《《完結》待されてる奴隷を救った、異世界最強の龍騎士》第41話「クラウスのクロエイ」
2階。
長い廊下の突き當たりが、執務室だそうだ。
スクラトアによってベルは暴力的な扱いをけているのではないかという焦りがあった。その焦りが龍一郎を走らせていた。
廊下を走っていると、ふと外へと続くトビラに黒い影がよぎった。
バリンッ
窓ガラスを突き破って、幽暗より何かが跳びこんできた。クロエイ。龍一郎はクロエイに押し倒されるカッコウになった。
すかさず《影銃》で迎撃しようとした。
が。
躊躇が生まれた。
龍一郎を押し倒しているクロエイの顔面には、クラウスの顔があったからだ。目を見開き、雙眸ひとみは漆黒に染まりきっていた。頬は裂けて口が大きく開かれている。バケモノじみているとはいえ、かつての面影があった。
「クラウス!」
「キェェェェッ」
口が大きく開く。
その口からは死臭が漂ってきた。
はあれど、保が優先された。
影を食われてしまっては、明日は我がだ。
《影銃》を撃ちこんだ。
「キェェェェッ」
知質値200越えの紅の弾丸は、効果テキメンだったようだ。クラウスは跳びのいて悶絶していた。
しかし――。
「倒せてないのか」
今までどんなクロエイも一撃で仕留めてきた。一撃で仕留められないのは、はじめてだったので、驚嘆があった。
「質値の高い個がクロエイになった場合は、強力なクロエイになる。他のクロエイよりかは強力だと心得よ」
フィルリア姫がそう教えてくれた。
もとが侯爵の息子だから、相応の強さがあるのだ。
「ちッ」
この廊下の奧にベルがいるはずなのだ。あとしなのだ。相手がクラウスだからといって、逡巡している場合ではない。
照準をクラウスに合わせる。深呼吸をおいて、トリガーをひきしぼった。
しかし、殺気でもじたのか、クラウスは天井に跳びはねて、弾丸をかわした。
跳んだだけではない。
黒くけぶっている四肢を天井にピタリと張り付けていた。そうやって天井から這い寄ってくる。もはや人のきではない。
銃を天井に向ければ今度は機敏に床に落ちてきた。猛然と襲いかかってくる。
マズイ。
龍一郎の影は前方にびている。
食われる。
そう思うと怯える気持でがイッパイになった。もしも恐怖でノドがしまっていなければ、のような悲鳴をあげていたことだろう。
「せいっ」
と、フィルリア姫がレイピアを突き出した。そのおかげで、クラウスは大きく後方に跳んだ。龍一郎の影は食われずに済んだ。
「リュウイチロウ」
「はい」
まだ恐怖の余韻が殘っていて、聲が妙に上ずっていた。幸い、フィルリア姫は気づかなかったようだ。気づかないフリをしてくれたのかもしれないが。
「私がヤツを隣の部屋にい込む。彼の相手は私に任せよ。君は先に行け」
「しかし」
「助けたい人がいるのだろう」
「……すみません」
ホントウに任せても良いのかと思ったけれど、それよりも、この怪を他人に任せられるという安心があった。
我ながらけないけれど、龍一郎は一介の高校生だ。むしろ、ここまで果敢に進んできたことを賞賛されるべきだろう。
「心配することはない。私はクロエイに影を食われても、暗黒病にかからない質を持っている。龍神族であれば、特有のチカラをめているからな」
「……はい」
「こっちだ、バケモノッ」
フィルリア姫はクラウスに走り寄って距離を詰めた。信じられないことにクロエイ相手にコブシを叩きこんだ。
影を食われても問題ない能力を持っているとはいえ、よくあのバケモノをれる。あまり効果はなかったようだが、クラウスはフィルリア姫に注意を向けたようだ。
フィルリア姫が隣室に跳びこむと、クラウスもついて行った。
道が開いた。
龍一郎はすかさず、廊下を走った。
フィルリア姫のセリフが脳裏をめぐっていた。
(龍神族であれば、特有のチカラをめているからな)
あれは、もしかすると龍一郎に向けたものではなかったか? フィルリア姫は龍一郎のことを龍神族だと見抜いて、そう助言したように思えて仕方がなかった。
(オレにも何か、チカラが?)
わからない。
そのめたる謎のチカラに頼らなければならないときは、出來れば來ないほうが良い。最奧のトビラに手をかけた。
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