《不良の俺、異世界で召喚獣になる》2章2話

「はっはァ……!おいおい冗談だろォ……!」

「『竜族ドラゴニア』の『金竜ファフニール』ですぅ……?!『サモンワールド』で猛威を振るっていたあの『ファフニール』ですですぅ……?!」

「………………あっは~♪『厄災竜ディザスター』と『終焉竜バハムート』と並ぶ、『三大竜族キング・ドラゴニア』の1匹……♪あたしも見るのは初めてだよ~♪」

戦慄するキョーガ。驚きに固まるアルマ。引きつった笑みを浮かべるサリス。

その3人を前にして―――『金竜ファフニール』が口を開いた。

『……我が主よ。命令を』

「そうだな……とりあえず、人がいない場所に転・移・しよう」

『承知―――『空間転移ムーヴ・ポイント』』

―――――――――――――――――――――――――

「……あァ……?!」

『……主よ。ここの付近には生命反応がない。安全だ』

「おう、ありがとよ」

眼前の景が、チャンネルを変えるように切り替わる。

さっきまで町中だったのに―――キョーガたち4人と、デントと『金竜ファフニール』は、広い平原に立っていた。

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「……転移魔法……♪『竜族ドラゴニア』の最上級となると、スペックが高いね~♪」

「転移魔法なんて……初めて見ましたよぉ」

が固い2人―――と、キョーガはまったく別の事を考えていた。

―――この平原……どこか見覚えが……?

「あ、ああ……!どうしましょうどうしましょう……!『金竜ファフニール』なんて……!」

「……リリアナァ」

「どうしましょうキョーガさんっ!こんなの、キョーガさんたちが―――」

「リリアナァ」

ポンッと、リリアナの肩にキョーガの手が乗せられる。

てっきり、勵ましの言葉を言うのかと―――

「ここってェ、俺とリリアナが初めて會った場所だよなァ?」

「……えっ………………あ、はい。そうですね。いえ今はそれどころじゃないですよ!キョーガさん、いくらなんでも無謀過ぎます!デントさんの『金竜ファフニール』は、『三大竜族キング・ドラゴニア』の1匹ですよ?!いくらキョーガさんたちでも―――」

「大丈夫大丈夫ゥ……あんなのォ、デッケェトカゲだろォがァ」

先ほどまでのキョーガはどこへ―――そこには、表を狂喜に染めた年が笑みを浮かべて立っていた。

「……1対1だァ……タイマンやろォかァ……!」

「1対1じゃなくていい。そこの2人も含めて、3対1だ。ファニアを楽しませてやってくれよ?」

ビキッと、キョーガの額に青筋が浮かぶ。

―――舐めてんのかこいつは。

「……上等……!そのトカゲぶっ殺して前言撤回させてやんよォ……!」

「期待しとく……やれ、ファニア」

意―――『破壊の咆哮デストロイ・クライ』』

『キイイイイイイイ……』と、甲高い音を立てながら、『金竜ファフニール』の口に白い球のようなが浮かび上がる。

あれはなんだと聞く前に、『金竜ファフニール』の口元に浮かぶ白い球から―――極太のレーザーを放たれた。

「はっ―――?」

「『結晶技巧ブラッディ・アーツ』っ!『二重大盾ツヴァイ・シールド』っ!」

高熱の熱線がキョーガに當たる―――寸前、分厚い赤黒の結晶盾が、熱線をけ止め―――いや、け止め切れていない。

線をけた結晶盾が、音を立てて砕され―――

「―――何ボーッとしてるのっ♪」

直立のままけなかったキョーガを、サリスが擔いでその場を飛び退く。

直後。

先ほどまでキョーガが立っていた所が―――熱線により、ドロドロに吹き飛んだ。

「……あ……悪わりィサリスゥ……」

「あは~♪まったく厄介な召喚獣やつに喧嘩を売ったね~♪……ボーッとしてる暇なんてないよ♪常に気を張っておかないと―――死んじゃうよ♪」

「……あァ」

『ふうゥ……』と、長く息を吐き……再び、キョーガの顔が兇悪に歪んだ。

「……サリスゥ……ちょっと離れてなァ……久々に暴れるわァ」

「え~………………しょうがないね~♪」

サリスが大きく後ろに飛ぶ。

それを見たキョーガが腰を落とし―――瞬く間に『金竜ファフニール』との距離を詰めた。

そのまま拳を振りかぶり、『金竜ファフニール』の前足を―――

『―――鬱陶うっとうしいぞ猿が』

『金竜ファフニール』が剛爪を振り上げ、振り下ろした。

ただ、それだけの作。

それだけの作なのに……大地が割れ、風を裂き、砂ぼこりが舞い上がる。

衝撃の余波が、アルマとリリアナまで屆き―――キョーガの姿が無かった。

「……噓……!」

「まさか……!」

―――潰された。

そう認識したリリアナが、力無く地面に座り込んだ。

ギリッと、アルマの口から、歯を食いしばる音が聞こえる。

―――噓ですよね……キョーガは最強ですよね……?そんな簡単に死なないですよね……?

『…………………………ふむ』

「……あは~♪………………スゴっ♪」

もうもう立ち込める砂ぼこり……そこを見下ろす『金竜ファフニール』が、どこか楽しそうに呟いた。

『……これを耐えるか』

「はっ……はァ……!俺に両腕使わせるたァ驚きだなァ……!」

剛爪の下―――両腕で剛爪をけ止める、兇悪な年の姿があった。

「ぁ―――キョーガっ!」

「アルマァ!サリスと一緒にリリアナを守っといてくれェ!俺ァ久々に本・気・で暴れるからァ、もしかしたらそっちに被害が出るかも知れねェ!」

「キョーガ……はいっ!」

『傲おごるな猿……我の前に立つな』

グッと、『金竜ファフニール』が重を乗せる。

だが―――キョーガはビクともしない。

『なに……?!』

「……よォてめェ、俺の事を猿呼ばわりしやがってェ……『三大竜族キング・ドラゴニア』だか何だか知らねェがァ―――あんまり調子乗んなよォ?」

『この……『人類族ウィズダム』が偉そうに……!』

「はっ……!『人類族ウィズダム』だァ……?おめェ、眼ェ腐ってんのかァ?俺ァ『鬼か神み』だァ……たかだか『竜族トカゲ』ごときがァ、俺かみに勝てると思ってんのかァ?」

『傲るな猿が……!』

もう片方の剛爪を振り上げ、勢いよく振り下ろす。

圧倒的質量。圧倒的威力。

強烈な剛爪による一撃が、再びキョーガに襲い掛かり―――!

『―――ふんっ!』

「うッ―――らァ……ッ!その、程度かァ……?!」

『お前……!』

―――誰が信じるだろうか。

『竜族ドラゴニア』の中でも、上位三番にる力を持つ『三大竜族キング・ドラゴニア』の1匹、『金竜ファフニール』。

その巨から放たれる一撃を―――長170センチしかない男が、2回も耐えたなんて。

誰が信じるだろうか?

「あは~♪……あれじゃどっちが化けかわからないね~♪」

「なんだよおい大した事ねェじゃねェかよォ……!ほらもっと力れろよォ!」

『生、意気を……言うな―――!』

ブワッと舞い上がる『金竜ファフニール』……その口元に、再び白球が浮かび上がる。

瞬時に理解する。

―――さっきの熱線だ。

「ふゥ……さァ、遊ぼォぜェ」

対するキョーガは……腰を落とし、迎撃の構えを取った。

その雰囲気は―――先ほどの兇悪な雰囲気と一変、スゴく落ち著いている。

『失せろ猿が―――『破壊の咆哮デストロイ・クライ』ッ!』

破壊線が放たれる。

誰の目にも、キョーガが吹き飛ばされる景が浮かんだ―――が。

「はァァァ―――ああァあァあああああァあああああああああァあああああァあああああああああッッ!!」

―――それは、圧倒的な暴力。

放たれた拳は熱線を打ち消し―――上空を飛んでいた『金竜ファフニール』のに、拳の風圧が襲い掛かった。

『ぐっ―――うぅ……?!今、何が……?!』

風圧をけた『金竜ファフニール』が勢を崩し―――その目の前に、キョーガが現れた。

「落ちな―――ッッ!!」

大きく跳躍したキョーガが腕を振りかぶり、『金竜ファフニール』の頭部に拳をねじ込んだ。

『ドォォォォォッッ!!』と地面が揺れ―――上空を飛んでいた『金竜ファフニール』が、地面に沈んでいた。

『う……ぐぅ……!』

「おォ、まだ意識あんのかァ……タフだなァ」

『貴、様……!』

「ほら立てよォ……もっと楽しませろよォ……!」

威圧するように拳の骨を鳴らしながら、キョーガが兇悪に笑みを深める。

「お―――らァ!」

『ぐふぅ?!』

無造作に放たれた蹴りが、『金竜ファフニール』を上空に打ち上げる。

無防備な『金竜ファフニール』に追い討ちをれるべく、キョーガが上空に飛ぼうとして―――

「―――み、見つけたッ!」

「……あァ?」

不意に聞こえた、第三者の聲。

キョーガでもリリアナでも、アルマでもサリスでもない。なんならデントと『金竜ファフニール』でもない。

聲が聞こえたほうを見ると―――どこかで見たような、白を著た若い男……彼は―――

「……あんたァ、俺のスマホを買い取ったァ……」

「そ、そうだ!覚えていてくれたか!」

そう、白の男は、キョーガのスマホを高額で買い取った研究員だったのだ。

だが……し様子が変だ。

はボロボロに破け、あちこちにが飛び散っており、その顔は恐怖に彩られて―――

「た、頼む!『ギアトニクス』を救ってくれ!」

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