《最強家族のまったりライフ》51話 勇者発見

「では坊っちゃま、こちらの服にお著替えください」

早朝、俺達は宿にてダンコーツへと侵するための準備をしていた。渡された服は大きめのフードが付いた赤黒いパーカーのような服とピッタリとしたじのズボンだった。

し大きかったですね……」

俺の長も考慮しているのか、著てみるとふとももの辺りまで上著で隠れてしまった。だがこのくらいなら特に気になるほどでもないだろう。

「普通にけるから大丈夫だよ」

「そうですか?それなら良かったです」

そう安心するアマリエは黒のYシャツにベージュのきやすそうなズボンの上に鼠のローブを羽織り、口元に暗いのマフラーを巻いた暗殺者っぽい服裝をしていた。

「それでは行きましょうか。城に転移するので私の手を握ってください」

「うん」

俺は肩にカリスが乗っていることを確認してからアマリエの手を握った。その瞬間足元に二人がるくらいの大きさの魔法陣が現れ、しばかりの浮遊じていると薄暗いジメジメとした場所へと景が切り替わった。

「ここは?」

「おそらく城の地下でしょう。坊っちゃま、その服にも隠學迷彩などのスキルが付與されていますが、念のため坊っちゃま自も隠を使っておいてください」

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「分かった」

アマリエの指示通り隠を発する。し自分という存在が薄くなった気がする。

「ではまず地上に出ましょうか。こちらに階段があるようです」

アマリエと一緒に階段がある方向へと向かう。階段は地下ということもありっていてりやすくなっていた。

これは慎重に上らないと……。

「坊ちゃま、足元に気を付けて上ってくださいね」

《ここで思いっきり転んだら面白いですよね~》

ちょっと!変なフラグ立てないでよ!

『しっかり足元を見るのだぞ』

カリスまで!?言われなくてもちゃんと注意してるから大丈──

ツルッ

「あっ」

ズテンッ!

「坊っちゃま!?」

急に足をらせて転んだ俺を見てアマリエがとてもびっくりしている。カリスは俺が転ぶ寸前に飛び立っていた。

『マスター……』

『さすがにそれは……』

《フラグ回収が早すぎますよ~……》

うう……もしかして俺ってドジっ子屬があるの……?

「坊っちゃま、お怪我はありませんか?」

「う、うん、大丈夫だよ」

「坊っちゃま?顔が赤いですよ?」

「な、何でもないからっ!」

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幸い、転んだときの衝撃は服が守ってくれたようで全く痛くなかった。それよりも、気を付けるように言われたそばからズッコケたことに対する恥心で顔から火が出そうだった。

「坊ちゃま」

「な、何?」

「また転ぶと危ないので手を繋ぎましょう」

「うん……」

アマリエの気遣いが逆に俺の心を抉っていく…。

まあ、結局手は繋いだんだけど…。

しばらく階段を上っていくと終わりが見えてきた。

「地上に出ますね」

「このまま行ったら警備の兵士とかに気づかれない?」

「大聲を出さなければ目の前を通り過ぎても気づかれることはありませんよ。もっとも、大聲を出しても一般兵士程度でしたらそうそう気づかれませんが」

ティオ、この服の能ってどのくらいすごいの?

『屋敷によく襲撃にくる黒づくめの集団が著ている服がじっとしていればスキルの気配遮斷Lv6程度の効果が発揮できる能です。気配遮斷Lv6は大Cランク冒険者までが気づきにくくなるくらいの効果です』

あの黒づくめさんたちって単獨で下級の竜を屠れるくらいには強いんだよね?

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『はい、冒険者のランクに直せばAランクはあると思います』

そんな集団でさえその程度の能なんだから、今俺が著ている服の能がどれだけ壊れた能をしているかに染みたよ…。

『ちなみにマスターの著ている服をお金に換算すると……』

やめてっ!聞きたくない!

『ふふっ、そうですか。聞きたくなったらいつでも言ってくださいね』

ティオにもからわれた……。

そうこうしているうちに地上への出口が近づいてきた。出口の左右には帯剣した2人の兵士が立っており侵者を警戒していた。アマリエに手を引かれながら恐る恐る通り過ぎてみるが、どちらの兵士もまったく反応を示さなかった。

なんだか不思議な覚だなあ。

「これからどこに向かうの?」

兵士たちを通り過ぎて人気のないところへと來たところでアマリエに聞いてみた。

「まずは召喚された勇者を見てみようと思います。勇者は……今は朝食をとっているようですね」

どうやって勇者の居場所を見つけたんだろう?

『時空魔法で王城全を把握したようです』

あ、はい。

アマリエの規格外な一面を垣間見たところで早速勇者のいる食堂へと向かった。食堂は思ったよりも近くにあったようですぐに行き著いた。

「ここですね」

「どうやってるの?」

食堂の前には3人並んでもれそうなほど大きな扉があり、食堂にるには扉を開けないといけなかった。いくら気づかれないといっても扉を開けたら気づかれるだろう。

「坊ちゃま、失禮します、”ワープ”」

アマリエが魔法名を唱えると一瞬にして景が切り替わった。どうやら食堂の中に転移したようで人の話し聲が聞こえてきた。食堂の真ん中には30人以上が腰かけられる長いテーブルが置かれておりその席の大半が埋まっていた。座っている人たちは髪質や髪の長さに違いはあれど全員が黒髪黒瞳をしており、地球にあったような學校の制服をに著けていた。

黒髪黒瞳って……日本人かな?いや、中國人とかの可能もあるか。

『顔の造形からして日本人のようです』

日本人か…でも特に親近とかは湧かないな。別にが沸いてほしいわけじゃないけど。

「勇者は複數でしたか」

食事をしている勇者を観察しているとアマリエが隣で呟いた。もちろん、俺以外は特に反応を示さない。

「勇者が複數いるのって珍しいの?」

「いえ、あまり多いケースとは言えませんが記録ではそれなりの頻度で複數人が召喚されていますよ。ただ、今回のような召喚された勇者の服裝が統一されているケースはほとんど確認されていません。彼らは別の世界の軍隊なのでしょうか?いえ、でも、訓練をけたような様子はありませんし……」

「學校じゃない?」

あ、つい口出ししちゃった…。転生者とかバレないかな?な、なんて言い訳すれば……。

「なるほど、確かに彼らの年齢からしてもそれが妥當ですね。よくわかりましたね、坊っちゃま」

俺の心配とは裏腹にアマリエはただ納得して俺のことを褒めてくれるだけだった。

「あ、ありがとう」

あれ?疑われてない?3歳児が學校なんて知ってるわけないと思うんだけど…。

『おそらく私を通じて學校について知ったのだと思われたのでしょう』

そっか。ティオにはいろんな知識が備わっているもんね。俺が知ってても不思議じゃないのか。ティオがいて良かった~。

一安心したところで改めて勇者たちの様子を見てみることにした。

「──でさー、マジ最悪なんだけど」

「──お前人のモノを!」

「──なあ、さっきのメイドエロくね?」

「──みんな靜かにしてっ!」

…さっきから思ってたことだけどものすごいうるさい。口にものをれて食べるなって教わらなかったのかな?あと、學級委員みたいな人が何度か靜かにさせようとしているけど、その言葉がしゃべっている人たちの癇に障ってかえってうるさくなっているような気がする。……朝食の段階でこれって夕食とかどうなっちゃうんだろう?

《これがご主人様の前世の世界の人たちですか~……》

さすがにこれを同郷の人たちだとは思いたくないよ……。

『なあクルス、勇者たちのステータスはどのくらいなんだ?』

あ、確かに気になるね。鑑定してみよっか。ティオ、ノイントの鑑定Lv.2だとどのくらい見れるの?

『Lv.2ですと見れるのはレベルと各能力値だけです』

そっかー…殘念。

『今回は私の能力で鑑定しましょうか?』

そういえばティオは詳細まで鑑定できるんだったね。お願い。

『かしこまりました。一応マスターたちもレベル上げのために鑑定をしてみてはいかがでしょう?』

うん、そうするよ。

《分かった~。……今思ったんですけどティオがいれば鑑定のスキルって必要ないんじゃないですか~?》

そんなこと分かってるよ……。でもそれだとせっかくスキルをくれた技巧神のシュヴァルエ様に申し訳ないでしょ……。

《あ、あはは~そうですよね~……》

そうじゃなくても、もしティオが能力を使えなくなった時のためにレベル上げをしておいて損はないでしょ?

《なるほど~。わかりました!もしもの時にご主人様のお役に立てるように頑張ってレベル上げしますよ~!》

なんか俺のためってなってるけど…まあいいか。さて、俺も鑑定してみようかな。あ、あのがっしりした男子生徒とかどうだろう?

Lv.13

耐久力   860/860

魔力     378 /378

攻撃  530

  408

俊敏  230

用  160

運     28

これは…どうなんだろ?確かティオの話じゃ人族の冒険者は大ステータスの能力値の平均が1000だって言ってたから、レベル13でこれならかなり潛在能力が高いのかな?參考までにもう一人見てみようかな。さっきの學級委員ぽい子生徒はどうかな?

Lv.9

耐久力   300/300

魔力     504 /504

攻撃  176

  193

俊敏  240

用  508

運     39

うん。魔法職ってじのステータスだね。こういうステータスって地球にいた頃やっていたことが影響するのかな?

『多なりともその傾向はありますよ』

あ、ティオ。

『全員の鑑定が終わりました。奧に座っている茶髪の男子生徒が勇者たちの最高戦力……いわばこの召喚の本命のようです』

ティオの言う方向を見てみると周りに笑顔を振りまいて會話しながら食事をしている男子生徒がいた。周りの生徒は大半が子生徒のようでティオの指す男子生徒にしきりに話しかけていた。……そして本人はイケメンだった。

ふんっ!うちの執事たちの方が何倍もかっこいいもん!

『なんでそこで張り合うんですか……』

それで、あの男子生徒が召喚の本命ってどういうこと?

『……はい、複數人が召喚されるときは大抵一人はステータスが抜きん出ている者がいます。その者が勇者召喚によって呼ばれた勇者なのです。他の者も世界を超える影響でステータスは強化されますが特別なスキルなどは持っていません。それと複數召喚の場合、呼ばれた勇者は一緒に召喚された者にリソースを何割か持っていかれるため単獨で召喚された勇者より全的なステータスが低い傾向にあります』

そうなんだ。というか複數召喚っていいことばかりじゃないんだね。それはそうとあの勇者はさっきの生徒たちとどのくらいステータスが違うのかな?

『こちらが彼のステータスです』

白峰 賢人 :男   16歳

種族:人族

狀態:健康

Lv . 15

耐久力   1470/1470

魔力      1968/1968

攻撃  800

  780

俊敏  460

用  400

運     57

《スキル》

【武系】

・剣Lv . 2

【魔法系】

・水魔法Lv.2

・風魔法Lv.1

魔法Lv.2

【技能系】

強化Lv.3

・気配察知Lv.2

・不屈Lv.1

・鼓舞Lv.1

・指揮Lv.1

・乗馬Lv.1

【ユニーク】

・風の如くフィジカルウィンドLv.1

・正義は我にありジャスティスロードLv.1

刃ライトスラッシュLv.1

《加護》

主神ヴェーニャの加護(偽裝)

《稱號》

異世界の勇者、順風満帆、天才、主人公補正ラッキースケベ

なんかすごい主人公してるステータスだね。まず、ユニークスキルが3つもあるけどこれはすごいの?

『一般的に見たらユニークスキルは一つあるだけでも大できるほどの力をめていますので、ユニークスキルを3つも所持する彼はこの世界の人々から見たら破格の存在でしょう』

ユニークスキルってそんなすごいものだったんだ……。

『彼のユニークスキルの鑑定の結果をお教えしましょうか?』

うん、お願い。

『こちらが鑑定の結果です』

・風の如くフィジカルウィンド………魔力を消費することで風を自由自在にることができる。レベルによって作できる風の量が変化する。

・正義は我にありジャスティスロード………その場にいる自の行いに賛同する者が過半數のときステータスが上昇する。レベルによってステータスの上昇量が変化する。

刃ライトスラッシュ………魔力を消費することでの刃を進行方向に出現させる。レベルによっての刃の大きさと威力が変化する。

うーん……微妙じゃない?

《微妙ですね~》

『微妙だな』

『正直ユニークスキルの枠にれていいのか微妙ですね』

勇者のユニークスキルの詳細を見た俺の想と三人とも同じ意見のようだ。

風の如くフィジカルウィンドと刃ライトスラッシュって魔法のレベルを上げれば割とできちゃいそうだよね。

『はい、魔法でも再現することもできます。一応、魔力の消費量や威力などの面で上回っているようですが、再現できてしまうことを考えると微妙といわざるを得ませんね』

やっぱりそうなんだ。最後のユニークスキルの正義は我にありジャスティスロードは常時発型のスキルみたいだね。上昇量はどのくらいなんだろう?

『環境依存のスキルのようでその場の賛同する人の數によっても変わってくるみたいです』

『それなら環境次第ではかなり強いスキルになるのではないか?』

《うん、ボクも思った~》

『いえ、そうでもないようです。例えばその場に自分の行を賛同する者たちより反対の者たちが多くいた場合は効果を発揮できない、つまり敵が大勢の場合は効果を発揮しづらいのです』

対ボス戦スキルってことか。

《結構限定的なんですね~》

そっか~。うん、やっぱり微妙だね。

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