《S級冒険者パーティから追放された幸運な僕、神と出會い最強になる 〜勇者である妹より先に魔王討伐を目指す〜》第2話 『不幸なとの出會い』

王都に辿り著いたボクは馬車から降ると、さっそく冒険者の拠點であるギルドへと赴いた。

者に支払った移費が、最後のボクの財産である。

ならば依頼をこなして財産をどうにかすればいい、楽観的にそう考えた。

「うんうん、これでよしっと」

掲示板にパーティ募集のチラシ(手書き)をり付けた。

あとは街を回って呼びかけたり、知人の冒険者や傭兵をえばある程度なら集まるだろう。

パーティのメンバー數に上限などいない。

金融関係で100人パーティを組む連中はまずいないだろうが、元々ボクもS級パーティで戦っい抜いてきただ。

せばなるさ! と本來の神を誤魔化すためにポジティブを演じる。

「ほへぇ、S級パーティ『漆黒の翼』の元メンバーがパーティの勧募集しているのかよ」

さっそく武裝しているいかにも『戦士』でやんすっ! という雰囲気の男がチラシに食いついてくれた。

「……けんども、なんでそんな大が? ちっと胡散臭いなぁ。最近、あのパーティからのメンバーの退なんて報告は聞いてねぇぞ?」

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「あぁ、そこのお方気になりますかい?」

そこで付の男が戦士に話しかけた。

すると、付の男はギルドの広間で1人寂しそうに座るボクの方に指を差して、余計やことを戦士に吹き込んだ。

「あそこの弱々しそうな年がね、そわそわしながらり付けたモノなんだよ。きっと元S級パーティメンバーなんてデマだよ……信じないほうがのためだ」

「なんだと!? それでは寄生が目的か!」

(え! ちょっと! なに余計なことを!?)

付の男の話しを聞くは、戦士はボクのったチラシ(手書き)を掲示板から強引に引き剝がし、苛立ちながら破いてしまった。

ボロボロになった紙の欠けらを無造作に捨て、ボクの前までくると戦士は大聲で怒鳴ってきた。

「2度とこんなマネをするな!!」

それから、ただ立ち去る彼を見て直するしかなかった。

不思議に涙を流している自分がいたので、見られたくない理由でギルドをさっそうと後にした。

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※※※※※※

王都、平民階級の市街區にて。

「おお! ネロ君ではないか? パーティにってから王都に顔を出さなくなったが、こんな所でどうしたんだい?」

知人の家を尋ねたボクは泣きながら、昨夜起きた出來事の一部始終を彼に説明した。そしてパーティの加を求める。

彼は話しを真剣に聞いてくれるから嬉しかった。途中愚癡を挾みながら話し終えると彼は腹立ったような表でボクに同の眼差しを向けてくれた。

心の共よ。

「そんな事が……気の毒にね」

「でしょ? だからここは、ボクの為だと思って! この通り!」

手を合わせながら、彼に必死に頼んでみせた。

「その、悪いけど、俺も戦闘に特化している職業《ジョブ》じゃないからさ、ゴメン。

その話はナシ!」

目を泳がせながら、彼はそれだけを言い殘すと、バタンと扉を閉ざしてしまった。

1度、臨時パーティを組んだ事がある仲なのに、考える暇すら作らないなんて薄な!

けど確かに彼が居てもどうにもなりっこないと、承知している。『詩人』だし。

ない荷を手にボクは次の知人の元へと、軽い足取りで駆けつけた。

今度こそ上手くいってくれるさ、『ラック』を持ち合わせるボクの手にかかれば、嫌でも運は到來するハズだ……よね?

 

※※※※※※

貴族階級の市街區。

「悪いけど私はとっくに引退したの。騒な冒険者を続けたままじゃカッコいい男なんて出來ないわ。それに、落ちぶれた男に興味なんてない」

バタン!!

※※※※※※

 

「もう他にパーティを組んだからさ、ごめんね」

「え、それじゃボクもさ、、、是非パーティに!」

バタン!! 

※※※※※※

「アンタ誰だっけ? ねろ? 悪いけどそんな奴知らないね」

バタン!! 

次へと向かう。

バタン!!

諦めずにネクストにトライ! まだまだ心は折れないさ!

バタン!! バタン!! バタン!!  バタン!!

(まだまだ折れるワケにはいかないんだ!)

バタン!! バタン!!  バタン!! バタン!! バタン!! バタン!!

斷れ続けた皆はボクを見るは、すぐさま心を閉ざすようかのように玄関の扉を閉じていく。

そろそろ折れそうな自分をひきずり、最後の知り合いの家を尋ねにいってみせた。

必ず、パーティメンバーの1人でも増やして……奴らを見返すのだ。

を蝕む屈辱の檻から抜け出すためにも、ボクの野はけっして盡きたりはしない。

コンコンと、強めに扉を叩いた。

これが最後の賭けだ! これで斷られたら潔くソロ活開始だ。

財産ゼロではパンのカスすら食べられなくなるだろう。

米が主食のこの王都では小麥は貴重だ。

「………………………」

シーンと続く靜寂。

誰も出てこようとしない。

(ん?)

無我夢中だったせいか気がつかなかったけど、扉をノックした建から離れてよく眺めてみると、そこは廃墟だった。

どうやら疲れてしまったのだ。

頭を抱えながらヒステリックな聲がボクの口から盛大にれ出てきた。

「ああ………くそ、くそ、くそ!  どうして……こんな……くそ!くそ! なにが幸運だ、なにが幸運なんだよ!」

自分でも信じられないぐらいの暴言が次々とボクの口から、容易く発せられていく。

嗚咽をこらえる。

涙とヨダレを地面に垂らしながら昨夜の出來事を思い出す。

けた暴力、役立たずと罵られ大切な裝備一式を奪われた。

おかげさまで今のボクは金もない一文無しだ。地面に跪いて額を押し付けながらボクは泣くしかなかった。

『ラック』幸運を呼ぶ男。

結局、こんな能力なんて稱號で過ぎない形だけだ。

生まれた時から恵まれていると言われてきたけど、ここ數年そんなことなんて1度もない。

「ボクはだだ他人に幸せを屆けることしか出來ないのか? そんなの理不盡じゃないか」

醜い自分はこの世界に居る意味などない。

誰かがボクに囁くかのように、耳元が疼いていた。

※※※※※※

宿で泊まるほどの財産が無いボクは王都の郊外を歩いていた。

今夜は野宿しよう。そう決めたのだ。

王都付近はモンスターの生息もないし、森の木々でを潛めれば、大抵は襲われずにやり過ごせる。

昔、トレスさんの設立したパーティに加してほやほやの頃、まだ優しかった頃のトレスさんがボクに植え付けたサバイバルの豆知識が脳の隅に置いてある。

悔しいが、活かせれば森での生活は容易いものだ。

まずは集めた木の枝を削りながら火起こしから取り掛かっていった。

炎魔法を使用すればすぐだが、生憎ボクには原始的方法という手段しかない。

恥ずかしながら、炎魔法は使えないのだ。

「ふぅ、やっと火がついてくれたよ」

目を閉ざしながら両手を合わせてった。

これならば、夜の寒さをしのげるだろう。

捕まえたトカゲを細い木の棒の鋭い先端に刺し、薪のすぐそばに放置して焼くだけ。

不思議にお腹が空いてこない、死んでいるわけではない。

昨日の出來事が原因だろうが、それでも食べなければ人は死んでしまう。

殘酷な話だが、人というものは脆い生き者なのだ。だけを頼りに行しては早死にする。

そう思いながら焼きあがるのを待った。

立ち上がり、この場から離れて森の周囲を散歩するという暇つぶしを思いついた。

ひんやりと吹いてくる冷たい風が裝備を失ったことにより、さらけ出されたに當たってしまい、腕を組んみながら震えてしまうボクがいた。

あまり聴くことのない夜の森に耳を澄ませながら、故郷で流行っていた子守唄を鼻歌で歌う。

靡く髪のをおさえながら、深い森へと足を踏みれる。

ここからし離れた故郷、魔王軍の進行により滅んでしまった農村を思い出される。

昔もこうやって妹の手を引きながら、弱いモンスターの生息する森を散歩していた。

大人からは危険だからるなと言われていたが、探求心の強い妹は親に緒で勝手に1人で行こうとする。

當時まだまだ子供だった自分でもモンスターの恐ろしさを分かっていた、なので妹を待ち伏せしては止めてやった。

すると彼はボクを睨んでは「ひきょうもの!」と何処で覚えたのかも分からない言葉を吐いて逃げた。

兄であるボクはすぐさま連れ帰らなきゃいけないと思い追いかけ、捕まえてやったが凝りようとしない。しかも、猿のようにすばしっこくて苦労が増していった。

仕方ないので妹を1人にしないためにも、あくまで監視としての役割で彼についていった事あった。

逸れないように手を繋ぎながら、森を探索して生息するたちとれ合ったりして遊んだ。

ボク自が冒険に興味を持つようになったきっかけ、妹の影響かもしれない。

足を止めて、ボクは空を見上げながら笑った。

(今じゃ剣の勇者エリーシャと呼ばれるようになって、お兄ちゃんは寂しいよ)

魔王討伐にむかっていってしまった妹を心配しない兄など、この世にはいないだろう。

どうか無事な姿で帰還してほしい、毎日そう願いながら年月を過ごしていった。

「うぎやぁあぁぁぁあああああああ!!!?」

突然、到底人間の聲には聞こえないの鳴き聲。

一瞬ビクッと驚いて直してしまったが、それよりも逃げなければという本能でボクはその場から逃げようとする。

「誰かーーー!! も、もし!  いるのなら救いをっ!! 救いの手を私にぃぃいーーー! ぎゃあああああ!!!?」

人の聲、しかもの人だと気がつきボクは足を止めた。

それよりもまず疑問が浮上した、どうしてこんは時間帯にの人が森に? しかも結構窮地に陥ってそうな奇聲じゃないか。

腰の短剣が目に止まった。

助けるべきなのか、それとも耳を塞いで騒がしい雑音を無視して見捨てるか。

「やめて! 私なんか味しくなんかないよ!? だからそんな味しそうに私を見てヨダレを垂らさないでーーーって! ああああ」

それでもボクには見捨てることなんて出來なかった。

ーーーすぐ近くにいる!

※※※※※※

そこには、狼に囲まれて怯えている小さな裕福そうな赤髪の可()がいた。

かなり揺した様子で棒切れをブンブンと闇雲に振り回している。

完全に脅威ではないと認識された狼に一斉に飛びつかれ、は地面にもちついてしまった。

終わりだ、彼がそう思った瞬間。

「うぎやぁあぁぁぁあああああああ!!! 誰かーーー!!!」

狼の群れとの間にスモーク弾を投げつけられる。

ボワン!! と音を立てながら煙が周囲を埋めるほどに充満した。

その隙をねらい、ボクは倒れこんだを持ち上げてた。

そしてすぐさま視覚を奪ってやった狼の群れから離れるために、瞬足の逃げ足を発!  (スキルではないません)

「うぅうん……助かったよぉ」

腕の中では泣きそうな瞳でボクを見上げていた。

相當怖かったのだろうか、今でもブルブルと震えたままだ。

「ありがとぉ!  見ず知らずののくせに助けてもらって。このお禮は必ずいつしか……」

「シッ、話はあとにして。今は逃げることを第一に考えよう。走れる?」

「走るぅ……? うぅごめんなさい、多分むりですぅ」

ぎゅるるるる、とは腹を鳴らした。

どうやらお腹を空かしているらしい。

仕方ない、お姫様だっこしたまま逃げ通すか。

パーティを組んでいた時、仲間からは「逃げ足だけは速いからなぁ」とよく小馬鹿にされていた。仕方ないじゃないか、生まれつき脅威から逃げることに専念してしまう安全第一者だから。

まさかココで役に立つことになるなんて、誰が思ったのだろうか?

暗い森でを抱えたまま走る自分。このシュチュエーションがボクの脳裏に嫌な記憶を浮かび上がらせた。

そんなは、顔を赤らめながら夜空の月と重なるボクに目を輝かせていた。

逃げることに専念している今のボクでは到底気がつくことはないだろうけど。

ーーーこの偶然の出會いがまさか、ボクの人生を大きく狂わせるだなんて………今のボクでは知る由も無いだろう。

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