《最強家族のまったりライフ》48話 自然が落ち著く
翌朝、俺達は著替えを済ませるとすぐに街を出発した。人がまだ活発にき始めない早朝なら余計なトラブルにも巻き込まれないだろうというアマリエの判斷だ。
そんなわけで俺達は昨日よりも人がない朝の街道を歩いている。
「アマリエ、次の街にはどのくらいで著くの?」
ただ歩いているだけでもいいが、アマリエとはもっと仲良くなりたいのでこの機會におしゃべりでもしてしでも打ち解けられればいいなと思いながら俺はアマリエに話しかけた。
「そうですね。この街道沿いに行けば、2時間程で到著すると思いますよ」
この世界の街と街って結構離れてるんだね。それとも周りに森が多いのと関係しているのかな?
「そういえば坊っちゃま、初めての人族の街はどうでしたか?」
俺がこの世界の地理について考え始めようとすると、アマリエが唐突に街の想を聞いてきた。
「え?うーん、人がいっぱいいるのはやっぱり苦手かな。自然に囲まれている方が落ち著く」
街並みとか市場に並ぶ商品とかを見るのは面白かったけど、人混みは前世と同じで苦手なんだよなあ。それに冒険者ギルドにったときのあのジロジロとした無遠慮な視線は嫌だった。絡まれるのはアマリエが未然に防いでくれたけど今後もああいう場面に出くわすかもしれないし、そう考えるとやっぱり俺は森の中でほのぼのと過ごすのがに合っているんだ。
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「そうでしたか…。でしたら、ルートを変更しましょうか」
俺の街の想を聞いたアマリエはし考えたあと、思ってもみない提案をしてきた。
「変更?」
「はい。街を経由しながらダンコーツに向かうルートをやめて、々過酷になってしまいますが、森を抜けながらダンコーツを目指すルートにするのです。これならダンコーツに著くまでは
街にることもなくなりますし、森の自然を堪能できると思うのです」
その提案は俺としては嬉しいものだった。森を歩くのが過酷だとしても、一応それなりのステータスはあるとは思うのでそこまで苦ではないはずだ。
「でもいいの?この偵察って俺が外の世界を知るためでもあるんだよね?だったらもっと人と関った方がいいんじゃないの?」
「坊っちゃま、何も人と関わることだけが外の世界を知るというわけではありませんよ。レグサンド家の周り以外の自然を見ることだって外の世界を知ることになるんですから。それに、坊っちゃまが人族の街は嫌だと思ったことも、外の世界にれて一つ知ったことなんです。それが分かればもう無理に街にることもないと思いますよ」
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それでは今回の旅の目的の一つを果たせなくなると思い、不安げに尋ねた俺にアマリエはそう優しく諭した。
「それで、いいの?」
「ええ、いいと思いますよ。嫌なことなんて無理にやらないで極力避けた方がいいんです」
アマリエの言葉は俺の不安を払拭するのには十分だった。
「…それじゃあ、森を抜けるルートで行きたいな」
「はい、かしこまりました」
自分の気持ちを口にするとアマリエは笑顔で了承してくれた。
「では、次の分かれ道を右にりましょう。そうすれば森へとれますので」
森へって1時間が経った。ここの森はなからず人の手がっているからかちゃんとした道ができていた。今のところ人とすれ違うこともないので人目を気にせずに思う存分自然を堪能することができている。
「坊っちゃま、先ほどの街道より歩きづらい道ですからお疲れになりましたら遠慮なく言ってくださいね」
森を1時間程歩いても全く音を上げない俺を心配に思ったのか、アマリエが休むように促してくれた。
確かに街道と違って多デコボコとしていたり、勾配があったりするので普通の3歳児だったら10分も歩けないだろう。だが、姉さん達としたゲームという名の魔狩りで急激にレベルが上がった俺には、この程度強化などしなくても全く苦ではなかった。
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「うん、ありがとうアマリエ。でも全然平気だよ」
「本當に大丈夫ですか?無理してません?」
本當に大丈夫なのだが見た目が3歳児だからか、やせ我慢だと思われているようだ。
ねえティオ、最大レベルの隠蔽があれば隠したい報は絶対に隠せるんだよね?
『はい。鑑定に上位スキルはありませんので確実に隠せますよ』
そっか。じゃあステータスを見せちゃおう。
「大丈夫だよ。そんなに信じられないなら俺のステータスを見てみてよ。ステータス開示」
俺の唱えた言葉によって目の前に俺のステータスが載ったウィンドウが表示された。
クルス・レグサンド :男    3歳
種族:高位森人族ハイエルフ
狀態:健康
Lv . 89
耐久力   52300/52300
魔力     88314 /88314(746up)
攻撃  42510
防  29932
俊敏  48005
用  53444
運     85
《スキル》
【武系】
・剣Lv . 1
【魔法系】
・火魔法Lv . 1 
・風魔法Lv . 1
・水魔法Lv . 1 
・土魔法Lv . 2(1up)
・闇魔法Lv . 1 
・魔法Lv . 1 
・時空魔法Lv . 1 
・深淵魔法Lv . 1 
・神聖魔法Lv . 1 
・霊魔法Lv . 1
【技能系】
・強化Lv . 10超越化Lv . 3
・気配察知Lv.10、超覚Lv. 6
・気配遮斷Lv . 10、隠Lv . 6
・魔力作Lv.10、神力作Lv . 1 
・魔力探知Lv .10、霊眼Lv. ━
 ・隠蔽Lv. 10
・調教Lv . 2
・加速Lv . 10、瞬速Lv . 4
・痛覚耐Lv . 2
・長倍加Lv ―
・鑑定Lv .2(共有)
・武の心得Lv ─(new)
・魔力吸収Lv .1(new)
【ユニーク】
・神の導き手ガイドマスターLv . 3
・スキルクリエイトLv . ―(2126P)
《加護》
主神イリスの加護、魔王の加護、武神リョウセンの加護(new)、魔法神ラセアの加護(new)
《稱號》
転生者(隠蔽)、神の加護をけし者、 
魔王の息子、世界の深淵を知る者、學ぶ者、深淵を覗く者、の娘(new)
一応母さんとお酒の材料を探して森へ行ったときにゴブリン以外にも低級の魔を倒したのだがこのレベルになると微々たる経験値にしかならないようでレベルに変化はなかった。だが、しっかりとスキルクリエイトのポイントは増えているのを見てし嬉しくなった。魔力はいつも魔力作を使って消費しているからかしだけ上昇している。
土魔法のレベルが1上がってる。母さんに"黒盾球"を割られてから々試行錯誤してたからかな?あ、リョウセン様とラセア様から加護もらってる。嬉しいなあ。新しいスキルはに覚えがないからリョウセン様達の加護かな?
そこまで確認して最後に稱號の欄に目を向けると、何やら不穏な稱號が追加されているのに気が付いた。
『……ぷふふっ、鑑定しましょうか?』
ティオは俺の気持ちを汲み取ってスキルの鑑定を──いや全く汲み取ってない。あきらかに笑っている。だが確かに気になる稱號ではあるし、リョウセン様達の加護の容も気になるのでを殺して無言の同意を示した。
・武神リョウセンの加護……武神リョウセンから與えられた加護。
:武の心得Lv ─
追※お前のこと気にったネ!今度一緒に地球行くネ!
・武の心得……武系のスキルを習得しやすくなる。
・魔法神ラセアの加護……魔法神ラセアから與えられた加護。
:MP自回復
:魔力吸収Lv .1
追※ノイントちゃんを貸してくれてありがとうね。それとノイントちゃんにお菓子待ってるわって伝えておいてね~。
やはり新しいスキルはリョウセン様の加護の効果だったようだ。ラセア様の加護はノイントがもらった加護と同じ効果だった。それにしても追が雑だ。ほとんどメールをする覚で加護を送ってきている気がする。そこまでの説明を聞いてため息を吐きそうになったが、続いて頭の中に流れてきた先ほどの不穏な稱號の説明でその息を止めることとなった。
・の娘……どこからどう見てもの子。男の娘よりもの子。もうの子でいいんじゃないか?
:キューティクル倍増
何この説明!?確かに自分でも男には見えないけどちゃんとついてるから!というかこの効果は何なの!?神界で自分の顔を改めて見てからなんか髪のツヤが一層増したとは思ってたけど稱號の効果だったの!?
俺は不穏な稱號の説明が終わると間髪れずに心の中でんだ。決して悪い効果ではないのだ。しかし、稱號の説明も相まってどうしても恥ずかしい稱號に思えてしまう。幸いなのはキューティクル倍増がステータスの欄に載らなかったことだ。おそらくHP自回復などと同じくくりなのだろう。
《良かったですね~ご主人様~。髪の質が倍増ですって~》
『からしたらから手が出るほどしい効果ですよ。良かったですね』
絶対二人とも良かったって思ってないでしょ!聲が笑ってるよ!
ティオとノイントの追撃をけ、ひとしきり悶え苦しみようやく落ち著いてきたのでアマリエを見てみると、いまだに俺のステータスをまじまじと見つめていた。
「アマリエ、どう?これなら大丈夫そうでしょ?」
「へっ!?ええ、はい…。そうなんですが……このレベルでこのステータスは何なんですか?それに神の加護を三つも……。それとスキルクリエイトって何ですか?私そんなスキル知らないですよ」
アマリエは俺のステータスを見て々混しているようで俺が聲をかけるとびくりと肩を跳ねさせたあと、矢継ぎ早に質問をしてきた。俺は転生云々のことは誤魔化してスキルのことなどを大まかに説明した。
「な、なるほど……ってやっぱり納得できませんよ!なんでそんなスキルを持ってるんですか!?」
「お、俺も知らないよ。気づいたらこんなスキルを持ってたんだから」
転生のときにスキルを作ったからなのだが、そんなこと言えるはずもない俺はしらを切った。
「それよりどう?これで本當に疲れてないって信じてもらえた?」
このままではボロが出ると思った俺は急遽話題の転換をはかった。
「ええ、まあ……そうですね。このステータスでしたら疲れないのも納得です。ですが坊っちゃま、的に疲れていなくても神的には疲れていませんか?」
「うん、それも大丈夫だよ。自然がいっぱいあるから歩くのが楽しいくらいなんだ」
家の周りと同じような景だが、生えている植や空気の違いが別の場所だと気づかせる。その違いを見つけるのが楽しいのだ。
「そうですか。でしたらもう2時間ほど歩きましょうか」
「うん!」
そうして2時間程周りの植を鑑定したりアマリエ達と話したりしながら歩いていき、ちょっとした広場を見つけた俺達はそこで晝食を食べることにした。シートを敷き、そこに二人で座る。ノイントも実化して俺の隣に座った。
「どうぞ、坊っちゃまのお弁當です」
「ありがとう」
アマリエが"ボックス"から出したお弁當をお禮を言ってけ取る。
「ノイントはどうしますか?」
「ボクはご主人様のをしもらえればいいですよ~」
ノイントは今回は味見程度に済ませるようだ。
「わかりました。ではこちらのフォークを使ってください」
「ありがとうございます~」
「そういえばお弁當っていつ作ってるの?」
昨日なんて俺と同じ時間に寢たはずだからお弁當を作る時間なんてなかったはずだ。ふと気になった俺はアマリエに尋ねた。
「実は、お屋敷にいるときにまとめて作っちゃったんです」
「そっか。"ボックス"の中は時間が止まっているからいつ作っても大丈夫なんだったね」
「はい」
渡されたお弁當はまるで出來立てのようにほかほかの狀態でほんのりと湯気が立ち上っている。つくづく魔法は便利だと思う。
「早く食べましょうよ~」
「うん。じゃあ冷めないうちに食べよう」
そんなほのぼのと晝食を食べ始めるクルス達を気配を消して木の上から見つめる4つの影があった。言わずと知れたレレナ達別隊である。
「う~。やっぱりアマリエが羨ましいー!」
「そうねえ。何とかして一緒に食べられないものかしら」
「奧様、お嬢様、パックを飲みながら話さないでください。が飛び散ります」
レレナ達もクルス達と同様に木の上で晝食をとっていた。晝食といっても、いつでもけるように片手で食べられるサンドイッチなどの軽めのものだ。レレナとレスティアはヴァンパイアなのでの補給も行っていた。
「坊っちゃまは街を嫌がりましたね」
メイドの叱責をけて大人しくパックを飲み始めたレレナ達を放置して、メイドは先ほどのクルスの発言を思い返しながら執事に話しかけた。
「ええ、やはりハイエルフですから森を好むのでしょうか?」
「それもありますが、坊っちゃまは人の視線を嫌がっているようでもありました」
「……ふむ、そうなるとダンコーツの偵察はあまり時間をかけない方が坊っちゃまのためにもよろしいかもしれませんね」
「偵察なんてクルス君じゃなくて私達がやればいいのよ!」
「そうよ!真面目にお父さんの言うことを聞く必要なんてないわ!」
「だから!が飛び散るから話さないでくださいって言いましたよね!」
執事はメイドの意見を聞いて予定を変更しようかと考え始めたが、またもしゃべりだしたレレナ達にメイドがキレて収拾がつかなくなったのを見て、この件はまた後で考えようと思ったのだった。
2021/7/27
しだけ表現を修正しました
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