《最強家族のまったりライフ》28話 魔法の訓練⑤

魔法長くてすみません。凝りすぎました………。

『そろそろ10分ですね。どうですか?何か変わったところはありませんか?』

あれから何度か失敗したが漸く10分持たせられたようだ。

変わったところ?そういえばなんか周囲の魔力がり易くなったような………。それと俺の魔力が広がっている範囲がより鮮明にわかるようになったというか………。

『それでいいのです。マスターはこれで"自分の魔力を空間として認識する"ことができました。次はコアの位置を見つけ出すのです。魔力作は維持したまま周囲に意識を向けてみてください』

周囲に意識を……………あっ、なんだろうこれ。魔力とも違う何かが俺の魔力の範囲で渦巻いてる………。

俺は気になってその存在に意識を向けた。何かがある場所を目で見てみるがなにもない。だが確かにある・・。これは…………。

『おめでとうございますマスター。そうです。それが"空間のコア"です』

これがそうなの?

『はい。ここまで來ればあとはそのコアを召喚するだけですよ』

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召喚ていったって、どうやって?

『そこからはそちらにいるギムルに手本を見せて頂いた方が分かりやすいかと』

確かにお手本がないのは大変だな。

「ギムル、コアの召喚ってどうやるの?」

俺がそう質問するとギムルはきょとんとした顔になってしまった。

「え?坊っちゃま、コアの召喚はまだ早いですよ。先に空間を認識してコアを見つけ出さなければ…………」

「うん。だからそれはできたよ」

ティオのおかげでね!言わないけど。

「ええ?」

ギムルは珍しく狼狽した様子でまだ信じられないようだ。

「ほら、そこにコアがあるでしょ?」

論より証拠だとギムルにわかるようにコアの位置を指差す。

「…………本當にコアの位置を把握なさっているようですね。短時間でここまでできるとは…………恥ずかしながら嫉妬を覚えます」

「えへへ」

どうだ!すごいだろう!うちのティオは!全く理論がわからなかった俺をここまでできるようにしたんだぞ。

それに比べて俺なんか、一人じゃ何もできない落ちこぼれさ……………ふふ。

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《ああー、ご主人様がネガティブモードはいっちゃった~》

『なぜティオを自信満々に譽めておきながらお前が落ち込むのだ』

《周りがすごいのを改めて実しちゃったのかな~?》

『いや、クルスも大概だと思うのだが』 

「それでは、坊っちゃまは既にコアの位置を把握しているということですので、召喚方法をお教えします」

「うん…………」

「?ではまず私がやってみましょう。」

そう言うとギムルは掌を上に向けた。するとギムルの掌の上にいつの間にか渦が出現した。渦はバチバチとスパークを放っており、何者も近づけないかのような意思がありそうだった。

ってどうやったんだ?全くわからなかったんだけど。

「あ…………」

ギムルがやっちまったって顔してる。どうしたんだろう。

「申し訳ありません坊っちゃま。大人げもなく自慢をしてしまいました。」

「え………?」

「いえ、坊っちゃまが予想以上に素晴らしい才能をお持ちのようでしたので、私も自分の実力を坊っちゃまに見せつけたくなってしまったのです………。本當に申し訳ございませんでした」

つまりギムルは俺に嫉妬して、自慢しちゃったってこと?

いやいや、これは全部ティオのおかげだから。俺なんもやってないよ。言われた通りにしただけだからね。

「びっくりしたけど気にしてないよ。ギムルにもそんなところがあったんだね。意外だよ。それに俺がこんな早くできたのはティオのおかげだもん」

「ありがとうございます。………坊っちゃま、ティオとは?」

「ええとね━━━━」

ギムルの誤解というか勘違いを正すために俺はティオこと神の導き手ガイドマスターについて説明した。

「━━━ていうスキルなんだ。だから俺の才能とかじゃないの」

「そのようなスキルが…………。いえ、でもそのスキルは生まれもったもの。やはり坊っちゃまの才能なのですよ」

いやこれイリス様に創ってもらったものだから。うーん、でもこのことは言えなさそうだし何て言おうか。

「…………坊っちゃま、ありがとうございます」

え?いきなりなんで?

「私などを勵まそうとご自分のスキルを打ち明けてくださったのですよね。私は坊っちゃまのそのお気持ちだけで十分勵まされました。そうですよね。現狀で満足などしてしまっているから、嫉妬など覚えてしまうのですよ。私も、もっと頑張らなければ…………」

???誤解したままなんだけど…………。いいのかな?

「では、お手間をとらせて申し訳ありませんが、もう一度お手本をお見せしますので見ていてください」

ギムルは先ほどと同じように掌を上に向けた。しかし先ほどとは違い何かの詠唱を唱えだし、ギムルの掌の上で一度スパークが弾けるとそこだけ空間が歪み、次の瞬間にはバチバチとスパークを放つ空間のコアが出現した。

「これが正規のコアの召喚方法です。コアを召喚するために魔力は必要ありません。必要なのは空間を頭の中で仮想空間をイメージすることです」

「仮想空間?」

「簡単に言うと自分以外何もない部屋をイメージすれば良いのです。このイメージができれば空間のコアも自ずと召喚できるはずです」

「そうなんだ。それじゃあギムルが唱えていたのは?」

「仮想空間のイメージはしにくいので、一般的には詠唱をしてイメージをはっきりとさせるようです。」

「ありがとう。じゃあやってみるね」

仮想空間か……………。自分以外誰もいない部屋ね。普段そんなイメージなんてしないから、どんなイメージしたらいいかわからないな…………。

《あっ!ご主人様ご主人様!ボクいいの思いつきましたよ!》

本當に!?

《イリス様のところをイメージすればいいんじゃないですか~?》

イリス様のところっていうと、神界?

《そうですそれ!》

………確かにあそこは基本イリス様以外何もなかったな。うん、いいね。

ありがとうノイント。やってみるよ。

《どういたしまして~》

『お前達、神界なんて行ったことがあるのか…………』

『行ったことがあるというより連れていかれるじですね…………』

『な、何か深いわけがありそうだな』

俺は目を瞑り一度神界をイメージしてみた。どこまでも続いていそうな純白の空間。何もないはずなのにどこか荘厳さをじる神聖な空間。そこにいるのは俺ただ一人…………とイリス様。

……………あれ?なんでイリス様がいるの。これじゃあ仮想空間のイメージができないからイリス様ちょっと退いてー!

俺はなんとかイリス様を仮想空間から追い出そうとイメージしてみるが、必死な顔をして踏ん張っている。くそっ、俺のイメージなのになんでイリス様を追い出せないんだよ!

あれから30分ほどイメージの中のイリス様と格闘して、なんとか追い出すことに功した。

疲れた…………。イリス様頑固過ぎるよ。さすがは主神ってところなのかな。いや、そこで頑張られても困るんだけど。まあ何はともあれ、これで仮想空間のイメージはできたのかな?

仮想空間のイメージができると、徐に掌に何か暖かいものがれるがした。確認するために目を開けると、俺の掌には淡いを放つ空間のコアがあった。

おお、できた!でもギムルのコアはスパークを放っていたのになんで俺のと違うんだ?

「おめでとうございます、坊っちゃま。空間のコアの召喚に功したようですね」

「でもギムルのとちょっと違うよ」

「空間のコアはイメージによって見た目に違いが出ますので」

「そうなんだね。知らなかった」

「コアを戻すときも同じように仮想空間をイメージすればできますよ」

「わかった!」

「では早速、時空魔法を使ってみましょうか」

そうだった。これでやっと時空魔法のスタートラインに立てたんだった。

「使う魔法は"ボックス"にしましょう。これは持ちなどを空間のコアを通して魔力でつくった別次元に転送する魔法です。別次元に転送するので重量はなくなりますが、魔力量によって転送できる上限がありますので注意してくださいね。また、ボックスの中は時間が停止しているので食べれることもできますよ」

ゲームでいうインベントリみたいなものか。便利な魔法だ。

「発の仕方は仮想空間をつくるイメージをしながら、空間のコアに魔力を送ればできますよ」

俺はまた神界をイメージして、魔力を空間のコアに送り込んだ。すると、空間のコアが手がすっぽりってしまうくらいの大きさになった。

「それがボックスです。試しに小石をれてみては如何でしょう」

「うん」

足元にある小石を拾い、渦の中に放り込んでみる。おっ?頭の中にリストみたいなのが浮かんできた。ちゃんと石がってるな。

出すときはどうするんだろう。念じればいいのかな?

「持ちを出したいときは出したいものをイメージしながら渦の中に手をれてみてください」

言われた通りにやってみる。あっ、さっきの石のだ。それを摑んで引き戻してみると、手の中には先ほどれた小石が握られていた。功したようだ。

「できた!」

「おめでとうございます。これにて時空魔法は習得できました」

「ありがとうギムル!」

「いえいえ、お禮を言うのは私の方にございます。私はどこかで慢心していたのですね。今回坊っちゃまのおかげで大切なことに気づけました。ありがとうございます」

俺は何もしてないんだけどな~。

「さて、これであとは闇魔法だけになりましたね」

そうか、気づけばあと一屬なのか。なんか慨深いな。

「闇魔法の擔當はレレナお嬢様とルーナお嬢様のはずですが…………」

その姉さん達は味しいを求めて冒険に行っちゃったよ。ちゃんと捕まえられたのかな?

そう思いながらギムルと20分程待っていると、森の中から二人が姿を現した。

「あっ!クルス~!」

姉さん達は俺に気がつくと、俺を呼びながら駆け寄ってきた。姉さん達の口の周りにはベットリとまだ乾いていない新鮮ながついていた。

……………ワーカワイイ。

「クルス…………?どうしたの…………?」

ルーナ姉さんが遠い目をしている俺を不思議に思い尋ねてきた。

「…………その様子だと味しいは飲めたようだね」

「そうなのよ!すばしっこくて大変だったけどなんとか捕まえられたわ!ってどうしてわかったの?」

「お嬢様方…………申し上げにくいのですが、お口の周りに食べかす・・・・がついておりますよ」

ギムルがそう言うと姉さん達は恥ずかしそうに━━━

「あっ!本當だ!やったー!」

「ラッキーね…………」

━━━はせず、むしろもう一度味しいを味わえるとばかりに、嬉しそうに口の周りをペロペロと舐め始めた。

一応の子なんだからそこは恥ずかしがるとこでしょ……………。

『一応なんですね………』

ひととおり舐め終わって口の周りは綺麗になり、本人達も満足したようだ。

「お嬢様方…………」

「ん?なに?ギムル」

「…………いえ、なんでも。それより、お嬢様方は闇魔法を坊っちゃまにお教えするのですよね」

「そ、そうよ!」

「覚えてる覚えてる…………」

絶対忘れてたでしょ。

「さ、さあクルス!さっさと始めちゃいましょっ!」

「よろしくね」

「………ん。任せて………」

「最初はどの魔法がいいかしらね」

「姉さん、暗闇ブラインドはどう…………?」

「そうね。それにしましょうか。じゃあクルス、今から私がルーナに魔法をかけるからそれを真似してみて」

「うん」

「いくよルーナ。ほいっ!」

そう言うとレレナ姉さんの指先から黒い靄のようなものがでてきて、ルーナ姉さんの顔を覆い隠した。

「この魔法の主な使い方は目眩ましね。もっと使う魔力を多くすれば全を覆うこともできるわ。自分の周りに使えば煙幕みたいにも使えるわよ」

暗闇ブラインドの煙幕に隠れて奇襲とかもできるわけだ。なかなか使い勝手のいい魔法だ。

「うう、見えない…………」

暗闇ブラインドをかけられて目が見えないルーナ姉さんはふらふらとどこかへ…………いや、確実にこちらに近づいてきた。そして俺の目の前まで來ると、ガバッと俺に抱きついてきた。

「クルス、どこなの…………?」

絶対見えてるよね!?今抱きしめてるでしょ!というか顔が暗闇ブラインドで覆われてるから、真っ黒でちょっと怖いんですが!

「こら!ルーナっ!」

「なによ………」

「なによじゃなーいっ!なにクルスに抱き付いてるのよ!」

「魔法は姉さんが教えるから、私が暇になるじゃない…………」

「クルスの邪魔になるでしょ!」

「クルスは私のこと邪魔…………?」

ルーナ姉さんはそう言って俺の顔を覗きこんでくる。

いや怖いから。顔がなくなってて怖いから。顔近づけてこないで!圧迫あるから!

「ほら!クルスも嫌がってるでしょ!」

「むぅ………」

レレナ姉さんの説得によってルーナ姉さんは渋々俺から離れた。が、至近距離で俺を見つめてくる。

だから怖いんだって。

「話がそれちゃったけど、闇魔法を使うときは暗闇をイメージするの。そうね、夜が一番イメージしやすいかしらね」

「わかった。やってみるよ」

イメージするのは、家の周りの森。晝は自然かな森だが、夜になるとそこは月明かりさえも通さない完全なる闇が訪れる。俺はその夜の森をイメージする。  そしてその闇を相手に被せるイメージをする。よし、詠唱が浮かんできた。

「闇よ覆え"暗闇ブラインド"」

俺の指先から出現した黒い靄は俺達全員を覆い盡くすほどにまでなり、それだけにとどまらずさらに大きく広がっていった。

「わあっ!なによこれ!」

「クルス………!?」

うわっ!魔力がごっそり持ってかれた。あ、ヤバい、意識が━━━━━━━

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