《《完結》待されてる奴隷を救った、異世界最強の龍騎士》126話「管と心臓」
小城塞シャトレのほうは幸いにも、城門棟のようにクロエイに侵食されてはいなかった。
暗黒病にかかっていないかだけ調べてもらって、中にいれてもらった。都市の中のストリート沿いにはたくさんの人がいた。いちように不安そうな表を浮かべている。おそらく一時的に都に避難してきた庶民たちだろう。
鉄筋コンクリートの建が建ち並び、都には木の枝がはりめぐらされている。
(なつかしい)
と、じた。
フィルリア姫とともにグランドリオンの領主館で籠城戦をしたのが、つい先日のことのように思い出された。
ストリートを《車》で真っ直ぐ突き進み、広場に出た。給水泉のある広場だ。と引き換えに水を出すことのできる、井戸のようなものがある。その広場に龍の尾と言われる巨木の幹があった。
「ここだな」
と、ケルゥが車を停めた。
「送っていただき、ありがとうございます」
「なに。私はもう庶民で、君は領主だ。むしろ頭を下げるべきは私のほうだ。クロエイが消えてくれるなら、それほどうれしいことはない。幸運を祈っておくよ」
ケルゥはそう言うと、《車》ですぐにその場を後にした。
さて――。
龍一郎は気をあらためて、龍の尾といわれる巨木と向かいあった。やり方はヴァルフィから聞いている。
ただ、巨木から生えている龍の管を、カラダにつなげれば良いということだった。
龍一郎は木の幹に寄り添った。本に一本太い管を見つけた。腹に突き刺した。脈だとか靜脈だとかは龍一郎にはよくわからない。それは今までも気にしたことがなかったので、無造作に突き刺しても大丈夫なものなのだろう。人の腕ぐらいの太さがあったけれど、痛みはまるでなかった。そのかわりカラダ中のを持って行かれるような吸引力をじた。まるで赤子が母の母を吸うかのようだった。
この龍の尾が管ならば、龍一郎はこの世界の心臓なのだ。
「おいッ、表門のほうがヤバイぜ」
「クロエイが城壁を乗り越えて來てやがる」
と、都民の聲が聞こえてきた。
吸うなら早く吸ってくれと焦った。その気持ちに応えるかのように巨木は、さらに龍一郎のを強く吸ってきた。
「うっ」
手足が冷たくなってきた。もしかするとがなくなっているのかもしれない。はじめての覚だった。
「おっ、竜騎士さまじゃないですか?」
と、聲をかけてきた者がいた。
「ああ」
「なにをしてらっしゃるんです?」
事を説明した。
すると、オレも手伝いましょう、とその男も自分の腕に管を刺した。1人加わると、また1人加わった。2人加わると今度は5人が加わった。
龍の尾と言われる巨木からは、幹のみならず都市にはびこる枝からも龍の管がびている。都民たちは、こぞっておのれのカラダに管を刺しこんでいった。
そこには庶民や貴族もなかった。クロエイを退治しようと、みんな一丸となっていた。
しばらくすると、《車》がやって來た。
ケルゥが戻ってきたのだった。
「どうしたんです?」
「都市の連中に事を説明して、協力を求めてきたのさ。こんな狀況だし協力を拒否するヤツもいないだろう」
「ケルゥさん……」
この男が協力的だと、チョットしたをおぼえる。
「世界がクロエイに呑み込まれることだけは、私もカンベンしてもらいたいのだ」
ケルゥも腕に管を刺しこんでいた。
果はあらわれはじめた。龍の尾がひとつの心臓になったみたく、ドクドク、と脈しはじめたのだ。
しかし。
良い事ばかりでもなかった。
ついに城壁を乗り越えたクロエイが、真っ直ぐこちらに向かってきていた。怖れをなした都民たちが龍の管を引っこ抜いて、逃げ出して行った。
「おいおい、こりゃマズイじゃないのかね」
ケルゥが言った。
「そうですね。でも、逃げる場所もないでしょうし」
龍一郎は、続けてを流しこんだ。
こうやってを流しこむことで、ホントウにクロエイの発生をおさえることができるのか。この狀況をすることができるのか。龍一郎にはわからない。ヴァルフィの占いを信じるしかなかった。
ただ、逃げてもどうしようもない。
クロエイが都市の中にり込んでいるのであれば、すでに包囲されているだろう。
「ずいぶんとキモが座っている。領主になってし大人になったか?」
「かもしれません」
「逃げる場所がないというのは、たしかにその通りだな」
ケルゥも観念しているのか、逃げ出すことはなかった。
前方のストリートからは、クロエイが濁流のように押し寄せてきていた。
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