《《完結》待されてる奴隷を救った、異世界最強の龍騎士》第81話「準備は整った、語はき出す」

「大変です!」

騎士が1人トびこんできた。巨大種のクロエイが群れをなして、このセリヌイアに向かっているということだった。

ケルゥ侯爵はマッタクじなかった。

はもう良い。申し訳ないがクロエイを、近づけさせないようすこし時間稼ぎしてくれないかな? 5分――いや3分あれば良い」

「もちろんです」

セッカク助けた1500人を、クロエイに食われてしまっては本末転倒だ。この都市にはベルがいる。

1匹たりともクロエイをれるつもりはない。

は充分たまった。我が都市セリヌイアの本領を見せるときが來たようだ」

ケルゥ侯爵には何か企みがあるようだった。

龍一郎は騎士の案けて、邸宅の外に出た。セリヌイアのストリートを抜けて、城壁へとのぼった。

城壁の外には貧民街が見える。その貧民街の外には平原が見える。平原に大量のクロエイが沸きあがっていた。闇がどんどん泡立てられて、ふくらんでいるようにも見えた。

ここから《影銃》を撃ちつけるには遠すぎる。

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龍一郎は城壁からおりて、貧民街の方に出ることにした。貧民街の周囲にも庶民が明かりによるバリケードを築いていたのが見えたのだ。

「明かりが足りねェ」

「もっと明るくしろ」

「クソッ。都市のほうは何をやってんだッ」

庶民たちはそうびあっていた。庶民たちをかきわけて、龍一郎は貧民街の外に出た。

木造の柵がたてられて、大量のカンテラがくくりつけられている。50人ぐらいの庶民たちがカンテラにを注ぎ込んでいる。みな、クロエイを近づけまいと必死の形相だった。

その鬼気迫る空気には、悽愴せいそうたる戦気すら立ち上っているかのようだった。それも間違いではない。ある種、これは戦爭なのだ。

龍一郎はその柵を飛び越えた。

「おい、ガキッ。今、外に出るんじゃない。危険だッ」

龍一郎の背中に聲がかけられた。

龍一郎は、柵のすこし前に出るカッコウだった。正面から闇が押し寄せている。背面には村の人たちの聲が聞こえる。

足を止めた。

影銃―タイプ0》を構えた。

5本のチューブをカラダに刺しこむ。右手でグリップをにぎり、左手でハンドガードをおさえる。

呼吸を止めて、照準を定める。

照準を定めようとしたが、アホらしくなってやめた。どこに撃っても當たりそうだった。トリガーをひきしぼる。5本のチューブにが送り込まれる。まるで《影銃》が、自分のカラダの一部になったような覚になる。

BANG!

闇を貫く緋の弾丸が、ぶっ放される。

の弾丸がクロエイに屆く。巨大種に直撃したようだった。巨大な闇のカタマリが、苦しそうに悶える。

続けて撃ち続ける。

クロエイのきがにぶくなっていく。

「あの青年を援護しろ」

「もっと明かりをつけろッ」

庶民たちの聲が聞こえる。

しかし、撃っても撃ってもクロエイが消える気配はない。を浴びて消えてゆく勢いを越えて、闇が増し続けている。

このままでは――。

貧民街が呑み込まれてしまう。

ひいてはその後ろにいる都市まで呑まれるのも時間の問題だ。

「ベル……」

名を呟いた。

そのときだった。

地面が揺れた。

「なんだ、なんだ?」

貧民街の者たちも揺していた。

地震?

いや。

たしかレオーネに地震はないと聞いている。

じゃあ、なぜ地面が揺れているのか……。

「ウソ?」

思わず聲がれた。

信じられない景を目にした。

貧民街を置き去りにして、セリヌイアの都市が浮上しているのだ。ユックリだが著実に浮かび上がっている。まるで都市が、無理やり大地から引き剝がされていくかのようだ。

ハッとした。

ケルゥ侯爵は庶民たちからもを集めていた。そしてあの地下設備に大量の人たちを収容していた。そして龍一郎のすら、セリヌイアに取りこんだ。

すべては、これのためだったのではないか?

「セリヌイアの本領を見せるときが來た」

ケルゥ侯爵はそう言っていた。

はじめからこの都市を、飛ばそうという目論見だったのだ。質値の高い者だけ連れて空に上がってしまえば、クロエイに襲われる可能はずっと減るだろう。

そもそも飛んでしまいさえすれば、クロエイは沸かないのかもしれない。

この信じられない景を前に愕然としていたが、龍一郎はもう1つ大事なことに気づいた。

都市にベルを殘したままだ。

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