《S級冒険者パーティから追放された幸運な僕、神と出會い最強になる 〜勇者である妹より先に魔王討伐を目指す〜》第7話 『幸運なボクはパーティメンバーに裏切られる』

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ツンデレキャラ

ー STATUS ー

LV:53

名前:リンカ・トオツキ 別: 年齢:20歳

筋力:110

力:80

魔力:46

敏捷:90

:100

魔防:80

運    :40

スキル(技能):魔法 盜っ人LV 7

モンスターを対象。あらゆるスキルや魔法を奪い取ることが可能。レベルが上昇していくほど強力なスキルを奪取可能。

格・『ツンデレラ』百%

実は蟲嫌い等々……。

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暗い広間の中心から火花が散り、衝撃で後方へと吹っ飛ばされ壁に衝突しそうなリンカを見事キャッチした。

「ちょっ……!?  らないでよ!」

抱き抱えた狀態のリンカに拳で顔面を毆られてしまう。

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ステータスの防値が上昇していたおかげで強力な拳により死なずに済んだ。

ダラダラと鼻が垂れるだけで、特には大きな問題などはない、うん。

「ず、ずみません」

一応、レディに気安くれてしまったことを謝罪する。

あいにく戦闘に集中していて、リンカはボクの謝罪會見なんぞにまったく見向きしていなかった。

「あまり前へと出すぎると危険だ。ボクが注意をそらすからリンカさんは側面に回って!」

「斷る!! あんたに命令される筋合いはないって言ったでしょ!」

と言いながらも素直に後方へと回って待機をしてくれるリンカ。

言っていることと、やっていることが真逆なような。

「よし! ボクが奴めがけて突進した瞬間に、出來るだけ存在を消したまま橫にむかって走るんだ! 相手の棒を弾いたらすぐさま死線から奴の眼球に目掛けて遠距離魔法を叩き込んで!!」

ぎごちないが、素直に彼は嫌々と頷いてみせた。

シャキッとダイヤモンドのような結晶の剣を両手に、1つ目のサイクロプスと睨み合う。

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「よし! いつでも來な!」

地面を蹴り上げて、距離を詰めたところでサイクロプスめがけて剣を振り下ろした。

ヒュン!!

風切り音だけ、腕に伝わる手応えがない。

おかしいと思いながら、上を見上げるとサイクロプスが頭をハテナにさせてボクを見下ろしていた。

避けようとした剎那、棒がボクめがけて叩きつけられてしまった。

「ごほ!? (あれ、案外痛くない!?)」

け止めてくれる人もおろか、背後には誰もいなかった。

壁に叩きつけられるが、地面に落下する瞬間に態勢を取り戻す。

「……リンカさん!」

を呼んでみるが、返事はない。

よく見るとこの広間にはボクとサイクロプス、半明のフィオラしかいない。

なんで半明なんだ? しかも苛ついたような眼差しに涙目でボクを見つめていた。

なにか深刻なことでもあったのか?

「あ、アレ。 リンカさんどこいったの!?」

やはり此処にはいなかった。

フィオラに尋ねると彼をプルプルと震えさせた、ボクの右手を見ながら。

不思議に思いながら自の手を見ると、気がついてはいけないことを気がついてしまった。

フィオラの息吹により姿を結晶に変えた元短剣、結晶の剣が消えていた!?

「ありゃ? お、落とした覚えがないけど??」

広間をキョロキョロ見回すが何処にもない、地面にも落としていなかった。

そして消息不明のリンカ。

・盜・賊・の・リ・ン・カ・が。

「あ」

すべて結びついた。

泣きそうなフィオラが言いたいことも、気づかず起きた出來事も。

「ネロ様。あの……」

顔を真っ白にさせるボクの袖を指で引っぱるフィオラ。

言わなくても何が起きたのかはわかる。

なんて殘酷だ。

「……あの!! 後方に下がって、サイクロプスにネロ様が集中しているのをいいことに真顔で接近しながら巧妙な手口でネロ様の握っていた結晶の剣を奪い取って、音もなく逃げていってしまいましたわ!!!」

を確認する、中の魔石が抜き取られていたが財布は無事だ。

けど唯一の武が奪取されてしまった。

「なんてことだ……! うぁぁ」

青ざめた顔で聲にならないび。

ニヤニヤとした笑みで盜んでいく盜賊のリンカが脳裏に浮かんでくる。

完全にやられた。

嘆いているとサイクロプスがすぐ近くまで接近していた、棒をボクの頭上にめがけて振り下ろす。

「うぅう」

目を當てなくても腕がいた。

サイクロプスの棒を無意識にけ止める。

もう片方の手で拳を作ると、ペッキリと棒を真っ二つに折ってみせた。

サイクロプスは口を半開きにさせて驚くが、構わずボクは奴に飛びかかって顎に強烈なアッパーを叩き込む。

トレスさんの攻撃ですら通用しなかったサイクロプスの皮が千切れ、サイクロプスの頭だけが吹っ飛んでしまう。

頭を失ってしまったから噴するしぶきを浴びながらポカンとする。

「……あ、そうだ! リンカさん! リンカさんはどっちに行ったの!? 階層を下りたの?」

返りを一切け付けないフィオラに迫り、深刻な表を向けながら彼の肩を摑んだ。

「広間の奧かも! だって、盜賊なんだから!」

広間の奧といったら財寶部屋まで続く通路だ。

が何を言おうとしているのかが分かる。『サイクロプス』イコール『財寶』リンカもさきほど言っていたじゃないか。

『サイクロプスね。確か、金銀財寶が眠るところをよく守護している1つ目の魔でしょ?』

標的を聞かれた時に、何故か彼からそんな言葉が出てきたのだ。

最初っからサイクロプスの守護する財寶が狙いだったんだ!

「さっさと下りましょう! あのに構っても時間の無駄だよ! ほらほら」

フィオラに袖を引っ張られる。

ボクは彼をすぐさま剝がしてから財寶へと続く通路に向かって首をふりながら歩いた。

「何処へ行くの!? あのは裏切り者なんだよ! 神は悪い人は嫌いだよ!」

「わかってるさ。取られて悔しいよ。けど、パーティを組んで別れも言わずに退なんて許さない! リンカさんがボクの大切な短剣を盜んだことに怒りは湧いてこないけど、何も言わずに立ち去るなんて許せない!」

明から鮮明になったフィオラの手を摑んで財寶部屋に向かって走った。

「ネロ様……貴方って人は」

うっとりしているフィオラを目に、ボクは自分のをおもいっきり噛み締めていた。

※※※※※※※

「ふん、やっぱり昔と変わらずアイツはバカみたいにお人好し。だからこうやって易々と裏切られるのよ」

悪い表でニヤけながら、通路の隅にを潛めながら財寶部屋に向かっているリンカ。

その手にはギラついた結晶のような剣、さきほど盜んでやった高価そうな武である。

「それにしても何なのかしら、この剣? 魔力を込めていないはずだけど、異様に私を妨げようとする魔力が自発的に働いてるわ……ふふ、関係ないか」

剣をでると、ニヤけた顔を真顔へと変えて通路を進んだ。

「ネロ……『漆黒の翼』に居た頃よりはしばかり強くなったようだけど、サイクロプスが相手じゃ殺られている頃かしら?」

仲間が殺られようがリンカにはどうでもよかった。そもそも仲間意識など芽生えていなかった。

盜賊団の幹部時代、リンカはネロとは敵対していた仲だ。

それでも借りを作らせたことがある。

『漆黒の翼』のメンバーに見捨てられて、盜賊に捕まってしまい檻の中で丸まっていたネロと出會ったのが初めだ。

あまり話しをわさなかったが、彼を見ると嫌な気分になったのだ。

だから盜賊の仲間にはネロを片付ける、すなわち殺すと口実つけて森に連れてやり解放してやった。

消えてしかったけど、あの酒場で再開してリンカはネロに近づいて利用しようと考えた。

昔から狙っていたサイクロプスの財寶の為、彼を囮にすると。

「著いたわね」

窟のような広間にたどり著いたリンカは耳をすませ、ある壁の前に止まる。

文字が刻まれていた。

し離れると、さきほど魔から奪った遠距離魔法を使用して壁を破壊。

瓦礫の奧からは神々しいが放たれる。

見渡す限りの金、銀、ダイヤモンド、エメラルド、パール、ルビー、財寶が集う巨大な部屋に辿り著いたのだ。

「ふふふ……やったわ!」

目の前の景に喜び跳ねながら金銀に飛びついて、用意した布袋へと集めていく。

では抑えられない強な心が暴走していく。

笑いながら、踴りながら、そして歌いながら、ありとあらゆる高価なをかき集めて興をしていた。

束の間、部屋が大きく揺れる。

「キャッ!?」

人は揺れには敏だ、それがたとえ戦士であろうと。

地震ではない、布袋を手に彼は破壊した壁の方へとおそるおそる振り返った。

(なっ……)

そこには、壁のにおさまる程の巨大な顔面を持った1つ目の魔が青い目を充させながらリンカを睨んでいた。

財寶を手に持つ、彼に狙いを定めて壁に向かって魔は拳を振り下ろす。

抵抗もが許されない大きな衝撃が、財寶部屋で立ち盡くすリンカを襲った。

壁の瓦礫が飛んできて、鎧を凹ませるほどの威力で彼に襲いかかる。

恐怖に怯えながら金銀を詰めた布袋を落とし、リンカは額から垂れてくるにひどく敏に反応して震えた。

気がつけば、両足があらぬ方向に曲がっている。

鎧にも瓦礫がめり込んで、に突き刺さっていた。

ツーっとからが流れ出てくる。

「噓っでしょ……だってさっき、アイツと……違う。あのサイクロプスより……大きい?」

の姿を目の當たりにしてリンカはハッと気がついた。

サイクロプスには上がいる、すなわち親玉。

そうーーー リンカを襲いにかかってきたのはタダのサイクロプスではない。

真っ黒の巨人、最強と謳われる特級の魔『サイクロプス・エルダー』だ。

リンカは手に握っていた結晶の剣を、震えた手で持ち上げようとするが落としてしまう。

そして、この時……リンカは自分の運命を決定付けたのだ。

このままでは、死んでしまうと。

命乞いもできないまま死んでしまうのだと。

「ーーーーー 助けてっ」

誰に言ったのかは分からない。

それでもリンカの脳裏に浮かんだのは、かつての父と母、盜みを一緒に働いていた盜賊仲間でもなかった。

名前を覚えたばかりの青年、笑いかけてくれ、あの笑顔を決して絶やそうとしない青年。裏切ってしまったあの男。

んだのだ。

(ーーーーー  ネロ!!助けて!)

涙を流しながら、心の中でネロを呼ぶ。

「リンカさーーーん!!」

裏切ったはずの彼はすでに、彼の手に屆く距離にいたのだ。

リンカに対しての失はない、ネロの眼差しにはリンカを見つけたことによる安堵が浮かんでいた。

笑いかけてくれるネロを見た彼は、抱いたことのないを抱いてしまっていた。

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