《S級冒険者パーティから追放された幸運な僕、神と出會い最強になる 〜勇者である妹より先に魔王討伐を目指す〜》第19話 『元パーティの仲間との再會を果たす』
気がつけば暗闇の中でただ1人、ボクは佇んでいた。何処までも続く真っ黒い地平線を意味もなく見つめている。
こんな所に來た記憶は無い、初めて場所だ。
「……」
それなのに、このを高鳴らせる懐かしい覚は何なのだろうか?
というより此処でボクは、一何をしているんだろうか……?
疑問に疑問が生じて、次第に思考が絡み合い、考えるのを拒絶してしまっていた。
仕方がないと頭を掻いて困っていると突然、背中を叩く大きな手により前方へと押し出される。
「!?」
驚いて振り返ると、一面暗闇だった空間が急に姿を一瞬で変化させた。
目線の先には、低い木材の塀で囲まれた2階建ての家がそこに自然と建っていた。
その側には大きな図で腕を組みながら、ボクを見下ろして笑っている見覚えのある男が立っていた。
あれっ……あれ?    えっ。
彼を見たボクは驚きを隠せず、後ずさりをしながら大きく開けた口に手を當てた。
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(そんな筈が……無い。 なのにどうして、こんな所に居るんだ……??)
「よくやったぞネロ! 流石は俺の息子だ!」
白い歯をみせて笑うその人は、かつて死んだはずの父だった。
忘れたりはしない、忘れる筈がない、ずっと憧れてきたあの大きな背中を。
「……どうして? どうして……父さんがここなんかに?」
「ん、何を不思議がっているんだよ? ここは俺らの我が家だから當たり前だろ? 居ちゃ悪いのかよ……?」
そういうと彼は再びボクに近づき、そして肩を摑んでーー
「おい何をモタモタしているんだ!? とっとと早くここから逃げるんだ!!!」
ーーー思いっきり力強く引っ張れ、父はボクを見ながら怒鳴るようにんだ。
「え?」
気がつくと、また景大きく変わっていた。
今度は何なんだと思いながら父の方に視線を向けるとーー
「!!?」
目を大きく見開いて、驚愕してしまう。
そこには……かつて住んでいた大切な家が、黒い炎に包まれながら燃えていた。
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ーーそして、そこにも父が居た。
大量のを流しながら強張った表の父は、ボクに背中を向けながら大聲でんだ。
「エリーシャを早くここから連れ出して逃げるんだ!! 早くしろ!!」
父から発せられた聲は、いつもの優しくて気さくな雰囲気がまるで無かったら。
それもそうだろう。
何故なら父は………。
「生きろよ」
それでも尚、父は震えるボクを安心させる為なのか、ニヤリとした笑顔をボクの方へと向けながら、いつもの優しさで言った。
ーーーグチャ! と生々しい音と共に父は目の前から消滅したのだった。
「っ!?    父さん!!」
傷だらけになった手を必死にばしてみせたが、そこにはもう……父は立っていなかった。
ただ不気味に、笑い聲を上げている悪魔がそこでボクを見つめている。
「ふふふ、なんという愚かな愚者なのだ。逃げればいいものの、こんな弱どもの為に何故その尊い命を犠牲にするのだ?」
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目の前には、ずっと昔から復讐の対象にしていた人。
燃えあがる大切な我が家を奴は面白おかしそうに嘲笑い、無數の死を踏み躙りながらその上に平然と立っていた。
「やはり『』というものが邪魔するのか? ふふふ、それならばやはり『』というモノは実に興味深い! さらに気持ちの悪い異である!  など幻影でしか過ぎない、偽りのだというのに、人間というものは愚かでは到底言い表せられないほどの愚者だ!」
復讐の種、元兇となったその醜い姿が、燃え盛る我が家と共に眼球から脳まで痛々しいほどに深く刻印のように焼きついていた。
決して消えない、傷跡のように。
「ーーーっ!!」
奴にむかって憎悪を放ちながら、んでいる自分がいた。
まるで何か良くないモノに乗り移られたかのような、荒々しくて甲高い聲がボクのから発せられていた。
奴の眼球がボクの方へとむけられる。
そして、いつものように両端のを上げながら、嘲笑っていた。
「貴方はーーーーーーーー!!!!」
※※※※※※
け止められていた。
剣の切っ先が、奴の人差し指と中指に挾まれて何事もないかのようにけ止められたのだ。
「私に業を燃やす復讐者? つまり、私のファンか何かでしょうか? ええ?」
「ふざけるな!!」
それでも尚、ボクの勢いは止まったりはしない。
神によって左手の甲に刻まれた印から魔力を貰いけながら、奴の指に挾まった剣をありったけの力で引き抜いてバックステップで距離を取る。
「ふむ、確かにファンなら攻撃なんてしませんよね。それに驚きましたよ若き未來ある愚者よ」
奴は服についた砂埃を右手で払うと、ツノをいじりながら遊び覚で言う。
「まさか私の強烈なデコピンを近距離でけても尚、目立った外傷が無いだなんて、非常に驚きですよ人間よ!」
完全に見下したような表で笑っている。
まるでいつでもボクを殺れると言わんばかりに。
それもそうだろう。
奴は……ビリー・ゼバブ・ベロフィークは『魔の大陸』の大半を軍事力で治めた魔の王の直屬の部下である。
しかも魔王軍の中でもズバ抜けた能力を持つ鋭『七大使徒』の1人だ。
王國騎士団を指だけで捻り潰し、王國の連合軍でさえたった1人で全滅させるような奴らだ。
微かにだがボクのがすくんでしまう。
「しかもそのおしい神々しい剣はっ! 『神族』の『明の加護』ではありませんか!? なんとも醜いのでしょうか!」
一瞬の瞬きが命取りだった。
気づけば、『第七使徒』ビリーはボクの剣をでる程の距離まで接近していた。
ソイツにめがけて剣を引き離す。
そして、憎悪に支配されたボクは無造作に剣を頭上へと高く掲げてすぐさま振り下ろした。
「 【晶剣流 ーー煇輝斬ーー】!!!!」
膨大な魔力による斬撃が奴に目掛けて放たれた。
一瞬だけだが、奴の表から余裕が消え去る。
「……ほう」
強力な斬撃が奴に直撃した。
「あああああああああああああ!!!!!」
架け橋のように奴にまで放たれた明で膨大な斬撃を、必死に抑え込みながら剣を握り締める手の平に、魔力と筋力を込めてんだ。
そしてーーーー
「ククク……ハハハハっ!! 」
一瞬で相殺されたのだった。
剣から重みが、噓のように消える。
唖然としてしまい、そんな狀況をけ止められない自分がいた。
怒りにより失った冷靜が次第に取り戻され、ボクがじた最初のは……『失』だった。
誰かに対してのではない、愚かな自分に対してだ。やっと得た強力な力には満足している自分に。
それを無意味に陥らせた自分が許せないというが、次第にボク自を恨み始めてしまう。
「……ありゃまっこれはイケませんなぁ、見てくださいよ」
奴の言葉に顔を上げ、震える瞳を向ける。
見ると、奴の人差し指があらぬ方向に曲がっていてを吹き出していた。
「指が、折れてしまったじゃないですか?」
「!?」
強烈な痛みが突然腹部を襲い、抑える暇もなく重力に反するようにボクのは痛み全に抱えたまま、容赦なく宙に吹っ飛ばされていた。
意識が朦朧とする中、薄れていく視界に映る景は………殘酷なものだった。
的になっていたせいで忘れてしまっていたが、この場にはリンカとフィオラにミミも居る。
彼らは吹っ飛ばさるボクに手をばそうとしてくれたが、前方で強烈な殺気と威圧を放つビリーによって固まってしまった。
「………逃げて……」
地面を砕くように衝突してしまったボクは奈落の底に飲み込まれるような覚を覚え、意識が途切れる。
※※※※※※
「まさか私に傷を負わせるとは、なんとも愚者であり強者なのでしょうか。死の間際に敬意を稱しましょう」
ビリーは一仕事を終わらせたかのような満足そうな表を作った。
そして呆然と立ち盡くすリンカの背後に隠れたミミに指を差す。
「さあ、こっちに來なさい」
「ニャ!!?」
を逆立たせながらミミは、首を左右に振る。
リンカが剣を握りしめ、カチカチと震える歯を食いしばりながら聞いた。
「アンタが誰なのかは知らないけどね……この子は渡せないわ。もし渡したところでアンタはこの子をどうする気なのよ……?」
「いつか私ら魔王軍の脅威となり妨げになる存在になるので、ソッコウな処置をとるつもりです」
「ニャ! ニャ!? それは嫌ニャ!!」
ミミに拒否られたビリーはため息を吐いた。
明るい表が消え失せ、ビリーはつまんなさそうに地面の蟲を踏みつけながら言った。
「まったく、頑固な子だよ。キミを森に連れていったキミの父を殺して、姿を偽裝したあの日からずっと……キミは厄介だった。異常とも言えるほどの強大な力をめながらも、その本質をも理解できていない狀態が特にね」
「やっぱり! お前が私の父にゃんと母にゃんを!?」
「キミの両親だけではなく、村のすべての人間は私の手により葬られたのだ。それを見てしまった場合、キミは堪えきれず暴走してしまうだろう。なので力の源であるキミの耳を処理した……が、やはりしつこい」
ビリーの指差す先にはミミの頭。
いつの間にか生えていた燃えるような耳へと向けられていた。
「何度もその姿を取り戻そうと形を繰り返してしまう。だから決斷に至ったのさ、キミの処理をね!」
「!?」
リンカらの目の前から突然、ビリーは姿を消した。
慌てながらリンカは剣を構えて周囲に警戒する。
「上っ! 上!!」
フィオラの呼びかけにリンカはとっさに上へと視線を向けて、迫り來るビリーに気がついた。
反的にミミを抱えてリンカは地面を蹴ってビリーの攻撃を回避する。
「くっ! なんなんだよっ……全然見えないじゃないの!」
「それはキミが剣士としてド三流の雑魚だからだろう!」
地面を砕いたビリーは小さな作でリンカにめがけて腕を振り下ろす。
ほぼ作のないビリーの行にリンカは気にもかけずミミを抱えて離れようしたのだがーー
ズバ!!
突然リンカの肩が切り裂かれてしまう。
「痛っ!?」
抱えたミミを離して、肩を切り裂かれてしまったリンカは地面に倒れてしまう。
いつもなら回避していたところだが、ビリーの攻撃はそれをも許さなかった。
涙目でミミは倒れるリンカの方に視線を向ける。
「ーーーネロ」
小さくリンカは呟いた。
ネロの吹き飛ばされてしまった方向へと、半開きにさせた瞳を向ける。
そこには、重傷で気を失ってしまったネロが倒れこんでいた。
「………誰」
ーーーだけどその場には、もう1人いた。
ネロを見下ろしながら桃の髪を揺らして泣いている可憐な貌の。
リンカにとって見慣れないそのは、ネロに魔法『治癒魔法』をかけいる最中だった。
はリンカに気がつくと、手をかざしながら魔力を込めてんだ。
「『癒しの』ヒーリング!!」
はこの場をすべて包み込むような強大な魔法陣を出現させる。
忌々しい威圧が掻き消され、魔法陣の朽ち果てた自然が命を取り戻していく。
リンカの負ってしまった肩の深い斬り傷もが、次第にみるみると塞がっていった。
リンカは唖然とする。
(この短時間だけで、これほどの治癒力を。あのは一……?)
はすぐにネロの方にに向き直る。
涙で潤んでしまった目元を拭いながら、はニコリと笑い、嬉しそうに気を失っているネロに呟いた。
「私を勝手に置いていくんじゃないわよ…………。本當、ネロ君のばかっ」
の言葉が屆いたのだろうか。
ネロの閉ざしてした瞼の表面が一瞬ビクリと震えた。
「……また會えて、貴方が生きてて、本當に良かったよ」
は仰向けに倒れるネロを持ち上げて、包み込むように抱きつく。
リンカが目を細めた。
「なっ!?」
「………ん」
その瞬間、腕の中に包まれたネロは瞼を微かに開けた。
【完結】処刑された聖女は死霊となって舞い戻る【書籍化】
完結!!『一言あらすじ』王子に処刑された聖女は気づいたら霊魂になっていたので、聖女の力も使って進化しながら死霊生活を満喫します!まずは人型になって喋りたい。 『ちゃんとしたあらすじ』 「聖女を詐稱し王子を誑かした偽聖女を死刑に処する!!」 元孤児でありながら聖女として王宮で暮らす主人公を疎ましく思った、王子とその愛人の子爵令嬢。 彼らは聖女の立場を奪い、罪をでっち上げて主人公を処刑してしまった。 聖女の結界がなくなり、魔物の侵攻を防ぐ術を失うとは知らずに……。 一方、処刑された聖女は、気が付いたら薄暗い洞窟にいた。 しかし、身體の感覚がない。そう、彼女は淡く光る半透明の球體――ヒトダマになっていた! 魔物の一種であり、霊魂だけの存在になった彼女は、持ち前の能天気さで生き抜いていく。 魔物はレベルを上げ進化條件を満たすと違う種族に進化することができる。 「とりあえず人型になって喋れるようになりたい!」 聖女は生まれ育った孤児院に戻るため、人型を目指すことを決意。 このままでは國が魔物に滅ぼされてしまう。王子や貴族はどうでもいいけど、家族は助けたい。 自分を処刑した王子には報いを、孤児院の家族には救いを與えるため、死霊となった聖女は舞い戻る! 一二三書房サーガフォレストより一、二巻。 コミックは一巻が発売中!
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記憶を失った青年『レイラ』が目を覚ました世界は、 命を創造し、恒星間航行を可能とした舊人類が滅んだ世界だった。 荒廃し廃墟に埋もれた橫浜で、失われた記憶の手掛かりを探すレイラは、 人工知能の相棒『カグヤ』と共に、殘虐な略奪者がのさばり、 異形の生物が徘徊する廃墟の街に身を投じることになる。 【いずみノベルズ】様より 【不死の子供たち③ ─混沌─ 】が販売中です。 公式サイト https://izuminovels.jp/isbn-9784295600602/ 【注意】感想欄では、物語や登場人物に関する重要な要素について語られています。 感想欄を確認する際には注意してください。 サイドストーリー中心の『ポストアポカリプスな日常』も投稿しています。 ※カクヨム様でも連載しています。
8 93【電子書籍化へ動き中】辺境の魔城に嫁いだ虐げられ令嬢が、冷徹と噂の暗黒騎士に溺愛されて幸せになるまで。
代々聖女を生み出してきた公爵家の次女に生まれたアリエスはほとんどの魔法を使えず、その才能の無さから姉ヴェイラからは馬鹿にされ、両親に冷たい仕打ちを受けていた。 ある日、姉ヴェイラが聖女として第一王子に嫁いだことで権力を握った。ヴェイラは邪魔になったアリエスを辺境にある「魔城」と呼ばれる場所へと嫁がせるように仕向ける。アリエスは冷徹と噂の暗黒騎士と呼ばれるイウヴァルトと婚約することとなる。 イウヴァルトは最初アリエスに興味を持たなかったが、アリエスは唯一使えた回復魔法や実家で培っていた料理の腕前で兵士たちを労り、使用人がいない中家事などもこなしていった。彼女の獻身的な姿にイウヴァルトは心を許し、荒んでいた精神を癒さしていく。 さらにはアリエスの力が解放され、イウヴァルトにかかっていた呪いを解くことに成功する。彼はすっかりアリエスを溺愛するようになった。「呪いを受けた俺を受け入れてくれたのは、アリエス、お前だけだ。お前をずっと守っていこう」 一方聖女となったヴェイラだったが、彼女の我儘な態度などにだんだんと第一王子からの寵愛を失っていくこととなり……。 これは、世界に嫌われた美形騎士と虐げられた令嬢が幸せをつかんでいく話。 ※アルファポリス様でも投稿しております。 ※2022年9月8日 完結 ※日間ランキング42位ありがとうございます! 皆様のおかげです! ※電子書籍化へ動き出しました!
8 86【書籍化作品】自宅にダンジョンが出來た。
【書籍化決定!】BKブックス様より『自宅にダンジョンが出來た。』が2019年11月5日から書籍化され発売中です。 西暦2018年、世界中に空想上の産物と思われていたダンジョンが突如出現した。各國は、その対応に追われることになり多くの法が制定されることになる。それから5年後の西暦2023年、コールセンターで勤めていた山岸(やまぎし)直人(なおと)41歳は、派遣元企業の業務停止命令の煽りを受けて無職になる。中年で再就職が中々決まらない山岸は、自宅の仕事機の引き出しを開けたところで、異変に気が付く。なんと仕事機の引き出しの中はミニチュアダンジョンと化していたのだ! 人差し指で押すだけで! ミニチュアの魔物を倒すだけでレベルが上がる! だが、そのダンジョンには欠點が存在していた。それは何のドロップもなかったのだ! 失望する山岸であったが、レベルが上がるならレベルを最大限まで上げてから他のダンジョンで稼げばいいじゃないか! と考え行動を移していく。 ※この作品はフィクションです。実在の人物・団體・事件などにはいっさい関係ありません 小説家になろう 日間ジャンル別 ローファンタジー部門 1位獲得! 小説家になろう 週間ジャンル別 ローファンタジー部門 1位獲得! 小説家になろう 月間ジャンル別 ローファンタジー部門 1位獲得! 小説家になろう 四半期ジャンル別 ローファンタジー部門 1位獲得! 小説家になろう 年間ジャンル別 ローファンタジー部門 7位獲得! 小説家になろう 総合日間 1位獲得! 小説家になろう 総合週間 3位獲得!
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8 159聖戦第二幕/神將の復活
ラグズ王國を國家存亡の危機に陥れた逆賊トーレスとの反亂があってから2年後、列國はバルコ王國を中心にラグズ王國に波亂を巻き起こし、ラグズ王國は新たなる時代を迎える事となる。 この物語は前作"聖戦"の続きで、ラグズ王國の將軍であるラグベルト、グレン、そして新キャラであるバーレスを中心に巡る物語です。予め申し上げますが、文章に変な箇所があると思いますが、お許しください。
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