《最強家族のまったりライフ》34話 ノイント七変化
「えー準備するものは、アダマンタイトの大鍋にミスリルの棒ね。それに世界樹の枝から作った樽が必要なのね。」
聞くだけでもすごい豪華なラインナップだ。
「準備してくるからちょっと待っててね。」
そう言って母さんは部屋を出ていった。
俺達は家に帰ったあと夕食をとり、母さんの部屋に戻ってきていた。ノイントは夕食を食べると実化を解いていた。
それにしてもちょっとで用意できるような道じゃない気がするけど………。
『アダマンタイトもミスリルも非常に貴重で質の高い金屬です。それと一般的に世界樹ユグドラシルは枝でさえ強靭なさなので加工することはできないとされていますね。』
やっぱり………。
それから5分ほど待っていると母さんが抱えるほどの大きさの大鍋と水の金屬の棒を持って帰って來た。
「あったわよ~。」
あったの!?
「あれ?でも世界樹の樽は?」
必要なものの中に世界樹の枝から作る樽があったのだが、母さんを見る限り持ってきてはいないようだった。
「それなら今から作るわ。」
そう言うと母さんは徐に部屋にある観葉植の中から一つへと歩いていきその枝を手刀で切り落とした。
観葉植の枝なんて切って何をしようとしているんだろう。
「作プロセス。」
母さんが枝に手を翳し魔法名を唱えると、枝がまるで粘土のようにぐにゃぐにゃと形を変えていき、枝がだんだん丸みを帯びていくとやがて一つの樽が出來上がった。
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「ふう、これで揃ったわね。」
何その魔法…………。部屋の中に世界樹があるのも十分驚いたけど、世界樹って枝でさえ加工できないんじゃないの?
『マスター、すみません。一般的には加工できないはずですが、どうやら誤報を與えてしまったようです…………。』
いやいや、ティオは悪くないよ!悪いのは人外の母さんだよ!
「ここからはクルスの番ね。」
「え?う、うん。」
そういえばお酒を作るんだっけ。
「まずは……醸造のスキルを取得するところからね。スキルクリエイト……だったわよね?」
「うん、じゃあやってみるね」
まずどのくらいポイントがあるか確かめないと。
ステータス!
クルス・レグサンド :男    3歳
種族:高位森人族ハイエルフ
狀態:健康
Lv . 89
耐久力   52300/52300
魔力     87568 /87568
攻撃  42510
防  29932
俊敏  48005
用  53444
運     85
《スキル》
【武系】
・剣Lv . 1
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【魔法系】
・火魔法Lv . 1 
・風魔法Lv . 1
・水魔法Lv . 1 
・土魔法Lv . 1 
・闇魔法Lv . 1 
・魔法Lv . 1 
・時空魔法Lv . 1 
・深淵魔法Lv . 1 
・神聖魔法Lv . 1 
・霊魔法Lv . 1
【技能系】
・強化Lv . 10超越化Lv . 3
・気配察知Lv.10、超覚Lv. 6
・気配遮斷Lv . 10、隠Lv . 6
・魔力作Lv.10、神力作Lv . 1 
・魔力探知Lv .10、霊眼Lv. ━
 ・隠蔽Lv. 1
・調教Lv . 2
・加速Lv . 10、瞬速Lv . 4
・痛覚耐Lv . 2
・長倍加Lv ―
・鑑定Lv .1(共有)
【ユニーク】
・神の導き手ガイドマスターLv . 3
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・スキルクリエイトLv . ―(2176P)
《加護》
主神イリスの加護、魔王の加護
《稱號》
転生者(隠蔽)、神の加護をけし者、 
魔王の息子、世界の深淵を知る者、學ぶ者、深淵を覗く者
ゴブリンを殺したけどまあ1匹じゃ上がらないか。
今のポイントは……2176Pね。オリジナルスキルを作りたいのに遠ざかって行ってる気がするけど……まあいいか。それじゃあ早速。
※50Pを消費し、スキル"醸造"を取得しますか?
                 YES          NO
もちろんYESで。
※ピローン!  スキル"醸造"を取得しました。殘りポイント2126P
レベルも上げた方がいいかな?
「作れたよ」
「え!?本當に?」
母さんに報告すると半信半疑な様子で俺を見つめてきた。
まあ、そりゃ信じられないよね。隠蔽スキルで転生者は隠してるし見せてもいいか。
「うん、ステータス開示」
クルス・レグサンド :男    3歳
種族:高位森人族ハイエルフ
狀態:健康
Lv . 89
耐久力   52300/52300
魔力     87568 /87568
攻撃  42510
防  29932
俊敏  48005
用  53444
運     85
《スキル》
【武系】
・剣Lv . 1
【魔法系】
・火魔法Lv . 1 
・風魔法Lv . 1
・水魔法Lv . 1 
・土魔法Lv . 1 
・闇魔法Lv . 1 
・魔法Lv . 1 
・時空魔法Lv . 1 
・深淵魔法Lv . 1 
・神聖魔法Lv . 1 
・霊魔法Lv . 1
【技能系】
・強化Lv . 10超越化Lv . 3
・気配察知Lv.10、超覚Lv. 6
・気配遮斷Lv . 10、隠Lv . 6
・魔力作Lv.10、神力作Lv . 1 
・魔力探知Lv .10、霊眼Lv. ━
 ・隠蔽Lv. 1
・調教Lv . 2
・加速Lv . 10、瞬速Lv . 4
・痛覚耐Lv . 2
・長倍加Lv ―
・鑑定Lv .1(共有)
・醸造Lv .1(new)
【ユニーク】
・神の導き手ガイドマスターLv . 3
・スキルクリエイトLv . ―(2176P)
《加護》
主神イリスの加護、魔王の加護
《稱號》
転生者(隠蔽)、神の加護をけし者、 
魔王の息子、世界の深淵を知る者、學ぶ者、深淵を覗く者
「……本當ね」
母さんは俺のステータスを呆けたように見つめた後、絞り出すようにそう呟いた。
「……というかこのステータスは何なの?レベルが高いのはこの際置いておいて、89でこのステータス値ってどうなってるのよ……。しかも上位スキルまで発現してるし加護も……え?主神?噓ぉ……」
母さんが戻ってこなくなっちゃった……。
「母さん、醸造のスキルはレベルを上げた方がいいの?」
「え?この神力作って───あ、ごめんなさい。醸造のレベルよね。レベルは上げなくても大丈夫よ……え?レベル上げられるの!?」
どうしよう……進まない。
それからしばらくしてようやく母さんが落ち著いたのでお酒作りを始めた。
「それで何をすればいいの?」
お酒作りなんてやったこともないので母さんに聞くと例の手帳を見ながら説明してくれた。
「まずは月茸(ムーンマッシュ)、躙檎トランプルアップル、刺葡萄スパイクグレープ、賽の目ダイスオレンジ、胡椒ブラッドペッパー、濃麥をアダマンタイトの大鍋にれて魔力を込めたミスリルの棒で細かく砕くらしいわ。魔力を込める人は全屬持ちじゃないとダメみたい」
母さんは説明しながらアダマンタイトの大鍋を近くにあった機に乗せると、手早く大鍋に材料をれていった。
「これで全部ったわね。じゃあクルス、お願いね。」
改めて大鍋にっている材料を見てみる。
躙檎トランプルアップルとか刺葡萄スパイクグレープとか刺々で見るからに砕けそうもないんだけど。躙檎トランプルアップルなんかそのでゴブリンを刺し殺してたからね。まあ、そんなことを考えても仕方がない。やるだけやってみるか。
俺はそう割りきり、ミスリルの棒を持って魔力を込める。そして、大鍋の中の材料をつついていった。すると最初は無理だと思っていた躙檎トランプルアップルも何度かつついていると、急にらかくなり始めたので砕けないということはなく、10分ほどで全ての材料を細かく砕くことができた。
「そのくらいでいいわよ。」
母さんに言われたのでそこで細かく砕く作業をやめる。
「次はシャボンと影竜シャドウドラゴンの心臓と………うええ、寄生梅パラサイトプラムの絞りをさっき細かく砕いたものと水魔法で出した水と一緒に魔力を込めたミスリルの棒で混ぜるのよ。」
母さんは寄生梅パラサイトプラムがよっぽど嫌なのか材料として出てきただけで顔を歪めた。
たしかに俺もあれは嫌だけど、ていうか心臓の絞りの方はいいの!?俺としてはそっちの方が嫌なんだけど!
シャボンは中に炭酸のようながったシャボン玉だ。
「絞りってことは、絞るんだよね………これ。」
俺の目の前にはマジックバッグから出した影竜シャドウドラゴンの心臓と未だに脈打っている寄生梅パラサイトプラムとなんか場違いなじがするシャボンが並んでいる。
「クルス、ファイト!」
「母さん!?」
まさかの丸投げだ。驚いて母さんの方を振り向くと母さんはそっぽを向いてこちらを向こうとしなかった。そんなに寄生梅パラサイトプラムが嫌か!てっきり手伝ってくれるのだとばかりいたのに………うう、やるしかないのか。
ブリュリュリュリュッ!
ブチュルルルル!
パシャッ!
おうええ…………トラウマものだよ。手にまだが殘ってる………。
最後の音はシャボンだ。シャボンは絞るというより割るという方が近かった。これだけが救いだった。
とにかく、なんとかこれで修羅場は乗りきった。
「…ねえクルス。」
「………何?」
「それ、魔法でやれば良かったんじゃない?」
「………………もうお酒作らない。」
次は魔法で出した水と細かく砕いた材料とさっきの絞りを混ぜるんだね。
あのあと母さんは、お酒作りを途中で放棄した俺に20分ほど謝り倒してきたので、さすがに俺も折れて作業を再開することにした。
ここ數日はケリルやギムルから魔法を教わっていたので魔法で水を出すことくらいは簡単にできた。え?シェーラは?ごめん聞こえない。
大鍋に水をれ、さっきの絞りもれたら全が混ざるように魔力を込めたミスリルの棒で混ぜていく。するとだんだんと、水が綺麗な紅に染まっていった。そして、沈殿していた細かく砕いた材料がゆっくりと溶け出してきた。細かく砕いた材料が溶けていくにつれ、紅が濃くなっていき水の中が見せなくなっていく。
「全が混ざったら火魔法で水面を炙って闇魔法で鍋全を覆って10分放置よ。魔法はなるべく高位のものが良いらしいわ。」
「………(プイ)」
「かっかわいいっ━━じゃなくて!クルス、ごめんって。もう許して~。」
『クルス、に持つタイプなんだな。』
うるさい!俺は怒ってるんだぞ!母さんはもうちょっと反省すればいいんだよ。
怒っていても作業は継続する。
まず、なるべく高位の火魔法で水面を炙るんだよね。といっても俺が使える火魔法は全部初級だから高位も何もないんだよなあ。
《でしたら霊魔法を使ってみます~?》
霊魔法ってどういうの?
『霊魔法は通常の魔法とは違い、霊が契約者から魔力を借りけて行使する魔法です。霊魔法は多くの魔力を消費する代わりに多彩で強力な魔法を使うことができます。また、霊魔法の屬は契約した霊の屬に依存するものですが………ノイントの場合はどうなのでしょうね。』
たしかに、ノイントは全屬の魔法が使える霊だもんね。霊魔法も全屬使えるとかじゃない?あ、でもお酒作りは全屬の魔法が使えないといけないんじゃなかったの?
《ご主人様~ボク、一応全屬使えますよ~?》
『ノイントの言うとおり、ノイントは先日マスターが魔法を教わったときにマスターとおなじく魔法を全屬覚えていますね。』
そういえばノイントは俺の魔力の屬と同じになるって言ってたね。
《はい~。そのおかげでやっとボクの種族が決定しましたよ~。》
この前見たときは混沌の霊(変化中)だったから次はどうなったんだろう。ノイント、後で見せてもらってもいい?
《もちろんですよ~。》
よし、それじゃあ霊魔法を使ってみようか。俺はノイントに魔力を渡せばいいの?
『おそらくノイントは全屬の霊魔法を使えるので、ただ魔力を渡すだけだと発しない可能があります。ですので、火魔法のイメージを乗せながら魔力を渡してください。』
俺は火魔法を使うときのように太のをイメージしながらノイントに向かって魔力を渡していく。
《あ、魔法名が浮かんだのでもう大丈夫ですよ~。》
ノイントに言われたので魔力の譲渡をやめる。ふとノイントの様子が気になったので、久しぶりに霊眼を使ってノイントの様子を見る。すると、驚いたことにノイントの髪が燃え盛るような橙に変化していた。そして、ノイントの周りには度々チリチリと炎が出ていた。
《ん~?どうしましたご主人様~?もしかしてイメチェンしたボクに見惚れちゃいました~?》
え?ノイント、髪………え?
ノイントは俺が霊眼で見ていたことに気がついたのか、悪戯っぽい目でからかってきた。だが俺はノイントの変化に驚きすぎてからかわれたことに気づけなかった。
《あれ~反応悪いですね~………。ああこれですか~?なんか霊魔法を使うときだけその屬の霊と同じ髪に変化するみたいです~。》
そんな俺を見て殘念そうな顔をしたあとそう説明してくれた。屬のある霊と同じ髪?
『霊眼で周りを見てみればわかりますよ。』
ティオにそう言われて周りを見てみる。すると今のノイントと同じ髪や緑の髪をした羽の生えた霊が辺りを飛びっていた。
なるほど。ノイントは今火の霊魔法を使おうとしているから火霊と同じ髪になってるんだね。じゃあ他の屬を使ったら………
『また髪が変わるでしょう。』
《あの~ご主人様~。もう撃ってもいいですか~?》
あ!ごめん!撃っていいよ!
《了解ですっ!霊の燈火スピリットイグニス~!》
ノイントがそう口にするとノイントの手から小さな白の火が放たれ、大鍋に向かっていった。白の火は水面にれると水面全に広がり、瞬く間に大鍋の中は火の海となった。そのまま2分ほど燃え続けていたが、俺が渡した魔力が盡きたのか、火の勢いは弱まっていき最後にノイントが手を下ろすと完全に白い火は消え去った。それと同時にノイントの髪が橙から純白に戻り、炎のエフェクトも消え失せた。
「ありがとうノイント。」
《いえいえ~。》
母さんはなぜか呆然とした様子で固まっているので放置でいいだろう。
さて、次は闇魔法で大鍋全を覆うんだったよね。これもノイントに任せていいかな?
《任されました~!》
これも先ほどと同じように、闇魔法を使うときのイメージを乗せてノイントに魔力を渡していく。
《あ、浮かんできました~。あの大鍋を覆えばいいんですよね~?》
うん。なるべく長い時間留めておけるのね。
今度は黒というより闇と表現するのが正しいような髪になり、がパーティーなどでする黒いレースの手袋をはめていた。元々ノイントが著ている漆黒のゴスロリドレスが髪と合わさってどこかミステリアスな雰囲気を漂わせている。
《了解です~。霊澹スピリットグルーム~。》
ノイントが放った闇魔法は大鍋にれると一瞬で全を覆い盡くしてしまった。
《これで10分間放置ですね~。》
そうだね。
「え?クルス、それ霊魔法よね?なんで2屬も?」
「むぅ……。」
母さんが漸く立ち直って聞いてくるが先ほどのことがあるので俺は不満げな聲をあげるだけで答えない。
「かっかわっ………んん!ご、ごめんねって。あれは母さんが悪かったわ。だからお願い許して!」
「………もうしない?」
「ええ!もうクルスに押し付けたりしないわ!」
自覚あったんだ………。
「寄生梅パラサイトプラムでも?」
「そ、それは………メイドとか執事とかカレイドに押し付けるから…………クルスには押し付けないわ!」
結局だれかに押し付けるんじゃないか!…………はあ、もういいや。
「………じゃあ、いいよ。」
「ありがとうクルスっ!大好きよー!」
母さんは俺が許すとパッと表を明るくし、俺に抱きつこうと駆け寄ってきた。
スカッ
「あ。」
だが初めて魔法の練習をしたときの暴走した母さんのことを思い出して、反的に避けてしまった。
「避けることないでしょー!」
「だってなんか怖いんだもん!」
その行が母さんの琴線にれたのか俺はまたも暴走した母さんに追いかけ回されるはめになった。
…………まあ、結局捕まって抱き締められたんだけどね。
2021/6/21変更
醸造スキルを獲得していなかったので獲得する流れを追加しました。それに伴い、この話以降のステータスに醸造が追加されます。
ご迷をお掛けし申し訳ございません。
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完結!!『一言あらすじ』王子に処刑された聖女は気づいたら霊魂になっていたので、聖女の力も使って進化しながら死霊生活を満喫します!まずは人型になって喋りたい。 『ちゃんとしたあらすじ』 「聖女を詐稱し王子を誑かした偽聖女を死刑に処する!!」 元孤児でありながら聖女として王宮で暮らす主人公を疎ましく思った、王子とその愛人の子爵令嬢。 彼らは聖女の立場を奪い、罪をでっち上げて主人公を処刑してしまった。 聖女の結界がなくなり、魔物の侵攻を防ぐ術を失うとは知らずに……。 一方、処刑された聖女は、気が付いたら薄暗い洞窟にいた。 しかし、身體の感覚がない。そう、彼女は淡く光る半透明の球體――ヒトダマになっていた! 魔物の一種であり、霊魂だけの存在になった彼女は、持ち前の能天気さで生き抜いていく。 魔物はレベルを上げ進化條件を満たすと違う種族に進化することができる。 「とりあえず人型になって喋れるようになりたい!」 聖女は生まれ育った孤児院に戻るため、人型を目指すことを決意。 このままでは國が魔物に滅ぼされてしまう。王子や貴族はどうでもいいけど、家族は助けたい。 自分を処刑した王子には報いを、孤児院の家族には救いを與えるため、死霊となった聖女は舞い戻る! 一二三書房サーガフォレストより一、二巻。 コミックは一巻が発売中!
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