《究極の捕食者 ~チート融合スキルで世界最強~》第19話 作戦前夜

コンボイ曰く、この辺りは木の実が富らしく、今まで見たこともないような天然の木の実や果らしきものを採って食べた。ネットが使えない場所となると、現地の老人の知恵が役に立つ。

そして、襲撃を早朝と決めた俺達はあの窟で早めに休むことにした。2人が寢靜まった後、俺はそっと窟を抜け出し、り口で見張りを続けていた。とは言っても、ずっと星を見上げているだけだったが。

「不思議だな」

當たり前の話だが、この世界も一つの天であり、その外には宇宙があって、違う星が存在している。恐らく俺が今見ているこの星空も、地球のものとは違うのだろう。地球に居た時は、夜空なんて見上げたこともなかったっけ。

「どうした……眠れないのか?」

ふと、背中に聲が掛かった。イデアだった。竜の尾の様な二本のおさげを解いた姿は、なるほどお姫様ぽく可らしい。寢起きだというのに崩れない自に満ちた表が星の頼りないにうっすらと照らされていて、それがとても神的だった。

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だがその特別な空気さえ、勝気な言が打ち消してしまうわけだが、俺としてはお淑やか系キャラよりも親しみやすい。

「いや……見張りをね」

「ご苦労だな」

そう労いの言葉を発した後、俺すぐ隣に腰掛ける。そして、巖壁に背を預けると、俺と同じ様に空を見上げた。

「夜というのは恐ろしい。まるで黒い幕で太を隠されてしまったようだ」

ふとそう呟くイデア。

「そう……? 星がっていて綺麗だと思うけれど」

「だが、夜は魔達の時間だ。夜を好む魔というのは大抵が人間の敵と決まっている。現に私の僕(しもべ)となったコンボイは夜になったら寢てしまった」

既にコンボイが僕(しもべ)扱いになっていることが気にかかったが、なるほど、こっちの世界ではそうなのか。

確かに、俺達のいた世界でも、昔はそうだったのだろう。いや……。そもそも、現代でだって、克服できたと思っているだけで、人間は夜を支配なんて出來ていないのかもしれない。

反社會的な人たちだって、人目を忍ぶときは夜に行するし。夜で歩いている方が、何かしらの事件に巻き込まれる可能は高くなる。都市が眠らなくなって久しいが、それでも真っ當な人間は晝に活し夜に寢るものだ。むしろ、俺達は今だからこそ、より夜を恐れなくてはいけないのかもしれない。

「フッ、そんな顔をするな。流石に私だって、あの星達が遠く離れた一つの場所なのだということは知っている」

黒い幕発言を馬鹿だと思われたと思ったのか、そんなことを言い始めるイデア。別にそんなことは思わないけど。ロマンチストだな……とは言ったかもしれない。

「だが、昔の人々は神が黒い幕で覆っているのだと、本気で考えていたらしいな。こんな昔話がある。

世界の原初、夜は本當の暗闇だった。だが、ステラと呼ばれた青年が、その暗闇を剣で切り裂いた。切り裂いた場所からは、小さいながらも晝間のれてきた。やがて、長い年月をかけて、數々の勇者達が夜空にを開けてきた。それが今の星空なのだと。だから、人間はいつか、気の遠くなるような時間をかけて、夜の幕を消し去ることが出來るのだと。そう信じられていた。そして、夜空に一つを開けることを『星を創る』と言ったそうだ」

なかなか面白い話だった。なんというか、決して到達は出來ないけれど、目標として存在するものというじがする。神の一手みたいな。

「まぁ、流石に私も夜を照らそうなどとは思っていないが。ミスラ姉様なら、それが出來ると信じている」

星を見上げる彼の橫顔は、その瞳は真っ直ぐだった。迷いなど無い。躊躇いも。この瞳を、俺は知っている。信じたものの為に、立ち止まることなく進んでいく。希が宿った強い目だ。もし元の地球に居た時にこんな目をした人間に會っていたなら、俺はきっと卑屈になっていただろう。けれど今は……力になりたいと思う。

「なら、ミスラ様の為にも、明日の作戦は必ず功させないとな」

「ああ、明日の活躍を期待しているぞすぞら! 手柄を立てれば、直接ミスラ姉様とも會わせてやろう」

「ふぅん、それは楽しみだね」

イデアに似ているなら、さぞ可いだろう。格も似ていたら……本當に王に推していいのか迷ってしまうかもだけど。

「そうだろう。ミスラ姉様は凄く人だからな。男なら誰でもめろめろになる!」

「メロメロですか……」

「そうだ、メロメロだ。例え今は人間ではないすぞらでも、ミスラ姉様を一目見れば、めろめろ……めろめろに……」

自慢のドヤ顔がだんだんと曇っていく。どうしたのだろうか。

「すぞらが姉様にめろめろなのは……なんか嫌だな」

「ええぇ……どういうこと? ってか大丈夫?」

なんだか様子がおかしいけれど。

「いや……なんでもないぞ。ちょっとが痛くなっただけだ。あ、そうだすぞら!」

「何?」

「明日生き殘ったら、私と子供を作ろう!」

「ファッ!?」

何言ってんだこの王

「すぞらと私の子供だったら、きっと最強になるぞ! そうすれば、ミスラ姉の治世は磐石のものとなる」

「ああ、そういうことね」

なんとも、王族らしい考え方だ。優秀な子孫を殘す。そして、自分達の為に役立てる。今の道徳観だと嫌なじに聞こえてしまうけれど、イデアの目は真剣だ。そして、ここではそれが王道。

「けれど、俺もうほとんど魔獣だしね」

「ならば早く人型になればよい。まぁ気長に待つが、しかし早くしろよ」

どっちだよ。しかし困ったことになったな。イデアのことは嫌いでは無いけれど。やはり強い子目當ての結婚なんてのは気が引けてしまう。しくない? 結婚に

まぁ子供だし、適當にあしらっていればいつか飽きるだろう。けれど、こんな姿になった以上、イデアに拾ってもらうくらいしか結婚先はなさそうな気もする。

「まぁ、善処するよ。人型に戻るのは俺の元々の目標でもあるし」

キラーパンダを取り込んでも、俺の姿は依然鳥人のまま。だが、羽のが白と黒のツートンカラーになり、可らしさは増したと思う。

あと、『武』のスキルはちゃんと手にれてますよ。

「んじゃ、イデアはもう寢なよ」

「くはぁ……そうさせてもらおう。だが、先ほどの話は忘れるなよ」

そうあくびをしながら窟の奧へと戻っていくイデア。その様子を見屆けてから、気分を見張りモードへと引き締める。

カッパーロードは、俺をマスマテラのところに連れて行く、そう言っていた。そして、キラーパンダはコンボイの里を襲った襲撃犯の一人。恐らく、マスマテラと繋がっている。

自分とつながりのある強力なモンスターが立て続けに二もやられた。この世界の報伝達速度がどれ程のものかはわからない。既に敵に伝わっていてもおかしくはないのだ。

俺は気を引き締めようと、再び空を見上げる。

そんな時、再び背後に気配をじた。

「なんだイデア……さま、まだ眠れないのか?」

「いや、わしじゃ。ちょっとおしっこをのう」

「……」

老人は睡眠時間が短いというのは、ゴリラにも當てはまるらしい。いや、的には全盛期の若者くらいになっているはずなんだけど。

結局、「今夜は眠れないのぅ」と寄り添ってきたコンボイと夜を明かしたのだった。

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