《異世界生活語》1

出來上がったものに香草の末を混ぜ込んで、ようやくプレゼン用のクリームが完した、太はもうすぐ真上と言う所まで來ていた。

「出來上がって良かった~」

晝食後に出かけるのに、まだ出來ていないなんて言ったら、俺の読みの甘さになっちゃうからな。

本當はゆっくりと晝食を取りたかったが、流石に向こうの話し合いが読めなかったので、祖父を急かせて南の詰め所へと向かった。

「心配せんでも、あやつは話の解らん者ではない、お前の作ったクリームの良さは解ってくれる」

張が顔に出ていたか祖父はそう勵ましてくれた、確かにクリームの出來自は自分で言うのもなんだが悪くは無いと思う、大怪我以外であれば有効が高い事、回復魔法でのデメリットを軽減できる事、この二つは命に直結する、こんな魔相手の消耗戦と言っても良い世界であれば、命が無事にある事がなにより重要で、兵士一人の命と言っても軽んずる事が出來ない、蟻の一なる言葉があるが、まさにその通りだと思う。

詰め所は前回來た時と変わりは無い、二週間も経っていないのだから変わりようが無いのかもしれないが、萬が一が無いと言い切れない世界なのだから、このタイプの安心の仕方は間違っていないと思う。

「若いの、マリオネルはおるかの?」

「今巡回に出ておられますが、まもなく戻ってくるでしょう、中にってお待ち下さい」

「ここでかまわんよ」

摘め所の前に置かれた丸太椅子に腰掛けようとした祖父に対して、警備兵が若干あわてた。

「北の壁をこのようなところで待たせるなど、私が隊長に叱責されてしまいます」

「そうか、ではそうせてもらうとするかの」

ギンッとじいちゃんの眼が鋭くなったような気がする、確か前來た時も聞いたが、ここの人は皆北の壁ってじいちゃんの事呼ぶんだよな。

「おじさん、何でここの人はみんなじいちゃんを北の壁って呼ぶの?」

まだ二十臺半ばくらいの人を、おじさんとためらいなく呼べる辺り、大分この世界に染まってきたと思う。

「い、いやそれは」

「エドも中にって來なさい」

うん、間違いなくこれは、じいちゃんの黒歴史確定、前もそうだったけどどんだけ知られたくないんだよ。

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