《究極の捕食者 ~チート融合スキルで世界最強~》第27話 時空帝竜降臨

目が覚める。首から下の覚が無かった。覚が無いのではない。実際に無いのだった。頭だけになっても生き延びているなんて、魔って凄いなぁ。

いや、かわいそうなのか。

目玉をぐるぐると回して、周囲の狀況を確認する。辺り全が真っ白だ。部屋なのかどうかもわからない。天井も見えず、壁も見えないからだ。そんな所に、俺は頭だけになって、ぽつんと置かれている。

「これは……」

そして、もう一。ここに居るようだった。それは白いドラゴンだった。白い鎧を纏った、しいドラゴンが眠るように橫たわっていた。だが、おそらくは生きてはいない。その銅には、長い長い槍が一本、突き刺さっていた。

「ここはマスマテラ・マルケニス邸の地下最深部、この場所こそが、真にヘルズゲートと呼ばれる場所」

の聲がした。竜の橫に、いつのまにかが一人立っていた。蒼い瞳と黃金の髪は、姫川璃緒を思い出す。だが顔立ちは全くの別人で、大人ぽい。修道風の服にを包んだは、竜を見下ろしながら、しだけ悲しそうな顔をした。

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「よく來てくれました。手荒い招待だった事をお詫びします」

「貴方は?」

「私は種族名を時空聖竜ルミナスドラゴン、名をルミナといいます。約5000年前、初代勇者と共に世界を救った抑止力の一人」

初代勇者? 5000年前? 訳のわからないことだらけだ。混する。そんな混する様子の俺を、まるでわが子でも見るかのような慈の篭った目で見つめ、微笑むルミナ。

「融合をつかさどる者、七瀬素空さん。ここに來てからの貴方の戦いはずっと見ていました。そして、事も察する事が出來ました。カロム……いえ、今は名をガルムと言いましたか。彼と闘っているのですね?」

「ええ。戦っているというか、これから倒そうとしているというか」

奴の仕掛けた呪いから、姫川達を解放する。その為に、その為だけに俺はここまで來た。けれど。

「それももうおしまいです」

「あら、どうして?」

ルミナは悪戯っぽく笑った。その態度に、しだけムッとする。

「こんな姿になってしまったら、もうダメでしょう普通は。ゲームオーバーだ。敗北してしまったんですよ。言い訳のしようも無く」

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敗北。完無きまでに負けた。こんな所で、躓いている場合ではなかったのに。姫川と並び立つ存在になりたいと戦ったのに。並び立つどころか、俺はいつもいつも、地面にへばりついている。汚泥を啜っている。

「諦めたらそこで、試合終了ですよ?」

「何故それを……」

何故そんな名臺詞を知っている。

「ふふ、何故でしょう。何故なのでしょうね? うふふ」

ああどうしよう。この、苦手なタイプだ。お利口そうでお上品で悪戯ぽい。どうしようもなく苦手だ。ただその大きなおっぱいだけは嫌いじゃねーぜ。

「ああごめんなさい。イライラさせるつもりは無かったんですよ? 本當ですよ? なにせ人とお話しするのは久しぶりですので、楽しくて仕方が無いのです。許してくださいね」

「要件が……聞きたいですね」

さっき、このは俺を招いたと言った。つまり、この最深部から攻撃を繰り出し、俺が居た場所までを通したという事だ。一どんな用があって、俺なんかを招いたというのか。

「そうですねぇ。そろそろ本題にらないといけませんね」

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コホンと可らしい咳払いをして。

「先ほども言いましたが、私は5000年前からここに封印されています。私を封印したのは初代勇者パーティの、當時はく雑用だったカロム。そして、カロムは転生を繰り返し、時を超え、リアンデシアの第一王子ガルムとして今を生きている」

「5000年前……転生? 一何を?」

「驚きましたか? 驚きましたよね? ウフフ……おっと、怒らないでください。コホン。そうです。

ガルムは転生の神と契約をわし、何度も何度も転生を繰り返し、何らかの目的の為に世界を歪めている」

あいつが? 5000年もの間、何度も転生を繰り返している?

「その、目的というのは? そこまでするってことは、何か凄い目的があるはずなのでは?」

「それが、わからないのです」

ルミナはきっぱりと言った。

「世界征服程度だったら何度もチャンスはありました。しかし、そこには手をばさない。彼の目的はもっと遠く、どこか別の所になるのです」

「世界征服じゃない……」

「貴方は先ほど、ガルムと敵対するつもりだと言いました。この耳で聞きました。そこに噓は無いでしょう。そんな貴方に、お願いがあります。どうかガルムの真の目的を突き止め、彼の野に終止符を」

「そ、そんな……無理だ」

無理だ。今の俺は大半の力を失って。もう歩くことも出來ない頭部だけの存在で。そんな俺に5000年間転生を繰り返しているイカれた奴に敵う訳が……無い。

「無理ではありません。私は貴方の強さをしっています」

「ははっ、強さだって?」

俺は吐き捨てるように笑った。

「この様を見てそれでも言ってるのかよ? あんなコピー野郎に手も足も出ない。そんな俺のどこが強いって?」

ルミナは何も言わない。

「元々が間違いだった。やっぱり俺は、あそこで死んでおくべきだった。フロストデビルに殺されて、終わっておくべき人間だった。それがなんだ? しの偶然で強くなれたからって、調子にのってこんなところまで來て、この様だ」

「ですが、私は見ていました。貴方が《終焉の轟咆》を敢えて使わなかった所を」

「……」

「貴方はあそこでスキルの発をためらった事を弱くなったと思っているのかもしれません。余計なを背負ってしまったと思っているのかもしれません。ですが、私から見ればあれは強さです。まぎれもない、強さ」

「あれが……強さ?」

「優しさという強さ。それだけで十分、貴方は私の力を託すに値する人なのです」

「優しさ……」

そして、ルミナはもう一度竜を振り返る。

「これは私の亡骸。今貴方とお話しているのは、遠い昔に朽ち果てたはずの殘留思念。七瀬素空。貴方の《捕食融合》の力で、このヘルズゲート最強のモンスター、時空聖竜ルミナスドラゴンを融合し、その力をけ継いでください。特別な細工をしておいたので、全ての力をけ継ぐ事が出來るでしょう。そして、どうか。どうかカロムの妄執を打ち砕いてください」

例え竜であっても。5000年という時間は長過ぎた。気の遠くなるような年月をここで過ごし、そして命が終わり、それでもかつての仲間の悪行が許せず、ここでずっとずっと待っていたのだ。幽霊のような存在になってまで、待っていた。そんな一匹の竜の思いを、俺はけ取る事にした。利害は一致している。何がなんでも、今は力がしい。

イデアのする姉を王にする力が。コンボイのする孫を助ける力が。仲間をする姫川を救う力が。

……力が、しい。

「――捕食融合」

橫たわった竜のが、解けるように粒子となって、俺に降り注ぐ。

「よくぞ決心をしてくれました。では、ここでしばらくお別れですね。貴方は今、このセブンスフィルで最強の存在となる。どうか、どうかあの男を――」

ルミナの姿が消えていく。竜のが喪失すると共に、彼の最期の力も無くなってしまったのだろう。それに対して、慨はなかった。今はただ、が作り替わる急激な痛みに神を委ねる。

***

・《時空聖竜ルミナスドラゴン》を融合

EXスキル《主は何処へ行かれたのかルミナス・エターナル》を手しました。

……邪悪なる敵のみを焼き払う聖なる炎の柱。

スキル《竜屬・極》を手しました。

……極められたドラゴンである証。

スキル《神聖》を手しました。

……通常スキルによる影響を無効に出來る。

スキル《霊召喚》を手しました。

……契約した聖なる霊を呼び出す。

スキル《理攻撃耐》を手しました。

……理攻撃によるダメージを20%軽減。

スキル《久遠の音》を手しました。

……自分の狀態を昔に戻すスキル。

スキル《竜翼》を手しました。

……竜の翼を出現させ、飛行できる。

スキル《暗黒核》《王気》が変化。スキル《竜の王・極》を手しました。《暗黒核》と《王気》が消失。

スキル《真紅眼》が変化。スキル《竜眼》を手しました。《真紅眼》が消失。

スキル《甲殻裝甲》《暗黒裝甲》が変化。スキル《竜裝甲・極ヴァリアントメイル》を手しました。《甲殻裝甲》と《暗黒裝甲》が消失。

スキル《霊召喚》《増》《人形作》が変化。スキル《眷屬召喚》を手しました。《霊召喚》《増》《人形作》が消失。

スキル《記憶回廊》と《自傷(リストカット)自得(シンドローム)》が変化。スキル《混竜伝子(ゲノムヘリター)》を手しました。《記憶回廊》《自傷(リストカット)自得(シンドローム)》が消失。

スキル《魔法》《闇魔法》が変化。スキル《神聖魔法》を手しました。《魔法》と《闇魔法》が消失。

スキル《竜翼》《空中浮遊》が変化。スキル《子翼(フォトンウィング)》を手しました。《竜翼》と《空中浮遊》が消失。

スキル《冷卻保存》《久遠の音》《死施錠》が変化。EXスキル《時を逆巻く黃金の刻》を手しました。《冷卻保存》《久遠の音》《死施錠》が消失。

EXスキル《終末の轟咆ハルマゲドンハウル》《主は何処へ行かれたのかルミナス・エターナル》が変化。

EXスキル《永遠をドミネ・超える竜の星クォ・ヴァディス》を手しました。《終末の轟咆ハルマゲドンハウル》《主は何処へ行かれたのかルミナス・エターナル》が消失。

……。……。

***

融合が終わると、白いに包まれていた空間は、殺風景な場所へと変わる。まつでトンネルの行き止まりのような、灰のインクをこぼしたドーム球場のような、味気ない場所だった。そんな味気ない場所の天井に、大きなが開いていて、そこから魔竜の姿をしたニュートランスが顔を覗かせた。そして蛇のようにズリズリとこちらに降りてくる。

「探したっす。また何かと融合したんすか? 懲りないっすね」

そして、ズシリと著地する。俺はその巨大な魔竜の姿を見上げる。そう、俺のは隨分とんだ。

長は4メートルほどで、は漆黒の鎧に包まれている。二足歩行で人型だが、首はスラリと長い。頭部から延びる二本の長い角。以外は、あの聖竜と全く同じ、竜人とも呼べる見た目に変化した。

「なんだか強そうっすね。まぁいいっす。すぐコピるっす……あれ」

「悪いがもうコピーはさせないぜ」

「なっ!? コピーが出來ないっす!? 何を、一何をしたっす!?」

名:七瀬素空 魔力數値:1500000

種族名:時空帝竜(タイムエンペラードラゴン)

所持EXスキル

《永遠をドミネ・超える竜の星クォ・ヴァディス》《時を逆巻く黃金の刻》《捕食融合》

所持魔法

《神聖魔法》《眷屬召喚》

所持スキル

《融合》《竜の王・極》《神聖》《竜眼》《魔力圧》《竜》《極炎核》《竜裝甲・極》《混竜伝子》《子翼(フォトンウィング)》

《対竜屬無効》《理攻撃耐》《炎耐》《雷耐》《水耐》《麻痺耐》《毒耐

「さて……ここからが本番だぜ」

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