《最強家族のまったりライフ》45話 フラグはメイドがぶち壊す
「坊っちゃま、これを」
アマリエと一緒に町の門へと続く列に並んでいると、アマリエが文字が刻まれた黃土のカードのようなものを渡してきた。文字は幸い稱號の"魔王の息子"の効果で読むことができたので一番大きく刻まれた文字を読んでみると、そこには日本語とは似ても似つかない不思議な文字で「クルス」と刻まれていた。
「これは?」
「それはこの町が屬している國の通行証です。それがないと面倒な手続きが必要になりますのでお持ちになっていて下さい」
パスポートみたいなものかな。そうなるとこの名前は國の名前か。
「でも俺、こんなカードを作る手続きなんてけたことないよ」
パスポートみたいなものなら、本人が役所なり何なり行って作ってもらうはずだ。だが俺にはそんなものを作ってもらった覚えはない。
「大丈夫です。本と判別がつかないほどに偽裝してありますから」
偽裝って………。まあメイド達なら何でもありなんだろうけど………。いいのかな?いいのか。
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「次の者っ!」
それからしばらく待っていると俺達の番がやってきたので門番のところへ進む。
「分証を出せ」
俺とアマリエは言われた通りに黃土の通行証を見せる。
「うむ、間違いないな。ん?おいそこの子供。その肩に乗っている鳥はなんだ?」
衛兵は通行証を見て一つ頷いた後、俺の肩にとまっているカリスを見て俺に聞いてきた。
「従魔です」
「従魔を町の中で連れるには冒険者ギルドの許可証が必要だが、許可証はあるか?」
「いえ、ありません」
「そうか………。なら町にったら冒険者ギルドですぐに許可証を作ってもらえ。冒険者ギルドは大通りの商店街をまっすぐ進んだ突き當たりにあるぞ」
俺が首を振ると衛兵はし考え込んだあと、親切に冒険者ギルドの場所を教えてくれた。
「分かりました、ご丁寧にありがとうございます。」
「ううむ、子供らしくないな………」
衛兵にそうお禮を言うと、衛兵は苦笑をらした。
確かに、3歳児の言葉遣いじゃなかった。
「それと、フードをとって顔を見せてくれ。大丈夫だとは思うが、町に顔を隠した不審人をれる訳にはいかないからな」
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衛兵に言われ、フードをとって顔を見せた。
「っ!………ああ、確かにこの顔立ちじゃ目立つもんな。すまない、もういいぞお嬢ちゃん」
顔を見せると衛兵は俺の顔を見つめて固まったあと何故か納得すると、申し訳なさそうにフードを被る許可を出した。俺は衛兵の様子を見て、そんな殘念な顔だったかと思いながらフードを被り直した。
ていうかこの人お嬢ちゃんって言ったよ。まあ仕方ないんだけど………。
「それじゃあ最後に、この町にはどんな目的で來たんだ?」
「旅の途中なので、この町で宿をとろうと思いまして」
衛兵の質問にアマリエが淡々と答えた。
「そうか。宿なら冒険者ギルドで聞くといい。従魔の許可証をもらいに行くだろうからそのときにでも聞けばいい」
「ありがとうございます」
「よし、特に怪しいところはないな。っていいぞ」
衛兵の許可が降りたので俺達は門を潛って町にった。町の中はまさしく中世という言葉がしっくりくるような町並みだった。
この世界ではこれが普通なのかな?
「そうでした、町では従魔に許可証が必要になるのでしたね。すっかり失念していました」
アマリエは門を抜けると従魔の許可証が必要なことを忘れていたことに気づいて肩を落としていた。
「問題はなかったから大丈夫だよ。それより冒険者ギルドに行かなくちゃね」
「………ありがとうございます。あの衛兵の話だと大通りの突き當たりにあるということですが………あちらが大通りのようですね」
アマリエが指す方向には一際賑わっている通りがあり、そこだけ人の流れが異様に多かった。
「………ぼ、坊っちゃま」
「何?」
「は、離れると人の波に巻き込まれて危ないですから……て、手を繋ぎましょうっ!」
アマリエは遠慮がちに俺に話しかけてくると、恥ずかしそうに手を差し出してきた。
「う、うん」
アマリエの突然の行に驚きながらもアマリエの差し出してきた手をとって人が激しく行きう大通りに向かった。
「姉ちゃん!これ一つどうだい!」
「奧さん!その果買うかい?安くしとくよ!」
「おお旦那!そんな買ってくれんのかよ!」
大通りを進んでいるとあちらこちらで威勢のいい商売の聲が飛びっていた。
日は落ちかけているというのに全くそれをじさせないほどこの大通りは人で賑わっていた。大通りは本當に何人いるんだと思えるほどの人口度で、行きう人々は度々ぶつかり合いながらも前へ前へと進んでいるような狀態だった。
そんなごった返す人の波をアマリエはヒョイヒョイと綺麗にかわして進んでいくので、手を引かれる俺は然程苦労せずに前へ進めていた。
「あの建みたいですね」
人が激しく行きう大通りを抜けて突き當たりまで進むと、目の前には看板に冒険者ギルドと書かれた木造の建が建っていた。その建には武や防をにつけた人々が出りしていたのであれが冒険者ギルドなのだろう。
「行きましょうか」
「うん!」
冒険者ギルドってやっぱ絡まれたりするのかな?
『どうでしょうね。そのような柄の悪い者もいるので、ないとは言えませんね。それにマスターはまだ3歳児ですし、アマリエもなので絡んでくる確率は高そうですね。』
うわあ………面倒くさそう。
俺はティオの予測にうんざりしながら冒険者ギルドの中にった。カウンターには付嬢が並んでおり、冒険者達をテキパキと捌いていた。ギルドの中には酒場も併設されているようで仕事を終えた冒険者達がそこで騒いでいる。
「あそこに並びましょう」
アマリエに促され、一番列の短い付に並んだ。並んでいると、周りからの視線が気になった。その視線の大半は男もも関係なく酒場で酒を煽っている冒険者達のものだった。冒険者達は俺やアマリエを見て下品な笑い聲を上げたり、不思議そうに眺めたりしていた。
「あいつら………坊っちゃまになんて無禮を………」
アマリエはそんな冒険者達の様子に不快を顕にし、何か呟きながら顔をどんどん険しくさせていった。
「お次の方はこちらへどうぞ」
アマリエの怒りが視線だけで人を殺しそうな域に達しかけていると、俺達の番が回ってきたようで付嬢が俺達に呼び掛けた。
 
「こんにちは。本日は當ギルドにどのようなご用件で………ひっ!」
付嬢は俺達に挨拶をしようとしたがアマリエの顔を見た瞬間、顔を青ざめさせ後退りながら小さな悲鳴をらした。
「アマリエ!顔っ、顔!」
「…はっ!………ふぅ。申し訳ございません、坊っちゃま」
俺が聲を掛けると、アマリエは先ほどまでの険悪な雰囲気を瞬時に霧散させて付嬢ではなく俺に謝ってきた。
「ええと、俺じゃなくて付嬢さんに謝らないの?」
「……………ああ、すっかり忘れていました。大丈夫ですか?」
………これは、相當怒ってるね。 
《待ってる間にずっと周りからいやらしい目で見られてたんですもん~。そりゃ怒りますよ~》
『それよりマスターをジロジロ見られたことの方が響いていると思いますが………』
そっか、一応俺の護衛って立場だからかなり神経を使っているのか。
『いえ、そういうことではなくてですね………』
え?それ以外にもあるの?
『なんでもないです』
そう?
「す、すみません。取りしました………」
ノイント達と話している間に付嬢はし顔が青いが、話せる程度までには立ち直っていた。
「では、改めまして………本日は當ギルドにどのようなご用件でいらっしゃいましたか?」
付嬢はまだ怯えが殘る聲音でギルドに來た目的をアマリエに尋ねた。
「従魔登録をしようと思いまして。」
「従魔登録といいますと、そちらのお子様が肩に乗せている鳥のことでしょうか?」
付嬢は従魔登録と聞いてカリスのことだと見當をつけ、確認をとった。
「ええ」
「そうですか。従魔登録でしたら右端から二番目の付で承っておりますので、そちらで登録をお願いします」
「分かりました」
俺達は付嬢の指示に従って右端から二番目の付のカウンターへ向かった。従魔登録の付は先ほどの付嬢がするようでカウンターの向こうで俺達と同じように従魔登録のカウンターへ向かっていった。 
「では従魔登録の手続きをさせていただきます。まず分証の掲示をお願いします」
目的のカウンターに著くとさっそく従魔登録の手続きへとった。俺とアマリエは付嬢に言われ門のところで出した黃土の分証を出した。
「ありがとうございます。次に今回登録するそちらの従魔の種族名を教えていただけますか?」
「雪猟鷹スノウハンターです。」
あれ?神鳥ヴェズルフェルニルじゃないの?
『神鳥ヴェズルフェルニルなんて言おうものなら國がくような事態になります。アマリエはそのようなことで目立たないためにCランクの魔の名前を出したのでしょう』
おお、危ない危ない。俺だけだったら絶対に目立ってたよ。本當にアマリエがいてくれて良かった………。
「雪猟鷹スノウハンターですか。これはまた珍しい魔を従魔にしたんですね。しかもCランクの魔なんて、冒険者でもないのにすごいですね。」
「いえ、たまたまですから。それより、登録はこれで以上でしょうか?」
「あっ、これは失禮しました。登録にはそちらの従魔の主人の名前が必要になりますのでお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「………ローズです」
アマリエは名前を聞かれると本來の名前とは似ても似つかないような名前を口にした。
偽名まで使うなんて徹底してるな………。そういえばカリスの本當の主人は一応俺だけどバレないのかな?
『ギルドに従魔の主人を見分けるような技はありませんので安心してください』
それなら良かった。
「ローズ様ですね。ありがとうございます。登録は以上となります。従魔の主人には許可証をお持ちいただくことになっておりますのでこちらをお持ちください」
そう言って鉄でできたようなカードをアマリエに渡した。
「それと、手數料として銀貨2枚をいただきますがよろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫です。」
アマリエは腰の袋に手をれるとこの世界の通貨であろう銀の貨幣を付嬢に渡した。
「確かに銀貨2枚いただきました」
「それでは私達はこれで。行きましょうか」
「うん」
「ありがとうございました。またのお越しを」
アマリエと一緒に出口へ向かうと、そこにはこちらを見て下品な笑い聲を上げている數人の冒険者が俺達と出口の間に立ち塞がるように立っていた。
あー………やっぱり來たよ。これ絶対絡まれるやつだ。
「よう姉ちゃ━━」
だが冒険者の一人が口を開くと同時にアマリエが目を鋭くすると、その瞬間、立ち塞がっていた冒険者達の姿は最初からなにもいなかったかのようになくなっていた。
あ、あれ?テンプレは?
『ご愁傷様です』
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