《生産職を極めた勇者が帰還してイージーモードで楽しみます》ルシアとの出會い
「帝國のことを話していたらルシアのことを思い出した。ちょうどいいから俺とルシアの出會いを教えてやろう」
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俺とルシアが出會ったのは1回目の魔王討伐が失敗して、そのトラウマを強制的に克服させられた後だ。
當時の俺は戦団のメンバー探しと、そいつらに作ってやる武裝の素材探しで世界中を回っていた。他の奴らは足手まといだったので俺一人であちこちに行った。
火山の火口に飛び込んだり、深海に潛ったり、向こうの世界で良質な素材は環境の厳しいところにあった。だから俺はそういうところを回っていた。
ルシアと出逢ったのは大ハーバルト帝國の領土にある狂鳴大森林と呼ばれる森の中だ。その森は世界でも特に強い魔が住み著いている場所で、その魔の皮や牙は良い素材になるので捕獲しに行っていた。
狂鳴大森林に潛って10日目くらいだったか。強い魔を探して森の中をさまよい歩いているとかなりのスピードで接近する1つの気配があり、その背後からそれを追う複數の気配があった。
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俺がいたのは森の中でもし開けた場所で、その時晝を過ぎた時間だったので結構日が差していて明るかった。木が鬱蒼と茂っている狂鳴大森林はかなり暗いので森の中では數ない視界のいい場所だろう。
逃げている気配は真っ直ぐこっちに向かってきていた。し考えた後、面白そうだから関わってみるかと思った。
そして開けた場所に1人のダークエルフのが飛び出して來た。そう。そのダークエルフがルシアである。全に傷があり、服ももボロボロ、長い銀髪は所々雑に切られており、目の下には深いクマが出來ていた。それでもなお強い意志を宿した眼をしていた。俺は思わず見惚れてしまった。
ルシアは逃げていた先に人間がいて慌てて急停止して警戒して弓矢を構えた。そしておそらく「何者だ」と言おうとしたのだろう、口を開こうとしたが言葉が発される前に俺は片膝をついてこう言った。
「結婚してください」
完全に一目惚れである。
ルシアはポカンとした顔をしていた。ルシアが何か答えを言う前に追っ手が飛び出して來た。告白の場にして來たゴミどもを俺は瞬殺した。実際に殺しても良かったのだがどうして追っていたのかを聞き出すために全員気絶させるに留めておいた。
邪魔者を排除して改めて答えを聞こうとルシアの方を振り向いたらルシアは気絶した。後で聞いたのだが追っ手がいなくなったことで安心したらしい。
追っ手を縄で縛ってルシアには持っていた中で1番効果の高いポーションを飲ませてあげた。この時はまだ薬師のジョブにもついてなかったし、【調薬】スキルも持っていなかったので市販のやつだ。
その日の狩りは中止にしてルシアの介抱をすることにした。ボロボロになった服のせいでイロイロ見えそうになっていたが嫌われたくないので見ないようにして介抱した。
ルシアは直ぐには目覚めそうになかったので追っ手どもを首から下を地面に埋めて遊んでいた。遊ぶついでに追っ手とOHANASHIして事を聞き出した。
ルシアが追われていた事について説明するには種族について説明する必要がある。
ルシアの種族であるダークエルフ、エルフ、ドワーフは人間や獣人と違って霊種と呼ばれ、屬を司る霊からされる種族だ。エルフは風との霊から、ダークエルフは風と闇の霊から、ドワーフは土と火の霊からされていた。
本來、エルフとダークエルフには司る霊以外は違いがなく、2種族まとめてエルフと呼ばれていた。ダークエルフと區別されるようになったのは最近のことである。
そもそもの発端は大ハーバルト帝國の皇帝、ビデバブが発した命令だった。その命令の容は
『我が帝國に勝手に居座る耳長供を皆殺しにしろ。共は余の奴隷にする』
ビデバブは端的に言ってクズ野郎だった。
責任などは皆無。自分のとを撒き散らすだけのブタだ。
そうして人間の國の中でも有數の軍事力を誇る大ハーバルト帝國の軍がき出したのである。帝國の軍の練度は高くない。だがその數が他の國とは段違いなのだ。
エルフはもちろん抵抗した。もともと人間を見下す傾向にあるエルフが人間の奴隷になるなど了承するわけもないし、風の霊の加護があるエルフは森の中では最強と言える。更にを司るエルフは日の出ている時間に力を増し、闇を司るダークエルフは夜に力を増す。役割分擔をする事で晝夜問わず戦い、帝國軍を悉く退けた。
だがそれも長くは続かなかった。
しびれを切らしたビデバブは用意していた全軍を投したのだ。その數は50萬人にも上った。エルフ側は非戦闘員の子供も合わせても10萬程度しかいない。數の暴力で徐々に押されていき、更に森に火をつけられ、森の奧へと追いやられていった。
このままでは全滅だと判斷したエルフは1つの策を講じた。それはの黒いダークエルフは魔族であり、そいつらを差し出すから自分達は見逃してしいと帝國に持ちかける事だった。
帝國はそれをけれた。まぁ、けれたフリをしてダークエルフ狩りをエルフにやらせて數が減ったところでエルフを狩るつもりだったらしいが。
そして同じエルフだった者たちから裏切られてダークエルフと呼ばれるようになった者達は突然の裏切りで戦士の大半を失った。夜の森では最強のダークエルフも晝の森ではエルフに敵わなかった。次々と殺され、捕らえられていったが誇りを失っていなかったダークエルフは捕まった時點で全員自害した。
そしてダークエルフという種は滅びかけその唯一の生き殘りがこのルシアだったそうだ。
追っ手達はよく見るとエルフと帝國の紋章が刻まれた鎧を著ている人間だった。事を聞き終えた俺は再度追っ手を気絶させてルシアが眼を覚ますのを待つことにした。
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