《最強家族のまったりライフ》26話 ちょっと休憩

母さんとレスティアお母さんの友が儚く崩れ去ったあと皆で食堂に來ていた。食堂は姉さん達の部屋よりも大きく、テーブルの端から端までは30メートル以上ありそうだった。一誰がこんな広い食堂を使うんだと疑問に思ったが誰も気にしてないので俺も気にしないようにした。

今俺達はその長テーブルの端に座り、料理が出來るのを待っていた。カリスは座れないので俺の膝の上にいる。レレナ姉さんはもう待ちきれないようで何度かお腹を鳴らせて催促をしていた。

それはそうとここまで來る途中にシェーラを見かけたが、げっそりとした顔で歩いていたので、気をつかって話しかけるのはやめておいた。

「それにしてもクルスが魔力作のスキルを持っているなんて驚きよねー」

「本當ね。あの爺エルフがこの世を去ってから100年、誰も魔力作のスキルを獲得しなかったから、次の代はまだまだ先かなって思っていたけどまさか生まれつきクルス君が持っていたとはね」

ん?喋り方からしてレスティアお母さんはその魔力作のスキルを持ってたエルフと會ったことがあるのかな?

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「レスティアお母さんはそのエルフの人と會ったことがあるの?」

「ええ。セーラの酒探しに付き合ってるときにね。そのエルフの家を見かけたセーラがお酒の匂いがするっ!ってその家に突撃していったときに初めて出會ったのよ」

母さん、中々アグレッシブだったんだね。

「あのエルフのお酒は私が飲んできたお酒の中でも上位に味しさだったわ」

「それからちょくちょくそのエルフの家にセーラと押し掛けてお酒を貰っていたのよ」

「あの爺なかなか渋るから説得するのが毎回面倒だったわ。まあ、古代魔法をちょっと見せればあっさり出してくれたけど」

母さんはその時からお酒好きだったのか。…………待てよ。そのエルフは100年前に死んでいるんだよね。ってことはなくとも母さん達がそのエルフに會ったのは100年前。つまり母さん達の年齢は━━━

『マスター。世の中には知らない方が良いこともありますよ?』

はい。善処いたします………。

ティオが威圧しながら止めてきたので俺はすぐにその疑問を消し去った。

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「あー思い出したらまたあのお酒が飲みたくなってきたわ」

「セーラ、無茶言わないの。あのお酒はもう………」

「分かってるわよ。言ってみただけよ。あ、そういえばあの爺死ぬ前にお酒の作り方が書かれた手帳をくれたわよね」

お酒の作り方も教えるくらいなんだからそのエルフの人とは結構親しい仲だったのかな?

「忘れたの、セーラ?あのお酒の製造方法は魔法を全屬使えることを前提で書かれてたわ。それと"醸造"のスキルを持っていないと出來ないお酒なのよ?」

「そうよね~。……………ん?全屬………魔力作………ねっ、ねえクルスっ!」

一旦は諦めようとした母さんだったが俺の顔が目にるとピタリと止まりぶつぶつと呟いた後、何か閃いたのか興気味に俺に話しかけてきた。

話の流れからして俺にその酒をつくらせようとしたのかな?どんだけ飲みたいんだよ………。

「セーラ、言いたいことは分かるわ。確かにクルス君は魔力作のスキルを持っているから魔法は全屬使えると思うけど、"醸造"のスキルがないわよ」

だがレスティアお母さんにそう指摘されガックリと項垂れてしまった。

まあ、普通3歳児が醸造なんてスキル持ってるわけないもんな。でも母さんが殘念がってるのは見るに耐えない。

…………よし!ここはあ母さんのために一ごう!

「"醸造"のスキルを作れば大丈夫だよ」

そう、"醸造"のスキルがないなら作ればいいのだ。

「え?」

「どういうこと?クルス」

二人は俺の言っていることが理解出來ないようだ。

ああ、そっか。二人にはスキルクリエイトのことを教えてないんだっけ。

俺はそう思い、スキルクリエイトの能力を二人に教えた。

「………なにそれ。聞いたことのないスキルだわ」

「凄いわクルス!さすが私の子ね!」

スキルクリエイトの能力を聞いた二人はそれぞれ違う反応をしてみせた。そして話を聞いていた姉さん達は何故か誇らしげだった。 

「それじゃあそのスキルを使えばお酒が作れるようになるってこと?」

「やってみなきゃわからないけど、多分作れることには作れると思うよ」

「それでもいいわよ!やったー!」

俺がそう言うと母さんはのように聲を弾ませて無邪気に喜んだ。レスティアお母さんはそんな母さんに呆れているがどこか嬉しそうだ。

そのタイミングでちょうど食堂の扉が開き、ギムルたちが配膳臺にクロッシュを被せた料理を乗せて運んできた。

「お待たせ致しました。皆様、お食事の準備が整いました」

そうギムルが言うとメイド達が俺達の座っているテーブルに素早く料理を並べていった。

相変わらず異世界の食材は変わったのものが多いがとても味しそうな匂いがしている。レレナ姉さんは今にもがっつきそうな様子で見ていて微笑ましい。

「本日は千年稲の米、暴竜タイラントドラゴンのワイン煮込みハンバーグ、萬壽草の屠冥土トメイト和え、水切り大とマンドラゴラと疾風キャベツのサラダ、焼失鳥ローストロストバードのカルパッチョでございます。それと、後程デザートをお持ち致します」

千年稲の米は名前どうりどこからどう見ても米だ。だが何故かキラキラとっている。

タイラントドラゴンのハンバーグはは特に変わったところはなくとても味しそうだ。

萬壽草はほうれん草みたいだがプリプリしていて弾力がありそうだ。名前からしてヤバそうな屠冥土トメイトは一見紫のトマトだった。

水切り大とマンドラゴラと疾風キャベツのサラダは一見大とキノコとキャベツのサラダだ。サラダのチョイスとしてそれはどうなのかと思うが、まあ異世界だしあまり先観にとらわれない方が良いだろう。

焼失鳥ローストロストバードのカルパッチョは黃がかっている鳥のカルパッチョだった。

「ありがとうギムル。それにしてもよく千年稲なんか手にったわね」

料理で米が出されるのは今日が初めてじゃないがあまり頻繁には食卓に上がらないのだ。

「今回は遠出をする者がおりましたので、そのついでに食材の調達も任せていたところ、偶然千年稲の群生地を見つけたので今回千年稲を食卓に出させていただいた次第でございます」

「そうだったのね。じゃあ、その遠出してくれた子にご苦労様って伝えておいてくれる?」

「畏まりました」

「ありがとう。さて、それじゃあいただきましょうか」

母さんがそう言うと同時にレレナ姉さんは凄い勢いで料理を食べ始めた。しかし下品という訳ではなく、しっかり食事のマナーは守っているのだが気迫がすごいのだ。ルーナ姉さんの場合は料理を口に運ぶスピードが尋常じゃない。手が掻き消えるスピードなのだ。二人ともよっぽどお腹が空いていたようだ。いつも一緒に食べるときはここまでではないのだが。

さて、俺も食べないと。

「カリスも食べるよね」

『うむ。私はを食べたいぞ』

「それじゃあ食事のバランスが………って別にいいのか。ノイントはどうする?」

《ボクも食べたいです~》

何せ料理の量が絶対に一人で食べきれる量じゃないのだ。でも母さんや姉さん達は普通に食べてるし、俺が食なだけなのかな?

「クルス、カリスは分かるけどノイントって━━━え!?」

「!!クルス君、その子は?」

「あ、ノイントだ。やっほー」

「どうもです~」

「ん………」

ノイントが食事をするために実化をすると母さん達は驚いていた。

そういえばカリスのことはさっき教えたけどノイントのことは言ってなかったな。ノイントは俺の近くの椅子に腰掛けて挨拶をした。姉さん達はノイントのことを知っているので特に驚かず、軽い挨拶をわして食事を再開した。

「この気配…クルス、もしかしてその子霊?」

どうやら母さんはハイエルフだからか気づいたようだ。

「うん、そうだよ。ノイント、挨拶して」

「どうもです~ボクは混沌の霊ノイントといいます~。これからよろしくお願いしますね~」

「え、ええ。よろしくね、ノイントちゃん」

「よろしくね」

「でも、混沌の霊なんて聞いたことのない霊だわ」

「ボクはご主人様の魔力から生み出された霊ですのでボクと同じ霊はいないと思いますよ~」

「「へ?…………えええーー!!!」」

すると母さん達はポカンとした顔になった後、互いに顔を見合せ、大聲を出して驚いた。

「ノイントちゃん、ノイントちゃんがさっきからずっと言ってるご主人様ってクルスのことよね」

「はい~」

「てことは、ノイントちゃんはクルスの魔力から生み出されたってことでいいのね?」

「そうなりますね~」

「…………やっぱりうちの子は凄いわ!」

母さんは一度ノイントに確認した後、數秒ほど何か考え込むと吹っ切れたかのように俺を譽め出した。

とりあえず事説明はできたかな?

「そうだギムル。何か取り皿と食しいんだけど」

もちろんノイントの分だ。

「え~ご主人様が食べさせてくれるんじゃないんですか~?」

何故かノイントはブー垂れているが、それじゃあノイントが食べにくくないか?

「でしたらノイント様にも同じ料理をお持ち致しましょうか?」

「いや、俺だけじゃ食べきれないからノイントと分けて食べるよ。」

「ですからご主人様が食べさせて━━━」

「畏まりました。々お待ちください。」

よし、これでノイントも一緒に食べられる。

「カリスはどれ食べたい?」

『最初はあの蜥蜴のがいいぞ。』

蜥蜴って………一応竜だったと思うんだけど。俺はカリスの口にる大きさに 暴竜のハンバーグをナイフで切り分け膝の上に乗っているカリスに近づけると用に使い、フォークからハンバーグをとると味わうようにゆっくりと咀嚼し飲み込んだ。

『クルス、これ、うまいぞ!』

すると暴竜のハンバーグが気にったのか嬉しそうに想を伝えてきた。

「そうなの?じゃあ俺も━━━」

「ご主人様~ボクは~?」

カリスの想を聞き、俺もハンバーグを食べようとしたが、ノイントが食が屆くまで待ちきれないのか自分にも食べさせてしいと催促をしてきた。

確かにこの味しそうな料理の前でお預けをくらうのは苦痛だよな。

「じゃあ、食が屆くまでだよ?」

「はいっ!」

俺がそう言うとノイントは嬉しそうに返事をした。

「ノイントは何食べたいの?」

「焼失鳥も食べてみたいんですが、その前に萬壽草の屠冥土和えが食べたいです~」

俺はリクエストされた萬壽草の屠冥土和えをフォークで刺してノイントの前に持っていった。

あれ?これって間接キスになるんじゃ…………っていやいやいや!何を意識してるんだ!相手は霊だぞ!向こうは俺のことを主人以外に何とも思ってないはずだし勝手に俺が空回りしてるだけだろ!

…………でもノイントって凄いなんだよなあ。き通るような白髪と鮮やかな赤の瞳に黒いゴスロリがまた何とも似合って…………落ち著け俺!

「ご主人様~?」

ノイントの口元で葛藤しているのでノイントからしたらいい迷だろう。

ええい!ままよ!

「ごめん。あ、あーん」

「ふふふ。あーん」

ノイントの口まであと數センチというところで食堂の扉が開いて食を持ったメイドがやってきた。

「お待たせしました。ノイント様、どうぞこちらをお使い下さい」

「あああ!もうしだったのにー!」

が來たので俺が食べさせる必要もないだろうと思い、ノイントの口元まで持っていってたフォークを引くとノイントが殘念そうな聲をあげた。

いやー危なかった。ん?危なかったのか?まあなんとか窮地は乗りきったわけだ。

さて、遅くなっちゃったが俺も食べよう。

クロッシュというのはホテルなどで見る料理の上に被せてる銀のあれです。

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