし。約一月後に引っ越し予定。
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現在は化粧品會社『ミューズ』を設立中。オープンは約1ヶ月後です」
「瀬戸家との関係は?」
「瀬戸梨、、、當時は斎藤梨でしたが実家が近所で親しくしていたそうです。小學校では2年間同じ小學校に在籍しましたが4歳差のため、以後學校が同じになることはありませんでしたが友人としての流は続いていたようです」
瀬戸家というより直継の嫁になった梨との個人的な関係ってことか。それなら余計なヒモが付いていることもないか。
「その後の経歴は?」
「高校は地元の進學校に進み、大學は東京の大學に。その際、一人暮らしを始めますが4年前に同じく東京に出ていた瀬戸梨と近くのアパートの住んでいました。
大學では2年次にイギリスへ、3年次にアメリカへ留學。大學を卒業した後、既に學生結婚で瀬戸家の一員となっていた瀬戸梨のツテを頼り、短期契約で國の食品関連の企業に就職。
その後、確かな実績を上げ、自分でツテを作り別の企業に転職。それを繰り返し、様々な業種を経験し、海外の企業へ就職。さらに職を転々とし、経験を積んで約1年前、自ら會社を建てる準備にったようです」
「う〜む。大したものだ」
最初こそ瀬戸梨を頼ったようだが後は自分の力で進んでいる。もともと自分で會社を作るつもりで様々な業種を経験していったのだろう。
「仕事の評価は?」
「現在の私のスペックでは大手企業のセキュリティーを抜くことができませんのでセキュリティーの甘い企業の報だけになります。
東堂咲は與えられた仕事は完璧にこなし、當時の上司からの信頼は厚かったようです。自分で新しいことを生み出す天才タイプではなく、過去のデータを分析して堅実に商売をするタイプです」
「そうか。まぁ、別に大儲けしたいわけじゃないからそういう奴の方がいいか」
「次、秋道楓」
「秋道楓、27歳。京都の老舗旅館の三。小中高は2人の姉と同じ地元の學校、、、いわゆるお嬢様學校に通う。その後、大學には進學せず獨力にて服屋を始めます」
「実家の旅館ってのは?」
「旅館『紅葉』、明治時代からある老舗で大代議士や蕓能人も利用する名店です」
「楓と実家の繋がりは?」
「殆どありません。秋道楓はそもそも獨り立ちして服屋を始めることにも反対されていたようです。それを無視して起業しました」
「なら実家との仲は険悪か?」
「いえ、秋道楓の両親は娘を心配しているようで何かあったらいつでも聲をかけろと言っています。本人は自分の力だけでやっていきたいようで無視していますが」
「ん?獨り立ちは反対していたんじゃなかったか?老舗ってのなら娘をどこかに嫁がせて政略結婚で力を強めるってのは珍しくないと思うが」
「娘をどこかに嫁がせたいと思っているのは事実ですが家のためではないそうです。秋道楓の両親は古い考えの人間で男は働きに出ては家庭を守るのが當然、の幸せはいい家に嫁ぐことだと本気で思っているようですので秋道楓のために結婚させたいようです」
なるほど。価値観の違いだな。ジェネレーションギャップだったか。親ってのは子供の幸せを願うくせに自分の価値観を押し付けたがるからな。
「実家はもういい。仕事の方はどうだ」
「最初の1店舗目は地元の京都に開き、売り上げは順調だったそうですが僅か1年で店を閉じ、上京して新たに店を開きました。初めのうちは赤字続きでしたが2年ほどで黒字になり、現在では5店舗まで拡大しています。5店舗はそれぞれ周辺住民の年齢層に合わせて服のジャンルが違っており、評判はかなりいいそうです」
「京都を1年でやめた理由は?」
「秋道楓は自分の力で商売をやっていきたかったようですが実家がながら支援していることがわかり、それに怒ったのだと思われます」
親心と子供心ね。子供が心配なのはわかるけど迷だったみたいだな。
「じゃあ2人とも特に裏にいそうな気配はないな?」
「はい。特に報がれている形跡はありません」
「ならよし」
瀬戸家としては俺と敵対するつもりはないだろうしな。[通心のイヤリング]を使えば考えていることもわかるけど心を読むのは出來るだけやりたくない。人の心なんて分かってもいいことはあまりない。
「例のやつはどうだった?」
「そちらは報が管理されていてあまり分かっていません。現在分かっているのは名前がリチャード、何処かの國の退役軍人だということだけです」
「ん〜、わかった。そっちはもう調べなくていいや。調べすぎて怪しまれたくないしな」
ミシェに調べるように言っておいたのは瀬戸家の護衛のことだ。1人、おそらくリーダーの男はそこそこ強そうだった。
まぁ、こちらの世界では銃火で戦うのが普通のため、向こうの世界よりも個人個人の戦闘能力は低い。警戒するほどでもないな。例え銃を持っいたとしても素手で勝てる。
これで収の方の手配は終わり。
これから何をやっていくか決めないとな。特に目的を決めないと退屈すぎて死んでしまう。
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