《《完結》待されてる奴隷を救った、異世界最強の龍騎士》第5話「渡された武」
「停電か?」
「私のが止まったから」
はじめてがしゃべった。まるで老婆のようにしわがれた聲だった。ノドが潰されているのだろう。悲鳴のせいで、聲帯を痛めているのかもしれない。
「どういう意味だ?」
「が、エネルギーだから」
「がエネルギーだって? それは君が特別なのか。それとも、この世界ではそれが普通なのか」
「それが普通」
「変な世界だな……」
電気が通っていると思っていたのだが、こののをエネルギーとしていたということだろう。
どういう理屈なのか、よくわからない。
異世界だからある程度の、超自然現象は覚悟していた。さすがに、ここまでぶっ飛んでいるとは予期していなかった。
の手枷足枷は、カギを必要としないタイプだった。簡単に開けることが出來た。
は、けだるげに立ち上がった。
よろよろとリビングの奧へと歩いて行く。
「おい、大丈夫か?」
足取りがおぼつかない。手や足を見てもよくわかるのだが、異様に痩せこけている。
本來が持つべきの丸みが、まるでなかった。ただ、元だけはつつましく膨れている。は棚を開けた。
「なんだこの棚?」
ガンラックというのだろうか。日本ではあまり見かけないシロモノだ。銃のようなものが立てかけられている。
はそこから銃を一丁取りだした。
「これ」
と、龍一郎に渡してくる。
「勝手にもらっても良いのか?」
「うん。必要になる」
はこくりとうなずいた。その作に合わせて、白髪のショートカットがわずかに揺れた。
ものすごく繊細な髪をしている。思わずれてみたくなるほどだ。もちろん、そんなブシツケなことはしないけれど。
が渡してくれた銃を手に取る。
大きさ的には拳銃だが、龍一郎の知っている銃とは違う。銃は直方になっていて、ここにもチューブが裝著されている。先端は針になっている。そして、小指ほどの大きさの容もついている。
「これは銃――なんだよな?」
「そう」
「なんで、これにもチューブがついてるんだ?」「銃弾はを使うから」
は、抑揚のない、しわがれた聲でそう教えてくれた。
「じゃあこの銃を発するときは、自分に針を突き刺さなくちゃいけないのか」
「うん」
「あんまり撃ちたくないな」
この銃がどれほどの威力を発揮するのかわからない。
だが、銃が必要になるとは、どういうことなのだろうか。もしかして、さっき村人たちが、あわただしく走って行ったことと何か関係しているのだろうか。
「モンスターでも出たりするのか?」
そう尋ねたときだ。
「おい、そこで何してる!」
聲をかけられた。
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