《不良の俺、異世界で召喚獣になる》5章10話
「『三頭犬の狩猟ヘル・ハウンド』」
サリスの足元に魔法陣が浮かび上がり──そこから、サリスの分が二現れる。
「……『付屬魔法・氷結加護エンチャント・アイスブランド』」
「『付屬魔法・獄炎加護エンチャント・ヘルフレイム』」
ルナの両手が氷に包まれ、氷爪へと変化。
サリスの両手から獄炎が発せられ、獄炎の剛爪を作り出した。
「……あなた……」
「ん〜?」
「さっき……サリス、って……呼ばれて、た……もしかして……『ドゥーマ家』の、サリス……?」
「そうだよ〜。急にどうしたの〜?」
「……別に……聞いてみた、だけ……」
一瞬も表を変えないルナの言葉に、サリスは肩を竦めながらクロノスに視線を向けた。
「時間は有限、時間こそ至高の寶……貴様らザコに我の時間を使うなど、腹立たしくて仕方がない」
「なら、とっととあたしに殺されたら〜?」
「ふん……あまり調子に乗るなよ、『閻魔大王デーモンロード』の犬が」
言いながら、クロノスが思い切り足を振り上げ──
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「──『進む事のない時間クロノス・タイム』」
力強く地面を蹴り──地面が抉れ、複數の石が飛んでくる。
剛爪を構えるサリスが、迫る石を叩き落とそうと──
「──ダメ」
「えっ──」
ルナがサリスを抱え上げ、その場を大きく飛び退いた。
その直後、先ほどまでサリスたちが立っていた所に、クロノスの蹴り飛ばした大量の石が激突し──
──オオオオオオオンンンッッ!!
「……は……?」
クロノスの蹴った石が地面に當たった──瞬間、まるで地面が発したように吹き飛んだ。
飛び散る石片がサリスの分のを貫き、分が霧となって霧散していく。
ただ石を蹴り飛ばしただけでは、あんな威力が出るわけがない。
一、何がどうなって……?!
「……『進む事のない時間クロノス・タイム』、の応用……蹴った、石の……時間を、止めた……」
「あ〜、なるほどね〜……蹴った石の形が変わらないから、一方的に地面が破壊されてるって事か〜」
「ん……あの、石を……あなたが、迎撃してたら……手が、壊れてた……」
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簡単にすると、こういう話だ。
時間が止められ、その形から絶対に変わらないがあるとする。
それを思い切り毆ったり、あるいはそのが超高速で飛んでいった場合、どうなるか。
答えは明白。
毆った方の拳が破壊され、飛んでいった先にある全てを砕するだろう。
今起こった現象は、そういう事だ。
「油斷、しないで……相手は、『神族デウスロード』……規格外の、存在……」
「あはっ……言われなくても──」
だらんと両腕から力を抜き──瞬く間に、サリスがクロノスに飛び掛かった。
「──最初から、そのつもりだっての〜」
獄炎を纏う剛爪を振り抜き──寸前で躱すクロノスが、『進む事のない時間クロノス・タイム』を発して拳を放った。
食らえば即死──咄嗟にを低くして拳撃を避け、アッパーのようにして剛爪を振り上げる。
黒い炎の軌跡を描く一撃は、的確にクロノスの顔面を引き裂かんと迫るが──
──ガギッと、鈍い音。
『進む事のない時間クロノス・タイム』を発しているため、サリスの剛爪が弾かれた音だ。
「くっ……!」
「良い技だ。勘も良い──だが、我には通用しない」
勢を崩すサリスに、クロノスが手をばした。
その手がサリスの頭を摑み、握り潰す──寸前。
「『全面凍結コキュートス』」
──ピシッと、クロノスが凍りついた。
慌ててその場を離れるサリス──次の瞬間、クロノスを覆っていた氷が々に砕け散った。
「……ありがと」
「禮は、いらない……それ、より……足で纏いに、なるなら……どっか、行ってて……」
冷たいルナの言葉に、サリスが両肩から力を抜き──どこか諦めたように乾いた笑みを見せた。
「は〜……もう、いっかな〜……?」
「……? なに、が……?」
「もしかしたらキョーちゃんを巻き込むかも知れないけど、キョーちゃんなら避けられるだろうし〜……うん。誰かのために我慢するなんて、あたしらしくないからね〜」
手足を地面に付き──サリスを中心に、巨大な魔法陣が浮かび上がる。
「この、魔力量……それ、に……その、魔法陣……! まさ、か……?!」
「ルナちゃんには悪いけど、あたしはもう遠慮はしないから、死にたくないなら勝手に避けてね〜? ──『地獄の業火に染まりし世界ワールド・イズ・マイン』」
──瞬間、辺りの景が強制的に塗り替えられる。
立ち並ぶマンションは消え──代わりに、枯れ果てた黒い木々が辺りに現れる。
地面から黒い業火が噴き出しており、まるで火山の噴火が連続で起きているかのようだ。
地獄──そう表現するのが一番しっくりくるだろう。
「──被告、『神族デウスロード』の『時神クロノス』」
──どこから取り出したのか、歪な形の帽子を被ったサリスがクロノスの指差した。
「地獄の支配者である『閻魔大王デーモンロード』に代わり──『次期第四席地獄裁判長』のサリス・ドゥーマが判決を下す」
至る所で噴火が起きる中──地獄の裁判長が、クロノスに冷たく言い放った。
「あたしの獨斷と偏見により──汝を死刑とする」
「なん、て……めちゃくちゃ、な……裁、判……!」
サリスの下したデタラメな判決に、思わずルナがツッコミをれる。
そんなデタラメな判決をけたクロノスは──興味深そうに周りを見回し、心したように言葉をらした。
「『心を映し出す偽りの世界ワールド・イズ・マイン』、か……まさか、貴様のような落ちこぼれがこの魔法を使えるとはな」
──『心を映し出す偽りの世界ワールド・イズ・マイン』。
それは、全ての魔法の頂點に君臨する魔法。
どんな魔法にも『心を映し出す偽りの世界ワールド・イズ・マイン』は存在しており──アルマもまた、『結晶魔法』の『心を映し出す偽りの世界ワールド・イズ・マイン』を使用する事ができる。
強力である故に──発條件がいくつか存在する。
第一に、膨大な魔力を有している必要がある。一つの世界を展開するのだ、それは當然だろう。
そして……それと同じくらいに重要な事がある。
それは──想像力だ。
「ふ、くぅ……!」
じっとりと脂汗を浮かべるサリスが、苦しそうに呼吸を繰り返す。
ほんの一瞬でも集中を──想像を切らせば、この世界はたちまち霧散してしまうのだ。
「どうした? まだ一分も展開していないのに、もう限界か?」
「あたしをあんまりっ、舐めないでよね──!」
サリスが大きく腕を振るい──それに反応するように、クロノスの足元から獄炎が噴出。
クロノスの姿が獄炎に呑み込まれ──次の瞬間、クロノスが獄炎を振り払い、サリスに飛び掛かった。
「有ッ、罪ッッ!!」
サリスが腕を振り上げ、クロノスに向けて振り下ろす。
──ズンッッ!! と、獄炎で作られた巨大な拳がクロノスのを押し潰した。
「斷──罪ッッ!!」
押し潰されるクロノスの左右に、獄炎で作られたギロチンが現れる。
地面を抉えぐりながらクロノスへと迫り──二臺のギロチンが、クロノスのを挾み込んだ。
「──死罪ッッ!!」
きが取れなくなるクロノス──その真下が発。
続けてサリスが地面を踏み込み──連続して地面が発し、クロノスをさらに攻撃。
「まだッ──まだぁッッ!!」
上空に巨大な獄炎で作られた剣が現れ──クロノスがいるであろう場所へと突き刺さる。
直後──何度目になるかわからない発。
もうもうと立ち込める砂煙を睨み付け、サリスが荒々しく呼吸を繰り返し──
──砂煙の中から、クロノスが飛び出した。
「──殘念だが、我には通じぬ」
一直線にサリスへと迫り、クロノスが拳を握った。
瞬く間にサリスの懐ふところへと飛び込み、クロノスが絶殺の拳を──
「──『結晶に染まりし世界ワールド・イズ・マイン』」
クロノスが拳を放つ──寸前、辺り一面の地面が紅の結晶へと変化。
そして──クロノスの足元から、紅の結晶で作られた槍が飛び出した。
クロノスの顎に槍が突き刺さり──ガギンッ! と甲高い音を立ててクロノスが上空へと打ち上げられる。
「ゆ、有罪ッッ!!」
無防備な狀態のクロノスに向かって、獄炎の巨拳が叩き込まれる。
遠くに吹き飛ばされるクロノス──と、サリスの目の前に一人のが降り立った。
「……『神族デウスロード』の気配をじたから、避難所から出てきたのだが……どうやら、出てきて正解だったようだな」
「あ、アルマちゃん?!」
『力解放』した狀態のアルマが、サリスに視線を向けた。
「無事そうだな、サリス」
「な、なんで?! リリアナちゃんは?!」
「ご主人様は先ほど避難所に戻ってきたシャルアーラに任せた。ただの『人類族ウィズダム』に襲われても、『地霊ドワーフ』のアイツならどうにでもなるだろう。それよりサリス、お前は『心を映し出す偽りの世界ワールド・イズ・マイン』が使えたんだな?」
「い、一応ね……まだ完璧じゃないけど……」
『獄炎魔法』と『結晶魔法』。
二人の魔法が作り出す世界の中、アルマが不思議そうに問い掛けた。
「そういえば、キョーガはどうした?」
「キョーちゃんは『鬼夜叉デモニア』と一緒にアレスと戦ってるよ〜……」
「『鬼夜叉デモニア』だと……? ふむ……そこの『氷結銀狼フェンニル』は?」
「ん〜……今は味方、ってじかな〜」
「そうか……なら、とっとと奴を始末して、キョーガの援護に行くとしよう」
殺意を剝き出しにするアルマが、黒の翼を大きく広げて獰猛に笑った。
銀河戦國記ノヴァルナ 第2章:運命の星、摑む者
『銀河戦國記ノヴァルナ』シリーズ第2章。 星大名ナグヤ=ウォーダ家の新たな當主となったノヴァルナ・ダン=ウォーダは、オ・ワーリ宙域の統一に動き出す。一族同士の、血縁者同士の爭いに身を投じるノヴァルナ。そしてさらに迫りくる強大な敵…運命の星が今、輝きを放ち始める。※この作品は、E-エブリスタ様に掲載させていただいております同作品の本編部分です。[現在、毎週水曜日・金曜日・日曜日18時に自動更新中]
8 190NPC勇者〇〇はどうしても世界をDeBugしたい。みたい!?
作品名:NPC勇者○○はどうしても世界をDeBugしたい。みたい!? *最新話隨時更新中* 最新の超期待作ゲーム。その世界限定先行テストプレイに見事當選した主人公。 しかし、開始からバグのオンパレードでキャラエディットが出來ずに強制開始ときたから不満はもう大爆発! スキルも能力も全く設定されていない、開発者専用アカウント「勇者〇〇(まるまる)」としてログインした主人公は本來のプレイヤー名を名乗る事はおろか、バグの影響でログアウトも出來ず、更に運営にまでNPCだと勘違いされてしまいただ1人ゲーム世界に取り殘される。 ここで生き殘る為に使えるのは、自らが今まで培ってきたゲーム知識と…まさかの公式チート『デバッグメニュー』!? 資金無限、即時復活、限定解除にステータス変更不能からウィンクひとつでコミュランク強制MAX!・・・これ、現実に戻らなくてもいいんじゃね!? 現実とゲームの世界を越えた、絆で結ばれたNPC達との大冒険が、今ここに始まる。 はたして勇者○○は本來の自分を取り戻し、ログアウトする事が出來るのか?それともこのままNPCとしてゲーム世界に取り殘されてしまうのか。 ゲーム発売まで殘りあとわずか…それまでにNPC勇者○○はどうしても世界をDeBugしたい。みたい!? イラスト提供:ナス(転載禁止) 作者、激しく補助席希望をTwitterで検索! @999_RC_att なお、同名にてSPOONによるLIVE配信も行っております。気になる方は要チェック!!いつでも気軽に遊びに來て下さい。 また、隨時質問や感想等もコメント大募集しております。あなたのコメントが作者のヤル気とモチベを爆上げさせますので、是非お願いします!
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