チリヂリと燃える焚き火の前で、苦労して捕ったトカゲをは遠慮もなくモグモグと頬張っていた。

「ムシャムシャ！！ パクパク！！ うんまぁい！」

この、相當お腹を空かせていただろう。自分は別に空いていないため、黙って彼を見つめていた。

視線に気づき、は寶石のような水の瞳をボクの方へと向ける。

「………もぐもぐ」

無言のまま、結局何も言ってくれない。

話題がないのだろうか？  仕方がない、いっちょ切り出そう。

「…………おいしい？」

「うん、とっても！ 食べをくれるから、お兄さんは良い人ですね！ モグモグ」

返答してすぐはトカゲのにがっついた。

本當に味そうに食べてくれている事に捕った甲斐があったと、妙な達を覚えさせてくれる。

なんせこの時期でしか生息しない希な食料(トカゲ)なのだから。

冒険者の間では男問わずに好まれていて、上流貴族の間でも人気を誇る代である。

あまりにレアなので生息場所を摑んだところで、捕獲までいくのは中々難しい。

まぁ、あれもこれも《ラック》幸運値が高いからであって自の実力には含まれない。

を大きく張りながら誇らしく言えることなのか、それまた別だが。

「ふぃ、ご馳走さまでした！」

４本の中型のトカゲを食べ終えたは満足そうにボクの寢袋へと寢っ転がって占領した。

仕方ないのでボクは集めた枯葉などでクッションを作って寢ることにした。

焚き火で向かい合いながらボクはねっ転がるに尋ねる。

「で、寢かけているところ悪いんだけど質問をしていいかな？」

焚き火の火により気持ちよくしていたは瞑った瞼を開かせ、起き上がって真っ直ぐボクを見つめた。

聞く気満々なのか、異様なほどまでの集中力がじ取れる。

そして笑っていた。

「私を救ってくれたメシアだものっ、斷る理由なんてないですわ！」

「う、うん。そっか、力になれて良かったよ。それよりキミはどうしてあんな所に居たんだい？ モンスターが沢山生息していることぐらい、お父さんかお母さんに注意されなかったの？」

々わざとっぽい大人の口調で質問をしてみせると、ボクを見たは夜空を見上げて指を差した。

「うーん、お父さんとお母さんは居ません！」

口に付いたカスを舐め取りながら彼は言う。

「それと私は１度も『地上』に來たことなくて、今さっき『神界』から下りてきたところだったんです」

「神界？ 聞いたこともないな……？ もしかして、大陸外？」

「異空間です。この世の何処にも存在しない神のみぞ知る世界。権利のない人間では絶対ることなど出來ません」

顎に手を當てて黙りこみながら、壯大に上昇していく彼の夢話に耳を傾ける。

想は「頭でも打ったのか？」ぐらいだ。

「探究心により神界から地上へと下りようと試みたのですか、制不能の狀況に陥ってしまい、ワケの分からないこの森に辿り著いてしまいました。

そこで、神界にも似た魔力のようなモノをじとりながら森を彷徨っていたら、牙と爪をギラつかせるあのたちと遭遇しました。可いのででようかと思い手をばしてみました」

話は信じられないけど、モンスターに自ら無防備に近づくってことは、どうやら相當な箱り娘ではないのだろうか？ と頭に変な記憶がよぎる。決して悪い方向の記憶ではない。

昔、國で知り合った貴族の箱り娘がボクを異常なまでに溺したヤンデレちっくな記憶だ。

「そこで、襲われちゃいました！ テヘ」

舌を出して自分の頭をコツンと叩く仕草にドキンとした。

それも、こんな小さくて形なにときめかないハズがない(ロリコンではないぞ)。

なんていうか、昔の妹を思い出す。

こういう風に父さんに謝っては頭に一発、まったく無関係のボクにも一発。

痛み分けだ！ と父さんはよく言っていた。

「けど偶然に私の視界を奪う厄災が訪れ、これはなんですか！？ もうダメだわ……と諦めかけていたところ、厄災を切り開くの如くに登場した！ すなわち貴方！ ……名前を伺っても？」

「ネロ」

「そうそうネロ様！ 心とに傷を負ってしまった私、世界の神である偉人！ 神の『フィオラ』は貴方の差しべられた純粋な手により救われてしまいました！ その時、私はネロ様に……神でありながら抱いてはいけないを抱いてしまいました！」

延々と続きそうな話を苦笑いで聞き、ボクは目を輝かせて見てくるフィオラに首を傾げた。

「そ、そんな大層な……大げさだよ。はは」

「自分のことを過小評価しないで下さい！ 私は決めたんです！」

フィオラは頭の赤いリボンを揺らしながら小さく白い手をボクの方へとばし、細長い指を差しながら言った。

「ネロ様に救われたこの命、借りを返すまでなど言いません！ 永遠に貴方に著いていきます！」

「え、ちょっと待って。 そんな、キミのようなの子が一緒に？ ボクは冒険者であって、毎日危険と隣り合わせの仕事に赴いているから危ないよ？」

「冒険者！ やはりそうでしたか！ ネロ様からじ取れる異様な幸運の匂いと、うむ。

勇者の気配……」

「大した冒険者ではないよ。それにボクじゃなく妹が勇者だ。ボクなんてステータスの能力値では幸運だけが高くてそれ以外は底辺。

すなわち底辺な冒険者で。収は現在ゼロ、パーティを作らなきゃやっていけないほどの雑魚なんだよ」

「つまり、力がしいってことですよね？」

ボクを目にフィオラは可らしく微笑みながら夜空を見上げて言う。

そしてボクの方へとすぐ向き直り、ニコリと笑みをみせた。

「いいでしょう、私の力にかかれば容易いことです」

そう言うとフィオラは小さな指から霊のような、赤く輝くを出現させてボクにかざした。

魔法ではない、魔力が全然じ取れないし呪文すら唱えない狀態での魔法発など賢者の域だ、信じられない。

「うおっ？ な、何？！」

驚きも隠しきれずボクはフィオラから後ずさろうとすると、それを制するかのように彼はボクに近づき手をがっしり摑んだ。

「『神の加護』を與えましょう。と言うものの、適正じゃなければ死ぬ場合があるから今のうちに謝っておきますね！！」

避けれない狀況でフィオラはかざしていた霊魂をボクの腹部へと叩きつけ、臓が潰れるような衝撃をける。

地面へと倒れこみ、心配そうにボクを見下ろす赤髪のはボクの頭を抱えながら耳元に顔を近づけた。

「………ごめんなさい」

瞼が完全に閉じてしまったボクは意識を失った。