《《完結》待されてる奴隷を救った、異世界最強の龍騎士》第18話「ベルとのお食事・前編」

ぐぅ。

龍一郎のお腹が鳴った。

夜明け前に転移させられてから、クロエイを倒したり、歩き回ったりしていた。そろそろ朝食の時間だ。

「通貨は使われてないって言ってたな」

「すべて、で払える」

「だったら、飯でも食おうぜ」

ベルはしばらく直していた。表をひとつもかさない。そうかと思うと、ベルのお腹からも「ぐぅ」。

ベルは青白い頬を、ほんのりバラに染めた。死んだような顔に、うら若き乙艶いろつやが燈ると、見ているほうも安心できた。

「そっちもお腹すいてるんじゃないか」

「ごめん……なさい」

ますます顔を赤くしてしまった。

「別に謝らなくても良い。どこかご飯でも食べれるお店でも探そう」

ストリートに木造の飲食店があった。ナイフとフォークの看板が出ていたから、飲食店だとすぐにわかった。

木造の3階建ての建だった。2階部分は大きなテラスがついていて、外で食べている人も多く見けられた。

テラスの上には、巨木の幹が通っていた。そこから大量の外燈がぶらさがっている。

箸でつまみあげられたウドンのごとく、大量のチューブも木の枝からぶら下がっていた。龍の管と言われる、を吸うためのチューブだ。

「すげぇ大きな樹だな。この都市全にはびこってるんじゃないか?」

「あの樹は、龍の尾と言われている。大量の龍の管が通っていて、を流すと明かりをともしてくれる」

「ベルはこの都市に來たことがあるのか?」

「ソトロフ男爵に飼われる前は、他の貴族に飼われていたから、そのときはグランドリオンにいた」

「そうか」

深いセンサクはやめておこう。ベルの青い瞳から生気が失われていた。良い過去ではないのだろう。

ただ、ひとつ知れたのは、ソトロフ男爵という名前だ。それがケルネ村でベルを飼っていた貴族の名前なのだろう。

「2階のテラスで食べようぜ」

「うん」

2階のテラス席をとった。木造の丸テーブルと、イスが置かれていた。すぐ下に通るストリートを見下ろすことが出來た。周囲の都市を眺とまではいかなくとも、見下ろすことは出來る。

「これが獻立表か」

ちゃんとした紙に獻立が書かれていた。紙が流通しているということは、木材加工の技はあるのだろう。

を使っているとはいえ、電気は通っているし、車も通っている。文明的にそれほど遅れてはいないようだ。

食べに関しても地球と大差ないようだ。食文化に変わりないということは、生息しているも似ているのだろう。

しずつ、レオーネという世界の形が見えてきた気がした。

「オレはバターたっぷりのフレンチトーストにしようかな。ベルはどうする?」

「へ?」

「だから、朝ごはん」

獻立表を渡すと、不思議そうな顔をしていた。

「私も?」

「え? お腹減ってるんじゃなかったのか?」

「減ってる。けど、私も食べて、良いの?」

「當たり前だろう。食べないつもりだったのか?」

「食べたこと、なかったから」

話がどことなく食い違っていたようだが、ようやく合點がいった。つまり、ベルはこういった食事をとったことがない、と言いたいのだろう。

「普段どんなもの食べてるんだ?」

「奴隷はだいたい専用のフードがあるから。鉄分を多く摂取するためにタニシとか、貝とか小松菜とかをミキサーにかけて固形狀にしたカタマリ」

「……そうか」

聞かなきゃ良かった。

鉄分をつくるのはが必要だからなのだろうが、もっと健康的な食事をとったほうが良いと思う。

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