あの激闘(恥心との)から、一週間が過ぎた。

最初こそ、いっそ殺してくれ！というくらい恥ずかしかったが、一週間もすればしは慣れてくる。

今もちょうど母親とあのときのメイドらしくないメイドが、俺のいる部屋に競爭でもするかのようにってきたところだ。

「奧様！まだ仕事が終わっていませんよ！前にも申し上げましたが、ここは私達メイドに任せて、奧様は早く仕事を終わらせてきてください！」

「別にサボってる訳じゃないのよ。これは……そう！ただのアリバイ工作よ！」

「なに自信満々にわけのわからないことを言っているのですか！それに奧様が仕事に向かわないと私が坊っちゃまと二人っきりになれないじゃないですか！せっかく私が考えた坊っちゃまと夜逃げする計畫が臺無しですよ！どうしてくれるんですか！」

「あなたもなにわけのわからないことをことを言ってるのよ！というかそんなこと考えてたの！？ますますあなたを一人でクルスちゃんにあわせられないわね！」

『………』

「………」

この言い爭いに俺とティオはついていけなくなって、無言になってしまった。

そうこうしているうちに俺の母親とあのメイドが俺のベッドへ近づき、俺を持ち上げた。そのあとのことは無心になっていたので、覚えていない。なんかメイドが「私がやります！」とわけのわからないことを言っていたのとティオが脳で笑っているのだけが頭に殘っていた。

そして、授という名の試練から解放された俺はベッドに戻された。母親たちは俺をしばらく見つめた後、ってきた時と同じように言い爭いながら出ていった。

ふう、やっと終わった……。

『ふふっ。お疲れ様です、マスター』

ティオめ、他人事だと思って…。

それにしても、赤ちゃんって授以外なにもすることないんだね。暇になっちゃったよ。

『でしたら訓練でもしてみてはいかがですか？』

訓練？なんの？

『気配察知や気配遮斷、魔力探知や魔力作などかなくてもできるスキルの訓練です』

なるほど。確かに暇潰しにはなるね。

『なかでも魔力作は魔法を取得しやすくなるので、優先的に行うと良いでしょう』

ありがとうティオ。早速やってみる………ってどうやって発させるの？

『………魔力作をやるのでしたら、まずに流れる魔力をじることが重要です。じ方としては人それぞれですが、一般的にの流れをイメージすると良いそうです』

呆れないで、ティオさん。

それにしてもの魔力をじるか……。えっと、の流れをイメージして………。

ん？なんだこれ？なんかもやもやしたものをじる。

ティオ、これが魔力ってことでいいの？

『おそらくそうですね』

おそらく？

『この世界の人間は生まれたときから魔力をで無意識に循環させているのでと同じようにを巡っているそうです。そしてその魔力を意識的にかすことで魔法を撃ったりするそうなのですが、マスターは転生してこの世界の人間にはなりましたが魂が魔力のなかった元の世界と混同してしまい、魔力を循環させることを忘れているようです。そのため魔力が滯ってしまい靄のようにじたのでしょう』

魂が元の世界と混同か……。

『ですが、安心してください。もう數日もすればに魂が馴染んで、魔力を循環させることができるでしょう』

そうなんだ。じゃあ數日待って魔力を循環できてから訓練すればいいのに、何で今魔力作の訓練を勧めたの？

『そのままにしておくとに魔力が溜まっていき、最悪の場合魂が馴染む前にマスターの小さなでは魔力に耐えきれず、発四散するからです』

ええ！？俺死ぬの？なんでもっと早く教えてくれなかったの！？ 

『…………忘れてました。てへっ』

こいつ、本當に俺をサポートする気があるんだろうか。

まあ、でもあの駄神から生まれたのならば納得か。

ティオ、そういえばこの世界の人間も意識的にの魔力をかせるって言ってたよね。それって魔力作と何が違うの？

『この世界の人間がやっているのはに流れる魔力から無理やり魔力を引っ張り出して外に放出しているに過ぎません。魔力作のスキルを使えば周辺一帯の魔力との魔力を自分の魔力として、且つに作することが可能になるのです。ですので、魔力作を知るものから見れば、この世界の人間がやっていることは児戯にも等しいのです』

お、おお…。そんなに凄いのを俺は神様からもらったんだ。こればっかりは謝しないと。

それで、魔力作ってどうやったらできるの？

『ただ強くイメージすればいいですよ。スキルをもっていればそれだけで補正は効ききますので。またレベルが上がればもっと複雑なこともできるようになります』

そうなんだ。……よし！我に宿りし魔の力よ！我が意に従い我のを駆け巡れ！

『イメージするだけでいいと言ったのに、なんで余計なことしてるんですか！そんなことして魔力を作できるわけが───』

《了解しました！ご主人様！》

『「え！？」』

いきなり俺達以外の聲が俺のそばから聞こえた。

え？誰？

《あ、自己紹介が遅れたましたね～。ボクはご主人様のに溜まっていた魔力からできた……う～ん、魔力の集合と言ったらいいんですかね～？名前はないのでつけてほしいです～。よろしくお願いしますね～、ご主人様～》

姿は見えず聲だけが聞こえる。

鈴の鳴るようなきれいなの聲だ。

ボクっ子か……。魔力の集合？それにご主人様？俺が？

《はい～。ボクはご主人様の魔力から生まれたので魔力の元であるご主人様がボクの主ということになりますね～。あと、生まれたばかりなので実になることはできません～》

『魔力の集合……つまり霊ということですか？』

揺から立ち直ったティオがノイントに質問をした。

《そうともいうね～。でもボクは純粋な魔力から生まれたから屬がないんだよね～。だから無の霊ってことになるのかな～？》

『無の霊ですか………。そもそも魔力作を行って霊が生まれるなんて前代未聞ですよ。』

なんかティオが凄い驚いてる。それにしても無の霊か………。じゃあ、名前は"ノイント"だ！

《ノイント……。ボクはノイントです！ご主人様、改めてよろしくお願いします～》

よろしくね。

ノイントにした理由は無の屬……つまり屬の要素が無い・・・・・。要素が無いを英語にするとノーエレメントだから、し文字ってノイントにしたのだ。

さて、予想外の出來事があったけど、もう一度魔力作を試してみよう。今度は超常的な力廚二セリフがはたらかないようにしないとね。まずは、のもやもやを意識して…………ってあれ？もやもやがない？みたいなのが流れててさっきよりもじやすい！

《あ、ご主人様～。ご主人様のの余分な魔力はボクが生まれたことで消費されたから消えていると思いますよ～》

そうなんだ。良かった、発したらどうしようかと思ってたよ。

《発ですか～？に魔力が溜まっていてもそんなことにはならないと思うんですけど～》

ノイントは俺の言ったことがおかしかったのか、怪訝そうな聲をあげた。

………ティオ？

『マスターの驚く顔が見たくて、つい。』

……なんか凄い人間臭い。本當に人工知能なの？

はあ、まあいいや。じゃあ改めてのように流れている魔力を意識して、けー。おっ、なんかいた。これを指先に集中させて……外に放出する！！

俺がそう思い描くと指先が眩くり始めた。そして、そのは俺の指先が向いている方向に俺の認識できない速度で線のように一直線に飛んで行き、周りの木の柵のうちの一本に小さなを開けてしばらくすると放出が止まった。

俺はまだ首が座っていないため首をかすことができない。そのため、放出したがどのような影響を齎したのかは知らない。だが柵の、一本にを開けた威力から考えるに、壁にも同様のが空いていることだろう。

………これからはだけでできることをしよう………。