《不良の俺、異世界で召喚獣になる》2章3話
「どうぞ、お茶です」
「すまない……助かる」
とりあえず『金竜ファフニール』との戦闘を中斷したキョーガ達は、研究員の男を連れて家に帰ってきた。
「それで……救ってくれとは、どういう事ですか?『ギアトニクス』に何があったんですか?」
「………………実は……裏に研究をしていた機械が、自我を持って暴れ始めたのだ」
研究員が言うには、こういう事らしい。
キョーガのスマホを手にれた研究員は、すぐに研究本部がある『ギアトニクス』に向かった。
そこでは、『人工召喚獣作計畫』という、國にで行おこなっていた研究があった。
キョーガのスマホは、すぐに分解されて計畫に使われ……そして完したのが、『人工召喚獣』―――『機巧族エクスマキナ』。
実験は功したかに思えた―――しかし、その後に事件が起きた。
なんと、最初に作られた『機巧族エクスマキナ』が暴走し、他の『機巧族エクスマキナ』をって『ギアトニクス』を崩壊の危機まで追いやっていた。
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『この『魔道アーティファクト』を使っていた者なら、暴走を止める手段を知っているかも知れない』。
そう思ったこの男―――『サルモ』はキョーガに助けを求めるために、命懸けで『プロキシニア』にやって來た。
「……というわけだ……頼む、君の力を―――」
「斷る」
すがるようなサルモの言葉を、キョーガは一瞬でぶった斬った。
リリアナとアルマが驚いたような視線を向ける中……ゆっくりとキョーガが続ける。
「あのなァ……裏にやってた研究の後始末をなんで俺に任せんだァ?そりゃおかしいだろっがよォ」
「し、しかし……!あの『魔道アーティファクト』を持っていたのは君だ!君は私たちよりあの『魔道アーティファクト』に詳しいはずだ!」
「あァ詳しいなァ……で?この騒が終わったらどうする?お前ら國から追放されっぞォ?そんなアホ野郎共の拭いなんざァ、俺ァ絶対にゴメンだね。他當たれェ」
取り付く島もない返答に、研究員の返事が詰まる。
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「それにィ……この騒が終わった後ォ、てめェらが追放されたくなくて、俺の事を代わりに出すかも知れねェしなァ?『こいつが犯人です』ってェ」
「そ、そんな事―――」
「てめェがしなくても、他がするかも知れねェだろォがァ、そこんとこ理解しろよォ……俺ァ知ってんだ。てめェらみてェに裏で研究してるやつにゃ、絶対に裏があるゥ―――俺を甘く見るなよ三下研究員がァ」
覇気を込めたキョーガの言葉に、その場にいた全員が思わず息を呑む。
「き、キョーガさん?その……サルモさんと何かあったんですか?」
「あァ?別に何もねェよォ……ただァ、俺ァこういう研究員ってのが大っ嫌いなんだァ……研究対象を道としか見てねェ、薄汚れた瞳してっからなァ」
目を閉じ、『これ以上、話す気はない』と態度で表すキョーガ。
リリアナは、どうするべきか悩んでいた。
―――確かに、キョーガさんの言うことも、一理ある。
でも……やっぱり、困った人は助けてあげたい。
キョーガさんは嫌かも知れないけど、これは一國の命運が掛かっている。
それに、キョーガさんとアルマさん、サリスさんがいれば、『ギアトニクス』を救えるかも知れない……ここは無理に頼んででも―――
「……人が下手に出てれば、何様のつもりだ?!」
「あァ?……てめェ今何つったコラ」
「お前から『魔道アーティファクト』を貰うまでは上手く行っていたんだ!設計通り、仮定通り!『魔道アーティファクト』を貰った後から計畫が狂いだした!お前の『魔道アーティファクト』が原因だろう?!お前が原因だろう?!だったら、相応の態度を―――ッ?!」
逆ギレ。
そろそろ我慢できなくなったキョーガが、研究員の顔面をぶん毆ろうと―――する前に、『パンッ!』と乾いた音が響いた。
目を白黒させる研究員……いや、研究員だけじゃない。キョーガもアルマもサリスも……驚いて目を見開いている。
視線の先には―――腕を振り抜いたリリアナが、顔を真っ赤にして、小さく震えていた。
「……撤回……してください」
「お前……!いきなり何を―――」
「撤回してください……キョーガさんが悪いなんて言った事、撤回してください……」
怒りで真っ赤に染まった顔……普段は穏やかな微笑を飾っているは、キツく結ばれていた。
―――怒っている。
あのリリアナが、怒っている。
「この―――!」
「おっとくなよ三下ァ……頭、吹っ飛びたくねェだろォ?」
「これ以上何かするなら、さすがのボクも怒りますよぉ……?」
「あはっ♪2人とも怖~い♪こいつの事、殺す気じゃ~ん♪」
一瞬でサルモの背後に回り込んだキョーガが。
リリアナの後ろで魔法陣を展開したアルマが。
リリアナとサルモの間にり込んだサリスが。
―――『1歩でもいてみろ、その時がお前の最後だ』と威圧的な覇気を出していた。
「……キョーガさん……『ギアトニクス』に行きましょう」
「はっ―――あァ?!リリアナてめェ、どういうつもりだァ?!」
「ほ、本當か?!」
「ただし、2つ條件があります」
無表のリリアナが、サルモに1歩近づいた。
「1つ、この件が終わったら、私たちに関わらない事。いいですか?」
「……わ、わかった……もう1つは?」
「キョーガさんに謝ってください……それができないなら、『ギアトニクス』には行きません」
予想外の條件に、キョーガまで困した。
サルモが振り返り、キョーガに向かって深々と頭を下げる。
それを見て―――文句を言う気にもなれず、キョーガは渋々『ギアトニクス』に行く事にした。
―――――――――――――――――――――――――
「ご、ごめんなさいキョーガさん。その、私、ついカッとなってしまって……」
「……終わった事だァ。気にしてもしょうがねェよォ……そこの取ってくれェ」
手際よく料理を進めるキョーガ―――その隣で、申し訳なさそうに肩を落とすリリアナ。
勝手に『ギアトニクス』へ行くと決めてしまった事を気に掛けているようだ。
「……なァリリアナァ……俺ァこれを何回言ってるかわかんねェがよォ……おめェは俺の召喚士なんだァ。もっとシャキッとしてろォ。おめェが決めたんだァ、俺ァ別に反対しねェ」
「すみません……キョーガさんが行きたくないのはわかってたんです。ですけど……」
「おめェが人に甘々なのはァ、いつもの事だろっがよォ」
「―――ただいまですぅ。キョーガ、頼まれていた、買ってきましたよぉ」
「おうサンキューなアルマァ」
「あは~♪このローブいいね~♪町に行っても不快な視線を向けられないよ~♪」
青いローブを著たアルマと茶のローブを著たサリスが、買い出しから帰ってきた。
アルマがキョーガに白い布を手渡し、頭をでられて嬉しそうな表を見せる。
「えっと……それは何ですか?」
「あァこれかァ?おめェのローブの材料だァ。朝、しいって言ってたろォ?」
「……すみません。本當にすみません」
自分のための買い出しだったと知って、さらにリリアナが肩を落とす。
「いつまでもグズグズすんじゃねェ。飯できたから運べェ、食うぞォ」
「……はい」
リリアナがキョーガの作った料理を運ぼうとして―――その肩を、キョーガにガッシリ摑まれた。
驚きに目をパチクリさせるリリアナを見て、キョーガがニカッと兇悪な笑みを見せた。
「……笑え」
「へ?」
「だからァ、笑えってんだよォ。そんなけねェ顔、俺らの召喚士に相応ふさわしくねェ……を張れェ、前を見ろォ。おめェはゴチャゴチャ考えんのがヘタクソなんだァ。ならせめて笑ってろォ。そっちの方がおめェらしいぜェ」
リリアナの頬を引っ張り、キョーガが楽し気に笑う。
フニフニとキョーガに頬を弄いじられながら―――リリアナが安心したような笑みを見せた。
「おらァ、飯にすっぞォ……殘したら殺す」
「それって言わないとダメなの~?いつもいつも食事の前に言われて騒なんだけどっ♪」
「やかましィ黙って食えエロ犬ゥ」
「あは~っ♪……食事前に、ちょっと運でもしようかなっ♪」
一瞬で摑み合うキョーガとサリス……それを見たリリアナが、何を思ったかキョーガに飛び付いた。
「お2人ばかりいつもズルいです!私もぜてください!」
「あ、ご主人様がするんだったら、ボクもざりますよぉ」
「何やってんだおめェら!邪魔だ重てェどけ!」
仕返しと言わんばかりに、リリアナがキョーガに頬を引っ張る。
どさくさに紛れ、アルマもキョーガに飛び付き、その首元に牙を突き立て吸を始めた。
これをチャンスと見たサリスが、渾の力でキョーガの手を潰しに掛かる。
―――ここにいると退屈しない。
3人の攻撃をけているキョーガは……先ほどの兇悪な笑みではなく、心からの笑みを浮かべていた。
―――――――――――――――――――――――――
夜の『ギアトニクス』―――そこに、小さなと白の男が向かい合っていた。
「……く、そ……機械の分際で……お前は、何が目的なんだ……?!」
「【愚問】 何故、當機より弱い者の言う事を聞かなければならないのか」
「お前らを作ったのは我々だぞ……?!この恩知らずが……!」
「【矛盾】 を持たない機械に、恩を求めるのが間違っている」
『キイイイイイ……』と甲高い音を立て、の左手の歪な機械にが集まる。
そして、から熱線が放たれ―――目の前の男の心臓を撃ち抜いた。
「【疑問】 何故、こんな弱生に我々が作られたのか……」
『【連絡】 『戦闘組1班』から『指示者コマンダー』へ。応答を求める』
「【応答】 こちら『指示者コマンダー』」
『【報告】 本國北部に『人類族ウィズダム』の隠れている建を発見。これから突撃する。許可を求める』
「【許可】 1人も逃さないように」
『【了解】 1人殘らず殲滅せんめつする』
機械的な連絡を終えたが、上空に飛び上がる。
―――『機巧族エクスマキナ』の暴走は、まだまだ続いているようだ。
【書籍版8/2発売】S級學園の自稱「普通」、可愛すぎる彼女たちにグイグイ來られてバレバレです。
【講談社ラノベ文庫より8/2刊行予定】 権力者の孫娘にして超人気聲優アイドル・瑠亜の下僕みたいな立場に甘んじていた俺。 「アタシと幼なじみなこと、光栄に思いなさい! ッシャッシャ!」 しかし、しかし……。 彼女がやった「あること」がきっかけで、俺はぶち切れた。 お前とはこれまでだ、さらばブタ女。 これまでずっと陰に徹して、ブタの引き立て役だった俺。 ようやく普通に生きられると思っていたが、「普通」はなかなか難しい。 天才が集うS級學園の特待生美少女たちに、何故か次々とモテてしまって――。 これは、隠れハイスペックの主人公がヒロインとの「絶縁」をきっかけにモテまくり、本人の意志と関係なく「さすがお前だ」「さすおま」されてしまう物語。 ※ジャンル別日間・週間・月間・四半期1位獲得 ※カクヨムにも投稿
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